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宿に戻るとアラタも図書館から既に戻っていたが少し疲れているようだったので、まさか試合が終った直後にでも練習をしていたのかと思い尋ねた。
「アラタ、あれからもしかして練習か?」
「俺はそんな剣道バカじゃないぞ、ちゃんと図書館に行ったんだ」
「字が読めない筈のお前が図書館で何をしていたんだよ?」
「勿論勉強に決まっているだろう、他に図書館で何をするんだ」
「それもそうだが、こんな所に着てまで勉強とは相当暇だな、もっと観光とかしないのか?」
「観光って、時間が有るから勉強するんだぞ。それでお前は連日散歩ばかりして大丈夫なのかよ?」
「大丈夫なのかって、何がだ? 用事は無事に全部済んだでフリーだぞ」
「全部済んだだと、お前はすっかり忘れているな、能天気もここまで来ると頭が下がる」
「俺が何を忘れているって言うんだよ、南と楓のお土産はちゃんと買ったし・・」
「良く考えてみろ、何故この1週間午前中で授業が終わり、剣道の練習がお休みかをだ!」
「それは・・今日の交流会の為だろう」
「能天気を超えて脳みそが無いな、剣道の大会の為に授業が休みになった事が今まであったか?」
「ん・・そうだと嬉しいんだが、確かに無いな」
「当たり前だ、交流会は学園とは何の関係も無いし、そんな行事は誰も知らない」
「考えてみるとそれもそうだな、じゃ授業が休みなのは何故だ?」
「それは試験の為だ。月曜日から学力試験を兼ねたクラス分け試験だぞ。可哀想だがお前には戻ったら日曜日の1日しか無い、その1日で確り勉強しろ」
「それは本当か、学力試験なのか、しまった見事に忘れていた。それで月曜日はどの科目だ」
「それさえ知らないのか、最悪だな」
「そんなに大事な試験なのか、試験が悪ければ追試とか有るだろう、最悪レポートで許してもらおう」
「クラス分け試験に追試とかレポートとか有るか、成績が悪ければそれまでだ。
お前が入る3年生のクラスは無い、もう1回2年生をしないといけないようだな」
「もう1回2年生は拙いな。でも大丈夫、いざとなれば国王に頼んで王立の高校に編入して大学に入れてもらうよ」
「平ちゃん、王族でもダブリの方の入学は遠慮してもらうわ」
「えっそんな。たった1日で俺に何ができるんだよ、後は全部マークシートを祈るしか無いのか、4月から楓を先輩と呼ぶのは辛いぞ」
「後悔しても遅い、今までお前には充分な時間が有ったぞ、それをフラフラして無駄にしていただけだろう」
「フラフラしていたのは俺だけじゃないぞ、ずっとヒカリも一緒だった」
「えっ、半分は私のせいなの、もう最低な人ね」
「そうだヒカリ、もう1週間ここに居られないかな、その間に猛勉強するから、
そうすればどうにかなるから、お願いしますもう1週間、慈悲深いヒカリ様」と手を合わせて頼むと
「今からだとそう言う手しか無いのね。これから夫が高校のダブリだと一生恥ずかしいわ。じゃもう1週間残りますが、その代わり外出禁止で部屋で猛勉強よ、死ぬ気で頑張りなさい」
「勿論です。ヒカリ様、よろしくお願いします」
「じゃ、そうと決まれば夕食を済ませたら直ぐに勉強するわよ」
「しまった、俺は勉強道具は持ってきてなかったんだ」
次の朝にアラタだけが送喚されて試験を受ける訳には行かないので2人はこの国に1週間残る事になった。