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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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2-1-5

2-1-5

 平助が家に帰ったことを南と望が確認すると2人共に何か肩の荷が下り昔からの友人のように、まずは南から気軽に話し出した。

「相変わらず、平助は妖怪の話は全然興味がないみたいね。

思った通りに呆れた顔をして直ぐに帰ってしまったわ。

でも、驚いた、驚いた。いきなり望ちゃんが平助の従妹で現れるんですもの。

それも2年ぶりにね、しばらく、望ちゃん元気だったって喜びの余り抱きつこうかと思ったほどよ」

「驚かせてごめんなさいね。私もこんなに早く戻って来るとは思わなかったし、

急だったので少し帰還設定に無理があったみたいね。

でも、南ちゃんだけだよ、私を覚えてくれていたのは、平助なんて私の名前聞いてもポカンとしていたので、ひっぱたいてやりたかった」と焦れたそうにしていた。


「じゃ、まだ平助は大好きだった貴方のことを思い出してない訳か。

でも、それは仕方がないわよ、もともと貴方達が彼等の記憶を消したのだから。

ただ、私が、遺伝か体質かそれとも家に張った結界のお陰でそれを少し免れたに過ぎないだけよ。それで今度はどんな目的で戻ってきたの」

「その平助の記憶をどうにかして取り戻そうと」深刻な顔で答えると

「えっ、それはまたなぜなの、一度全部消しておいて、今度は貴方達の都合で取り戻すなんて身勝手過ぎるわよ」と怒りが湧いてきたが

「ごめんなさいね、確かに身勝手過ぎるわよね。

でも、あの時は記憶を消さなくてはいけなかったのは、掟なので私にはどうしようもなかった。それで、彼の記憶だけは消さないでと父にあれだけ頼んだけど。

だから仕方なく父には内緒で3年後に平助が私に会ったら記憶が戻るようにはしていたんだけど、それが」と悲しそうに話した。


「そう酷い掟ね。異世界に帰る時にはこっちの世界の関係者の記憶を全て消すなんて、それで自分達の記憶は消さないなんて勝手が良すぎるわよ、それで平助がこの2年間どれだけ苦しんだか、傍から見てかわいそうなくらい。

だって無くした物がなんだか分らずにその無くした物を探しているみたいなものでしょう、私が「それはサクラよ」って教えることは出来ないし、それで心に穴が開いたみたいになって全然やる気がなくて、人付き合いさえ止めてしまって、自分で硬派硬派って言っているのもそのせいよ。なぜか好きな女の子を作るのが怖くなったのよ」と不満を漏らすと

「また平助が元気になったのは南ちゃんのお陰です。南ちゃんがずーっと彼の傍にいてくれたので助かりました」とその苦労を労い、昔の思い出話に花を咲かしていた。


「でもバンパイアが平助に目を付けるとは、既に和気藹々で婚約したとは予想外だったわ。それも短期間に既に2度噛まれているなんて、

普通より早すぎる、もう一度噛まれたらもう終わりよ。

平助は彼女のものになり、そうしたら永遠に彼の記憶は戻らない。

例え私に出合っても、私がどんな事をしても記憶はもう戻らない。

私の中には永遠に平助がいるのに、平助の中から私が消えてしまうなんて、

そんなことは許されない。いいえ絶対に許さない。その前に絶対に手を打たないといけない」と望が今回帰ってきた本当の理由を話し出した。



「手を打つってどうするの、でぇ、どうすれば彼の記憶が戻るのよ」

「それが図書館でも調べたけど私にはよく分らないのよ。平助が彼女の心臓に杭を打ってくれれば一番いいんだけど。それは無理そうだし、

残念ながら、今の私に出来ることは食事療法で少しずつ記憶を回復させる事しかできない。それに絶対に3回目を防ぐことしか。

それと、本によると特別な強い刺激でも与えると戻るとも書かれているけど、その刺激が何なのか不確定なので分らないの」と不安そうだった。


「じゃ、一掃の事、全部話してしまえばどうなの、私は異世界から来て帰る時にあなたの記憶を全部消したって、だからもう一度思い出してって」

「でも全てを話してしまうと平助が混乱してしまうのも危険だし、特にバンパイアに噛まれた後では彼女の虜になっているので、運よく理解してくれても彼女に都合の悪い記憶は一晩寝るとまた忘れるし」

「そうね、平助は単細胞だから頭が混乱するでしょうね。私でさえ、本当の記憶か偽の記憶か、どちらの記憶のことを言っていいのか迷うし、今だって婚約者のことを間違って言ってしまったし、それに今の平助は彼女しか見えていないので、たぶん貴方の言う事は信じないでしょうね。

かわいそうな平助、あれだけ好きな人がやっと帰ってきてくれたのに。

だから早く彼女の心臓に杭を打て打てって進めたのに、あの意気地なしがそれができなくて、だから話がややこしくなるのよ。

あとは特別な強い刺激を見つけることね。そうだ、思い切って今夜裸になって平助の部屋にでも行って、あの婚約者より早く結ばれちゃえば勝ちじゃないの」と南が凄い提案をすると

「それはちょっと、まだキスもしていないし」と望が恥ずかしそうにモジモジすながら答えると

「えっ、キスもまだなの、だから、奥手と清純はだめなのよ、あぁ、面倒くさいカップル」と南は呆れていた。


 俺はそんなことを2人が話しているとはまったく知らずに、まだ片付けの最中の散らかった部屋に戻ると、今日は聖剣を使っていなかったので剣を手にして呼び出し、明かりを消して精神を集中して会話を試みた。聖剣を使わなかった日は夜にこうしているので癖がついてしまったようだ。

アラタの言う「聖剣を感じろ、聖剣が何を考え、何を求めているのか感じて、会話しろ」がまだ上手くできていないが、あの夢を見たときから何か少し分かったような気もする。

 聖剣は単なる道具ではない、苦楽を共にし、最後には共に命を守る友だと気づいただけでも、俺も進歩したものだ。

 その後、1日の疲れで望が部屋に帰ってきたことにも気づかずに床の上でグッスリ寝てしまったようだ。



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