3-0-1
3-0-1 9月17日金曜日
ちょうど夕飯に間に合うようにお腹を空かせてヒカリが帰ってきたが、母はさすがに彼女の分まで準備をしていたので、約1ヶ月ぶりにヒカリを入れた3人で夕飯を食べ始めると、早速母が彼女の予定を尋ねた。
「夕飯に間に合ってよかったわ。じゃ、今度はいつまでいるの?」
「来週の火曜日の朝早くに帰ります」とパクパク食べながら答えると
「また急なのね。今度はお買い物には行けそうもないわね」と意外と早く帰るので落胆していたが
「残念ですけど、火曜日から学校の授業がありますので」と理由を聞くと、それは仕方がないと諦めた。
「それと行く場所は分っているの、東京の地下鉄は私でも分り辛いわよね」
「大丈夫ですよ。平ちゃんに後で教えてもらいますから、そうね、平ちゃん」
「あぁ、俺が連れて行ってあげるから大丈夫だよ」と母を安心させた。
ともあれ彼女の顔を久しぶりに眺めていると、さっきまでの怒りはどこへやら、何でも無い会話さえも俺は嬉しかった。
久しぶりの楽しい夕飯が済んで、2人で2階の俺の部屋に入ると
「平ちゃん、会いたかったよ」と今度は直ぐにヒカリの方が我慢しきれずに俺に飛びついて来た。
1階の居間でテレビを見ている母を気にしながらも、俺も躊躇なく彼女をギュウと抱きしめてその存在を実感した。
「あら、今度は初日から情熱的、奥手は少し治ったのかしら」と何か疑っているのか変な事を言い出すので
「ごめん、まだ少し・・そんな事どうでもいいだろ。それで、今度帰ってきた理由は? それと火曜日って少し早くない」と忙しく尋ねると
「少し落ち着いて。理由は後でゆっくり話すとして、安心してね火曜日に一度戻ったら直ぐに帰ってきてくるわ、それも長期の予定でね」と俺を安心させた。
まずは軽く2人の挨拶が済んだところで、狭い俺の部屋に座り落ち着くと
「それでは平ちゃんにお土産がるのよ」と大きめのバッグから大きな箱を出して
「こっちに早く帰りたかったけど、注文していたこれが出来上がるのに意外と時間がかかったの」と手渡した。俺が直ぐに中を開けてみると銀色に鈍く輝くトンファー1本とそれを収納して身に着ける皮製のホルダーが入っていた。
「本当は2本注文したんだけど。製作にもの凄く時間がかるの。
それで、まずはこの1本でごめんね。もう1本は後で必ず。
それじゃ、早速ホルダーを着けてトンファーを手にしてみて」と俺にホルダーを着けさせて、トンファーを持たせると、俺は直ぐに手にとり軽く使ってみた。
「軽い、なんて軽いんだ。それに硬い、こんな物があるのか」と驚いた。
「これは、国に帰って特注で作ってもらったのよ。それで魔導師が呪文を彫ってくれたので聖なる盾と同じぐらい強いし、そして盾より軽いの。
これで相手の攻撃は防げるでしょ。それに攻撃力も驚くぐらい凄いのよ」
「そっか、これを左手に持って盾として使えるし、これで攻撃もできるのか。
それに使わない時はホルダーに入れると両手で聖剣が持てるのか。
これで、やっと俺の戦い方が決まった」と喜んだが、その代金が気になった。
「でも、銀製かな? これって相当高かったんだろう」
「レアメタルよ、高かったわよ。目から火が出るぐらいにね」
「お金はどうしたんだ、まさか美人局とか・・」と彼女への疑問を投げかけたが
「バカね。ちゃんと私が貯めたお金よ。勿論平ちゃんにはきっちりと利息を付けて返してもらうわ。もし返せない時は、死ぬまで体で払ってもらう事になるわよ」と笑っていた。
「俺は死ぬまで君の虜だから、返さなくっていいって事かな」と冗談を言うと
「それはダメ。お金と愛情は違うのよ」と、きつい一言が返って来た。




