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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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4-6-9

4-6-9

「それではお願いします」と俺が剣を真上から振り下ろすと、彼は体を横にするだけですーっと交わしてしまった。続けて剣を振っても体を動かすだけで避けられてしまった。聖剣で防ごうともしなかった。俺の単調な振りでは体を動かすだけで充分なのか。

今度は彼が真上から聖剣を振り下ろすと俺は聖剣でいなすように受け止めたので聖剣にはヒビは入らなかったが体格の割にはズシッと思い振りだった。

「いなしたにも関わらず、凄い振りだ。これをまともに受けると剣がもたない」と彼の振りを避けようとはしたが、なかなか上手く避けられずに聖剣で防いでしまっていた。


俺が上手く攻めきれずに守りに重点を置いて戦っていると、俺が積極的に攻撃しないので

「どうした、平助君、今日は調子が悪いのか」と誘って来たので

「こちらの作戦です」と答えたが、信じたどうかは分らなかった。

「どうして平助はもっと積極的に攻めないんだ、平助、攻めろ攻めろ」とアラタの叱咤が聞こえてきたが、彼から出るオーラは凄いのでそう簡単に攻め込めるものではなかった。

「たぶん攻めたいけど攻めきれないのよ。本部長の何かかがそうさせているんだわ」

「そう言うものですか、あぁ、じれったい、平助、攻めろ攻めろ」とまたしてもアラタの声援は聞こえてきたが、俺にはどうする事もできなかった。


そんな俺が攻めきれない攻防が5分ぐらい続くと、やっと彼に疲れが見えてきた。

「やっと、攻守交替か」と攻撃に転じたが、俺の力を入れた攻撃は上手く聖剣でいなされてなかなか決まらなかったが、体力はまだ充分残っているので攻撃を続けた。

「長旅と睡眠不足はこの年齢にはきついな」と俺の攻撃を立て続けに聖剣でいなしていたが、両者が聖剣の技を一向に出さないので観客席からブーイングが起こり始めた。

「もしかすると平助は技を出さないつもり」とヒカリがここでやっと俺の行動に気付いたが、時は遅かった。


「残り時間3分」とのアナウンスが流れたが、既に彼も技を出すつもりは無く、2人は今の実力のみで戦っていた。観客席からはまるで剣道の試合のように見えていたようだ。

「平助、技を出すんだ。早く出すんだ」とアラタの声援が聞こえてくるが、俺にその気はなく、一振り一振りに力を込めて攻め立てたが、さすがに伝説の勇者は俺の全ての振りを

いなしていた。

「ブーブー」と試合終了のブザーが鳴り試合時間10分があっと言う間に過ぎてしまった。

審判が2人の真ん中に割って入り両手を高かく振ると、どよめきが上がったが両者は笑顔で握手をすると「またお願いします」と俺が頼むと観客に礼をして両サイドに離れた。


「両者 引分け」と審判からの正式なコールがあると「いい試合だったと」男の声援が次々と上がったが「なんなのあの試合は技が出ていないし、つまらない」という声もあがった。


汗をびっしょりかいた俺が会場から降りてくると

「お疲れ様、でも平ちゃんの考えは私には難し過ぎるわよ」とヒカリが言うし

「どうしてもっと攻めないんだ、何のために技を練習してきたのか俺には分らん」とアラタは少し怒っていたが

「俺は楽しければいいのさ、ただ彼とは素直に10分間戦ってみたかっただけさ、勝ち負けは二の次だ」

「試合なのに勝ち負けは二の次だと、お前の考えは俺には分らんぞ」

「チームも勝ったし、誰もケガをしなかったので、それで良いじゃないか」

「まぁ、そう言われるとそうかもしれんが」とアラタもどうにか納得したようだ。


「これで1勝2引分けで、こちらのチームが勝ちよ。どうにか面目は立ったようだわ、あぁ、やっと肩の荷が下りた。今晩はお酒でも飲むぞ」とヒカリは喜んでいたが

「おいおいその姿でお酒は拙いだろう、それに俺にチュはないのか?」

「引分けにはチュはないわよ、試合は勝たないといけないのよ」

「姫様の言う通りだ」

「おいおい、アラタさっきとは違っているぞ」


その後に表彰式などがあったが、チームが勝利したので国王も喜んでいたし、最優秀選手には当然ヒカリが選ばれた。まぁ、この試合で勝ったのは彼女1人なのでそれも当然だろうが、これにも賞金が出るらしい。彼女にはお金の女神が付いているのだろうか、しかし、1勝2引分けはヒカリの予想とは違っていたがさて賭けは勝ったのだろうか?


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