表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
4/634

1-1-1

1-1-1 8月1日日曜日

 ピポピポピー、けたたましくいつものように朝6時に目覚ましが鳴り、目が覚めると、いつもと同じ2階の狭い自分の部屋、同じシングルベッドの上、同じパジャマだった。

 今日の寝起きは良くなはい。首筋を掻きながら昨日までの異世界のことは面白い夢だったなと枕元を見るといつも使っている赤いカバンが置いてある。

このカバンはいつも机の上に置いて寝ているのになとベッドからバタバタと急いで起きて慌てて中身を確かめると福袋と参加賞が入っている。

やっぱり、異世界のことは夢ではなかったとワクワクした。


「平助、起きたの、早く朝ごはんを食べなさい」いつものように1階から母の声がした。

「さぁ、まずは朝ごはんを食べて、その後は」とウキウキしながら食卓のある1階に下りて

「今日は何日」と朝食を準備している母に尋ねると

「何言ってるの8月1日、日曜日よ」

「1日、えっ、そんなことって」

召喚されたのが7月31日の夜か次の日の1日の朝方だったよな、あれから既に1週間は経っている。

今日はもう8月8日の筈だが。

慌ててつけているテレビを観ると、確かに8月1日晴れの天気予報が流れていた。


「やっぱりそうか、一夜の夢だったんだ。また寝ぼけたのかな」

そんな夢みたいな話はないよな異世界に召喚なんて、昨夜寝ながら観ていたアニメのせいだと一応は納得したが、

でも、起きて直ぐ確認した時、ちゃんと福袋と参加賞がカバンに入っていた。

俺の勘違いかと思ったがそこまで年はとっていない、まだ17歳だ。

いつものように母とは会話もないままに急いで朝食を済ませて部屋に戻り、もう一度カバンを確かめると、俺の勘違いではなく、やはり福袋と参加賞が入っている。

 

 今度は急いでカバンから参加賞を取り出し、包みを開けてみると中には紙とビニール袋が入っていた。

紙の方を手に取ると紙には以下のように書いてあった。

「この度は第十五回共和国軍VS魔王軍記念大会にご参加いただき誠にありがとうございます。参加賞として「お子様用勇者セット お試しモンスター付」を差し上げますので、次回大会までに鍛錬の程よろしくお願い申し上げします。   

                       第十五回記念大会本部事務局」


 今度はビニール袋を手に取ると「お子様用勇者セット お試しモンスター付」と書かれ、袋の中には掌に載るほどの小さな剣と盾と小さな字でぎっしり書かれた仕様書の1セットと「モンスター」と書かれた小袋が入っている。

「だれがこんな読みにくい仕様書をちゃんと読むのだろう」

中身は、なんだ子供のおもちゃ、それもどう見たって園児用と思える剣と盾に、子持ちの勇者しか喜ばないぞとがっかりした。

 

 なにげに付録の小袋を手にするとその裏には「使用前に1時間ほどお水に戻して下さい」とあり「これは何だろう面白そうだ」と興味が湧いたので、さっそく水の入ったコップにその粉を混ぜてみたが直ぐには何も変化が起きなかったのでシーモンキーの方がましだとガッカリした。 


 今度は剣と盾の仕様書を手にしてよーく見ると小さな字で

「使用時には手に持ちハイドロソード又はジュラルミントと名前を呼んで下さい。

1日30分使用できます」と書いてある。

 何のことだとうと不思議に思ったが、プラスチック製並みの軽さの剣を手に持ち、少し恥ずかしかったけど、部屋には1人しかいないしまぁいいかと、誰にも聞かれないような小声で「ハイドロソード」と喋ると何も起こらなかった。

 

「やっぱり、おもちゃじゃないか」とゴミ箱へ捨てようかとしたが、ちょっと待てよ、確か仕様書には「呼んで下さい」とあったな、まだ朝早いので、人に聞かれておかしな人と思われることはないだろうと「ハイドロソード」と呼ぶと

剣はみるみる大きく重くなり異世界で貸与された本物の聖剣と見た目は同じものになったので、剣を持っていた手はその重さでガックとなった。

「すげぇー、これでも子供用なのか。こんなに重くなるなんて質量保存の法則も真っ青だな」でも、間違って使うと危ないぞ、人には絶対向けられないな。


 なるほど、大会本部は勇者が戻った世界で次回大会のために俺らに剣と盾の練習をさせるつもりだな。

そっか、それで、窓口の職員は「それまでお体に十分に注して頑張って鍛錬して下さい」って言っていたのか、じゃ、こちらも試しにと盾を持ち、恥ずかしさを忘れて「ジュラルミント」と呼ぶと同じようにみるみる大きく重くなった。


 どうやって練習するのだろうかと、大きく重くなった剣を振ってみたり盾を叩いてみたりして遊んでみたが重いし、使い方が分からないので疲れるし、母から「日曜日の朝早くからドタドタうるさい、近所迷惑よ」と叱られたので、これらは俺には必要ないなと部屋の隅に剣と盾を置いてそのままにしておいた。

 そして、暇つぶしにスマホでゲームをしていると、もう大きくなって30分以上過ぎたのか、気が付くと元の小さな剣と盾に既に戻っていた。

「なんだ後5分で終了しますなんて言わないんだ。不親切だな」

所詮、全員もらえる参加賞はこんなものかぁと少しがっかりした。

 ふと、粉を入れたコップが気になりコップを見ると空になっていた。

既に1時間過ぎたのか、でも、部屋にはモンスターらしきものは現れなかった。

まぁ、こちらも子供のおもちゃの付録だからな、現れても高が知れているなと思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ