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彼女は喜ぶ俺を見て笑っていたが、彼女にはもっと大事な事があるようなので
「じゃ、平ちゃんは私の両手をしっかり握って、心を落ち着かせて私の目を見つめて下さい」と変な事を言うが、仕方がないので彼女の言う通りにすると
「はい、では、浮気はしていませんね?」と俺を見つめて、真剣に訊いてくる。
「はい、していません」と正直に答えて彼女の目を見つめ返したが
「ピピピー」と、どこからか警報のような音が聞こえた。
すると彼女はわざとらしく
「あら、おかしいわね。嘘発見器では平ちゃんは嘘をついているって出ているけど」と素早くポケットに手を入れて、俺に隠してスイッチを押すと警報は消えた。
すると、彼女は何もなかった様な顔をして
「じゃ、もう一度ね」と、さっきと同じ様に両手を握ると
「おいおい、変な事言うなよ。俺は絶対に浮気はしていません」と愚痴を言いながら、また見つめ返すと、俺には動揺した反応がまったくないので
「あら、さっきのは機械の故障かしら。嘘はついていないようね」と呟いたが、
どうやら偽の嘘発見器で俺にカマをかけていた様だったが、それはおかしいぐらいにみえみえだった。
たぶん俺が嘘を言うにもサクラとの出会さえも、帰ってきたヒカリの影響で呪縛が強くなってしまったのか、運よく今は薄っすらとしか覚えていないので、嘘のつきようがなかった。
しかし、何故かサクラと約束した重要な事は確りと覚えていたようだ。
「ヒカリ、一つお願いがあるんだけど」と思わず切り出すと
「あら、ヒカリって、いつからヒカリちゃんじゃなくなったの。私はそっちの方が、恋人同士みたいで親密度が上がっていいけどね」
「じゃ、これからはヒカリって呼ばさせて頂きます」
「でぇ、平ちゃんからお願いって、珍しいわね、なんでしょうか?」
「3度目のあれは、どうなっているんだ」
「あぁ、あれね、あれは当分ないです。なかなか話が上手くいかなくてね」と困っていた様子だったが、俺はそっちの方が良かった。
「上手くいかないって、それてどういう意味みなの? でも、それならそれでいいんだが。急にされると困るけど」
「あれは、平ちゃんの合意が要るので、その時は事前に伺います。
それに、あれもまだだし。ちゃんとあれも頂けるのでしょうね。
相場は平ちゃんのお給料3か月分ですよ」とニコニコと笑って言うが
「あれもまだだし」の意味は分っていたが「あれも頂ける、給料3か月分」の意味が分らなかった。
「何だその給料3か月分のあれって、俺はまだ高校生だし、給料なんてもらった事はないぞ」と不思議がっていると
「そうそう、貴方はいつもそうですね、私の事は少しも分ってくれません。
あぁ、かわいそうなお姫様、大好きな勇者様は一文無しだし、奥手で時間がかかるし」と、いつものように自分を可哀想なヒロインになぞっていた。
「分った、分ったから、奥手、奥手ってそう言うなよ。教えてくれ、このとおりだ」と頭を下げて頼むと
彼女は俺に左手を差し出して細い薬指を動かし
「この指が寂しがっていますよ。ここに嵌める物ですよ。ほらキラキラしたあれですよ」と少し恥ずかしそうにした。
鈍感な俺でもやっとその意味が分かったので
「すまん、このとおり完全に忘れていました。そんな物まで要るのか、それで給料3か月分でどのくらいだ」と頭を下げてまた謝って尋ねると
「そんな物って言い方は酷いけど、女性にはそれが大事だからね」と少し怒ったが
「ごめん、このとおり」と俺が更に謝ると彼女は悩んだ末に
「高校生の平ちゃんだとそんなに高いのは無理だから、私のお給料が月金貨1枚として、3か月分で金貨3枚で我慢しておきます」とその時は答えたが、後々「もう少し高く言えばよかったかな」と、ぼやく事になろうとは思わなかった。




