君に届け、錦松雪姫のスウィートイグニッション - 2
主人公、高橋椋丞の冒険 in High-School。
前フリです。
彼は、如何にして彼足るか?
そんな地下集会で崇め奉られている身分のせいか、
「エロ動画先生よ!」
女子たちからは高橋椋丞(僕)=【猥褻動画の宣教師】とレッテリングされ、
「みんなー逃げてぇぇぇぇ!」
教室であれ廊下であれ、校内いたるところで後ろ指差されてしまう。
「失敬な!」
見当違いも甚だしい!
「この高橋椋丞、凡百の女などアウトオブ眼中!」
守備範囲外からの性犯罪者扱いなど不本意の極み! 迷惑この上ない!
「貴様らを相手に、好きとか嫌いとか最初に言い出す機会など、未来永劫やってこぬわ!」
ブリタニア王子か銀河美少年並のキメ顔で、女子たちの誤解を解こうと思ったのに……
「怪しいなぁ?」
「ほンとにぃ?」
「ウソっぽぉ~ぃ」
高校生にして猟色の限りを尽くした、とでも言わんばかりのビッチ勢がマウントを取りに来る。
一昔前ならば黒い三連星。今なら美白アプリで補正しまくりの白い三連星。
茶髪、ネイル、ピアス、着崩した制服。
「オラオラ! 宣教師を磔よ!」
没個性の様式美たちが右手、左手、股の下と、三人三様の壁ドンで僕を釘付けにする!
「ねぇ、エロ動画先生? もし降参したらさ……動画みたいなこと、したげよっか?」
電撃的な密着攻勢は「当ててんのよ」のレベルじゃない!
たわみまくった乳圧が制服の上からでも分かる!
もはや性の絨毯爆撃と呼んでも差し支えない!
「もう堅くなってンじゃん?」
手慣れた手つきで股間を撫でつけつつ、僕に屈服を迫るビッチ女子シスターズ。
「エロ動画先生!」
圧倒的な女体拘束に為す術なしか? 身体は正直なのか? くっ殺なのか?
「エロ動画先生でも……おっぱいには勝てないのか……」
遠巻きに臍を噛む男子たち……劣勢必至の僕に地団駄を踏む。
だが!
だがしかし!
「案ずるな諸君!」
甘く見てもらっちゃ困る!
「とりゃ!」
ポケットから音叉を取り出し、三連星を金色夜叉ばりに投げ飛ばす! 壁ドン拘束を実力突破!
「とりゃ!」
音叉を用いれば直接接触ではない以上、セクハラには該当しない!
「とりゃぁぁぁぁぁぁ!」
僕の音叉は刺又の代替(こんな使い方)だって出来るんだ!
「ふ…………」
在りし日の剣豪並みの早業で三人(ビッチ女子☆シスターズ)を始末。性の磔を引き剥がす。
「そんなインスタントなスキンシップじゃ響かない」
自分のハートを拳で叩き、宣告する。教室の床に転がる、白い三連星へと訴える。
「微塵も震えぬわ!」
性的興奮? 何それ美味しいの? とでも言わんばかりのドヤりフェイスで。
「この高橋椋丞(僕)には通じぬ!」
量型産ギャルの淫売アプローチ如きで、僕の聖帝十字陵は建立たんわ!
「嘘!?」
「エロ動画先生なのにハレンチに反応しない!?」
「ホモ!? ゲイなの!? エロ動画先生のくせにーッ!?」
「知りたいか?」
訊きたいのなら教えてやろう。
なぜ高橋椋丞が無敵なのか?
「なぜなら僕は粗悪な紐には興味が湧かんからだ!」
「「「紐????」」」
わざわざブラの紐とか引っ張り出さなくていいから! そういうことじゃないから!
「貴様らは紐として出来悪い!」
そう音叉が語るのだ。
音叉、嘘つかない。
音叉こそが世界の水準器なのだよ。
「そんなガラガラ声に溺れるワケなかろう! そんなだらしない滑舌にアガるワケなかろう!」
ご理解頂けただろうか?
「そんな汚い日本語に――――酔えるワケなかろう!」
[ strings polygrapher ] とは、こういう人種なのだ。