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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-3-4

3-3-4

 余りにも彼女が悲しそうな顔をするので、これは言い過ぎたかなと

「じゃ、俺がめちゃくちゃ頑張って、もし間違って優勝でもすれば、どうなる?」

「そうね、この国一番の勇者と付き合うなら、誰も私達に反対はできないし、逆に直ぐに結婚しろと言い出すかも、そうだと、あの嫌な手続もいらないし・・」と彼女の顔色が明るくなり

「そういう考え方もあるのね。平ちゃん、頭いい。だから大好きなのよ」と回りを気にせずに抱きつくとベタベタして来た。

俺はそこまでは考えていなかったが、そういうう事もあるのかと納得した。


 大人のヒカリに抱きつかれるのは酔っ払いの時以来だし、余り慣れていないので少し照れくさかったけど、彼女が俺の手をしっかり握ってきたので

「まぁ、優勝って、そうは簡単に上手くいかないと思うけど、これから色んな邪魔が入りそうなので姫のお相手は相当できますよって所を皆に見せておかないとな」と俺の本当の考えを話したが

「そう、上手くいけばいいけど。平ちゃんがケガでもしたらどうするの。私を悲しませるつもり」と心配そうに俺をまた説得し出した。


 俺と彼女の会話を横で聞いていたアラタが「なるほど、なるほど」と何か納得していたが

「姫、お話中申し訳ございませんが、棄権すると多額の賠償金の支払いが出てきます」と教えると

「そうなの、棄権すると賠償金を払わなきゃいけないの。平ちゃんは無職の一文無しだし・・、それじゃ仕方ないわね。じゃ、死なない程度に頑張って1回戦ぐらいは勝って、私に大きな指輪を買って下さい」と急に俺の尻を叩き出したかと思うと態度を変えた。

「おいおい、平ちゃんは無職の一文無しって、俺はまだ高校2年生。母さんのお小遣いで生活してるんだぞ」と注意したが

「だって、アラタさんも高校2年生なのに、この差は何なの?」と笑っていた。

そう言われるとそうだな。奴のお小遣っていくらもらっているのか、それとも別に収入があるのかなと考えてみたが、それは勿論分らなかったし奴に訊けなかった。


 それから、また同じように練習を始めると、また彼女は対戦相手の特徴や攻撃パターンなどを教えながら稽古をつけてくれた。

 彼女によると、ここ数年の試合を見ても彼は聖剣の属性を生かした大技は出していないようだ。その理由は分らないが、彼も魔導を使えるので、使おうと思えばできるのに使っていないのは、もしかしたら普通の勇者のように魔導を一気に放出するのタイプではなく、小出しにするタイプかも・・。

 このタイプは大技はないが、その一撃一撃が積み重なり嫌なタイプだと。それ以上に嫌なのが体力の消耗が少ないタイプなので試合が長引けばこちらが不利だとも教えてくれた。

 更に彼は剣のみで戦うポリシーがあるので当たりや蹴り、殴り等の接近戦はしていないようだ。それは彼の師匠でもあり初代殿堂入りした特捜本部長の教えだとか、そして俺の「弱点はあるか」の質問には「無い」との一言だったが、後で彼も俺と同じように女性には奥手だと教えてくれたが、それは役に立ちそうもなかった。


 それにしても俺の剣道の記憶が戻っても20秒しかもたないとは、大技を使わずにアラタを一撃で倒しただけの男であった。俺は相手に勝ちたいと言うよりは、惨めな秒殺をされてヒカリと引き離される事だけは勘弁して欲しかったので、その後も頑張って練習を続けたが、お昼近くになったので練習はこれまでと終了し、2人は夕飯の食材を買いに駅前の商店街へと向かった。

 今日はヒカリはアラタに用意された籠の付いた自転車に「食材を買うから荷物もあるし、2人乗りは危ない」と納得して乗っていた。




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