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練習が終わったが彼女はいつもの女子高生に戻らずに珍しく大人のままだった。
「どうしたの今日は、大人のままで」と尋ねると
「変身するのも大変なのよ。それに秘密も全部話した事だし、そろそろ平ちゃんもこの姿にも慣れておいた方がいいかなと思って」と言って駐輪場に着いた。
俺が自転車に乗ると早速彼女は後ろの席に座って両手を俺の腰に回すと
「行きは歩いて来たので少し疲れたけど、またこうして平助と2人乗りして帰れるのなんて夢見たい」と喜んでいたが
「2人乗りは危ないですよ。はい、これ」と直ぐに楓から籠付きの自転車のキーを手渡されると
「平助との2人乗りがいいの。別々は嫌なの」と警察官でありながらいつものように嫌な事には駄々をこねた出しので
「すまない、今日一日だけ見逃してくれ」と俺は楓に頼んでいると、彼女は俺の背中を早く行けとばかりに叩くので、無理やり2人乗りをして出発した。
「いやっほー、2人乗りは楽しいぞっ」と後ろで叫んでいる声を聞くと彼女は本当に大人なのだろうか、それも警察官なのだろうか、でもあの駄々のこね方は精神年齢は小学生並だろうと思わず笑ってしまった。
それでも彼女とどうしても行きたい場所があったので
「帰りに寄りたい所があるので、お昼は少し遅くなるけどいいかな」と後ろで喜んでいる彼女に訊くと
「朝ごはんが遅かったので、いいけど、どこに寄るのかな」と訊き返したが
「君の仕事とも関係する所さ」とだけ答えた。
最初はいつもと同じの家に帰る道だったが、途中から違う道へ曲がると
「ここは初めて」と後ろで呟いていたように、近所ではあるが彼女がまったく知らない細い路地に入り、そこを少し進むと開けた場所に出ると
「さぁ、着いたぞ」と古い大きな家の前で自転車を止めると、そこは以前サクラと来た剣道場だった。
既に土曜日のお昼近くだが道場の中では子供達がまだワイワイと騒ぎながら剣道の練習をしていた。
「どうしてここに私を連れてきたの」と彼女は不思議がっていたが
「この道場は、俺が小さい頃にサクラと通っていた道場らしい」と答えると
「らしいって、平ちゃん覚えていないの」
「あぁ、残念ながら、サクラの事も剣道の事も全然覚えていない。
残念だが、全部誰かに消されてしまったみたいだ」と悔しがってみせたが
「なんだ平ちゃん、剣道やっていたんだ。子供の頃の平ちゃん見たかったな」と彼女が俺の手を握って少し話を逸らすと
「でも、それはどうしようもないんだよね」と俺にすまなそうにしていたので、彼女が可哀想になり早速俺が彼女を連れて来た本題に入った。
「佐倉家はこの近くにあったんじゃないのかな、たぶん誰に聞いても思い出さないと思うけどね」と教えると彼女もここに来た理由が分ったのか首を縦に振りながら
「そうなのよ、だから捜査が大変なのよ。毎日毎日誰に聞いても知らないとしか答えないから」と苦い顔になり、スマホみたいな機械をポケットから取り出しかと思うと、直ぐに放射能でも計っているみたいにあちらこちらにそれを近づけて
「まったく反応はないわね」と呟いた。
「それで何をしているの」と不思議そうに彼女に尋ねると
「ここで魔導具が使われたかどうかを調べているのよ」と答えて、
それを俺に近づけると「ピピ」と激しく音が鳴った。
「ほらね、平ちゃんは聖剣をよく使うので反応が早いわ」と驚いていたが
「でも、早すぎ。今日はまだ聖剣を使っていないでしょ。この機械そんなに反応がよかったかしら」と不思議がっていた。
「確かに、聖剣は使ってないけど、君から貰ったトンファーを使ったからじゃないかな、あれも一応魔導具でしょう」と教えてあげると
「確かにそうね、魔導の呪文が彫ってあったのよね」と一応納得したようだった。
ヒカリはこれを持って毎晩外に出て、魔導具が使われた形跡を捜査していたのかと俺はやっと理解したが、もう少し大掛かりな装置はないものかと思っていると
「これが大変なのよ、地道の一言よ」と彼女は笑っていた。
2人で一応付近も隈なく異世界人が立ち寄りそうな場所を回ると、彼女はそのスマホで一箇所毎に調べてみたが魔導具が使われた形跡はないらしく
「残念なんだけど、この辺には異世界の人は来ていないようだわ」と疲れた表情でメモしていた。




