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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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2-2-1

2―2-1 8月22日日曜日

 ピポピポピー、いつものようにけたたましく朝6時に目覚ましが鳴りすぐに目が覚めると、いつもと同じ2階の狭い自分の部屋だったが、また床の上に寝てしまっていたので、背中や腰が痛いし疲れが取れていないようだ。

「そうだ、また聖剣との会話の途中で寝てしまったんだ」と後悔した。

 こんな日が早いもので2週間は続いている。ちゃんとベッドで寝ないと起きてから調子が悪いのでいつもなら暗い一日の始まりだった。


 しかし、俺がどこで寝ようとどうでもよくなった。

そう、今日からはどこで起きても調子がいいのだ、なぜなら、

「平助、朝ごはんできているわよ。早く下りてきて」1階からいつもとは違う明るく爽やかな声がした。

「あっ、望ちゃんだ。そうそう、昨日から彼女が家に泊まっているんだった」と再確認した。それで調子がいいのか、背中や腰の痛みなんて気にせずに、

「はい、今行きます」と朝ごはん食べようと1階に急いで下りると、いつもとは違い朝食が豪華だ。それに母も珍しくニコニコと食卓に着いている。

「望ちゃんがね、昨日の買い物の時に色んな物を買ってね。この野菜は健康に良いし、この料理はお肌にいいのよ。今日は凄いでしょう」と母もいつになく機嫌がよさそうだ。

望も俺のごはんをよそうと食卓に着き、3人で仲良く食べ始めると

「母さん、こんな日がいつか来るとは思っていたけど、本当に幸せ。後は孫の顔が早く見たいわ」と変なことを言い出すので

「母さん、勘違いしすぎ、望ちゃんに悪いよ。それに、今日だけだってば」と俺も本当はそうなって欲しいけど、一応形式的に否定すると

「今日だけじゃ有りませんよ、おば様、明日もちゃんと早起きします。そして、お料理もがんばります」と彼女も明るく答えると、俺のいつもの悪い癖でついつい幸せ気分が高まり3人家族のように思えてきた。


「ありがとう望ちゃん。それじゃ、今日の予定は、何処か行きたい場所とかあるの」と母が訊くと

「朝は平助の練習に付いて行って、午後もアラタさんが許して下されば練習を見ようかと」母の思いとは違っていたので

「駄目じゃないの平助、せっかくの日曜日でしょ、望ちゃんを何処かに連れて行ってあげないと、嫌われたらどうするの」と母からまた勘違いをされ、そのうえ叱られたので、彼女が喜ぶ場所はどこだろう、でも午後は暑いし、

俺の練習の代わりにもなってくれるといいけどと考えて

「今日も暑いのでプールはどう、行く?」と俺が訊くと

「母さん、確かホテルのプールの招待券持っていたわよ」と薦めるが

「すみません、水着持ってきてないのでちょっと無理です」と本当は行きたそうだがすまなそうに答えると

「平助の練習ばかり見ていてもつまらないでしょ。それに水着は隣の南ちゃんに借りればいいし、そうそう、ついでに南ちゃんも誘いなさいよ、そうすればより楽しくなるわ」と母がアシストし強引に薦めるので

「じゃ、南が行くなら望ちゃんも行くねよね、じゃ、それで決まり」と俺が無理やり合意を取りつけ、

心の中では「やった、望ちゃんとプールだ。今年の夏は最高だ」とスケベ丸出しの顔で南にメールで連絡すると「行く、貸す」との返信が着たので、すんなり午後から3人でのプール行きが決まった。


 朝ごはんが済むといつものように剣道場へ向かったが、今日は珍しく望と自転車の2人乗りだった。そういえばヒカリとはプールには行っていないな、一緒に行けばよかったけど、でも、直射日光は無理かなと考えて,さらに望ちゃんを強引に誘ってよかったのかと思い

「ごめんね、君の意見を聞かずに急にプールに行くことになって」

「いいんですよ、暑いので私も涼しい所に行きたかったし」

「そう、プールに遊びに行くけど、俺の調査の上で何か問題でもある?」と後ろに座りなぜか嬉しそうな彼女に訊くと

「特にないと思いますが、こんな展開始めてなので戸惑ってすみません。

調査は事細かく調べるので調査の相手から余り好まれませんので、まさかこんな展開になるとは思ってもみませんでした」と彼女は最初は驚いていたが、少し目を下にして

「でも、こちらの世界は相変わらず楽しそう、みんな明るくて羨ましいですね。

私の住んでいる世界は、やっと平和になったんです。それでまだ、余裕がなくて」

「そういえば、俺がいた街も何か閑散としていたし、昔の田舎のような感じがしたな。まぁ、あちらの世界も、そのうちみんな明るく楽しい世界になるさ、そうだろう」と、つい俺がいつものように根拠の無い事を言ってしまったが

「そうですね、きっと、そのうちに」と明るく同意した。


 駐輪場に自転車を置き、2人仲良く剣道場に行くと既にアラタと楓さんは剣道着に着替えていたが、昨日のうちに対勇者用の練習が思いつかなかったのだろう、アラタはなにやら機嫌が悪そうだ。

「今日は2人乗りかい、仲がいいことで。平助、自己に厳しくしないと、

そんなことじゃ、1回戦も勝てないぞ、もっと練習だ」と俺に嫌味を言うと、俺に早く剣道着に着替えろと則したが

「すまん、アラタ、俺から言うのも変だが、今日の練習は早めに終えてくれないか、そして午後の練習はお休みにしてくれないか」と頼むと

「どういうことだ、平助、もしかして彼女とデートでも。こんな大事なときにお前は何を考えているのだ。それも調査員とデートだと、調査にはお前の素行調査も入っているんだぞ」

「すまん、そうなんだが、母と望ちゃんをプールに連れて行く約束をして、このとおり」と頭を下げたが

「お前には姫と言う婚約者がいながら、出会ったばかりの女生と2人でプールにデートだと。硬派の名が泣くぞ、いいかそこに直れ、この宮本アラタが姫に代わって成敗してくれる」と顔を赤くして怒こり出したが、

「おいおい、早まるなよ2人じゃなく南も一緒だ」と弁明すると、アラタの顔が赤い顔から言いようのない方向へ変わりだし

「なに、今なんと言った誰と一緒だと。あの清純な南さんも一緒だと、それだと1対2ではないか。両手に花ではないか。調査員でも足りずに南さんまでも毒牙にかけるとは、チャラ男の極みではないか」

「おいおい、俺はまだ何もしてないし、それにだな勘違いするなよ、母に言われたので俺も仕方なくだな」と言うと、彼女は少し罰が悪そうに顔を下に向けた。


 怒りの頂点に達したアラタは、また俺を叱咤するかと思ったが、

「お前の恋路はどうでもいいが、平助、なぜ、俺を誘わないんだ。南さんが一緒なんだろう。お前も知っているだろう」と一度も俺をサウナに誘わないやつが自分をプールに誘えとは思わず苦笑いしたが、アラタの顔が少し恥ずかしそうなので、

「なんだ、南のことが好きなのか、俺は全然知らなかったぞ」とちゃかすと

「南さんと呼べ、あの方はお前とどういう関係なのだ?」とモジモジしたので

「隣の家に住む幼馴染だが、そう昨日も南の部屋で遊んだぞ」

「南さんの部屋だと。俺は家さえ行った事がないに、それも2人だけで遊んだだと、なぜ、俺を誘わないのだ」と悔しがっていたので

「すまん、すまん、夜遅かったのでな、今度はアラタを誘うよ」

「夜遅くに、若い女性の部屋に遊びに行くとは、やはりこの宮本アラタが姫に代わって成敗してくれる」とまた怒り出したので

「昨日の夜は、私も一緒でしたよ」と2人を見かねた望が口添えし、詳しい事情を話してくれたのでその場はどうにか落ち着いた。


 その後、楓さんも誘ったが修行の身なので断られたが、南にアラタもプールに一緒に連れて行っていいかとメールすると「了」と帰ってきたので、それに喜んだアラタは後で車が迎えに行くから3人はお昼を食べずに家で待っていろと言って、いつもより早く朝の練習を終わらしてくれた。

あんな強い男の弱点が南だとは訊いてみないと分からないものだとつくづく思ったが、ただあの南がアラタをどう思っているかはそれ以上に俺にも分からなかった。


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