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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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7-5-5

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車から降りるとお城の様な門を通り抜け広い玄関から屋敷の奥に通された。

アラタは脇目も触れずに長い廊下を歩いていたが、俺は王宮の廊下にも劣らない動物の剥製や置物の凄さにキョロキョロしていた。

「恥かしいからキョロキョロするな」

「それは分っているが・・見た事も無い動物の剥製が有るんだ。いったいこの動物は何なんだ?」

「動物じゃないかもな、もしかすると魔物かもしれないぞ」

「魔物って・・冗談を言うな。魔物の剥製なんて聞いた事が無い。それに魔物なんて居るのか?」

「ここから更に北には魔物の国が有るとの話だからな、もしかして今まで見た事も無い魔物も居るかもしれないぞ」

「魔物の国・・初めて聞くな、そんな国なんて以前見た地図には無かったぞ」

「俺も詳しくは知らないので戻ったら姫様にでも尋ねてみるんだな、もしかしたらご存知かもしれない」

「悪魔に魔物に付いて訊けとはお前も怖いもの知らずだ」

「姫様を悪魔呼ばわりするお前の方が恐ろしいぞ」


そして大きな書斎に通された。そこには夜遅いというのに老人が座って静かに本を読んでいた。

俺はその本の多さに驚いていたがアラタは直ぐにその老人に頭を下げた。

「ご無沙汰しておりますご隠居様、突然にお伺いしてすみません」

「本当に突然ですな、午後にご連絡を頂いき急に来られると聞いて驚きましたよ。それにしても1年ぶりですかな?」

「はい、早いものでそれぐらいになります」

「それでそちらの方は?」


「名前は既にご存知だとは思いますが、去年の武道大会で準優勝した中村平助と言います」

「始めまして、平助です。夜分突然お伺いしてすみません」

「貴方が平助さんでしたか、以前から一度お目にかかりたいとは思っていましたが、こんなにも早く会えるとは、それで今回のご用件は?」

「はい、お忙しいところすみませんが、ご隠居様にお頼みが有って参りました」

「はって、この田舎の老人にですか?」

「早速ですがこのナイフをご覧いただけないでしょうか?」とアラタの勧めで俺が上着の内側からナイフを出してご隠居様に手渡した。


ご隠居様は手にして一目見るなり

「これはまた珍しいものを、確かこれは隊長の証のナイフではないでしょうか」

「流石にご隠居様ならご存知でしたか」とアラタがここまで来たのは無駄ではなかったとホッと胸を下ろしたが、ご隠居様は更に詳しく見定めた。

「鈍く黒い光沢からして北門の隊長の物でしょう」

「そこまでお分かりとは、苦労してここまで来た甲斐が有りました」

「アラタこれはどう言う事だ、ご隠居様が知っているとは思いもつかなかったぞ」

「少し煩いぞ、黙っていろ」


「それで私に何を頼みたいのでしょうか? アラタさんには孫娘もお世話になっている事だし出来る事が有れば何なりとお力は貸しますが・・」

「力を貸して下さるそうだぞ。おい平助、尋ねたい事を早く言ってみろ」

「それではお言葉に甘えまして、すみませんがこの玄武の秘術はどうすれば出せるのでしょうか? 聖剣と同じように名前を呼べば発動し大きくなるとは分かっておりますが、秘術を出すには特別な何かが必要だと聞き及んでおります。もしそれをご存知なら教えて頂きませんでしょうか?」

「ハッハハ、そんな事で態々こんな遠い所まで来られたのですか、何時でも電話して頂けたならばお答えしましたのに・・」


「うっ、そうだった。電話という手段が有ったのか」と俺は思ったが、アラタはそんな事は重々承知した上でばかりに

「併せて親衛隊についても色々お聞きしたくて参りました」

「そうでしたか・・北門のナイフは確か玄武でしたね。他の3本が同じ神獣の名前で、えぇっと・・白虎、朱雀、青龍だったでしょうか」

「確かに名前はおっしゃられる通りですが、それよりも特別な何かとは何でしょうか? それが知りたくて来ました」

「それは簡単な事ですよ」

「えっ簡単って・・」

「それは、この玄武に認めて貰う事です」

「玄武に認めて貰うって・・じゃ隊長は認められたと言うのですか?」

「その逆ですよ、証のナイフに認められたから隊長になれたのですよ」

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