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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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4-6-6

4-6-6

「奥義 三位狼牙」と叫び彼女が全力をその剣に注ぐと、彼女が3人に見え始めた。

「何だ、分身の術のようだ」とアラタが言うように、その3方向から剣先が数十本の槍のように対戦相手に襲ってくる。

「アクアウォ-ル」と相手が叫ぶと氷の壁で一方の攻撃を防ぎ、左手に持つ聖なる盾でもう一方を防いだが、3つ目の攻撃は聖剣だけでは防ぎきれなかった。相手方は全身に剣先を数十箇所受けて床に倒れてしまった。

「ヒカリめ手を抜いたな、普通の狼牙か。まぁ親善試合なのでそんなものか」と納得している横で

「確かに姫様が3人に見えたぞ、それにあれが普通だと、じゃ特別はもっと凄いのか?」とアラタは驚きを隠せないようだ。

審判が駆け寄ったが相手は床で蹲り起き上がる気配がないので両手を高かく振ると、歓声が上がり、彼女が優雅に観客席に手を振った。

「勝者 バンパイア国」と審判からの正式なコールがあると、歓声が更に上がり姫様コールが鳴り止まなかった。


彼女が会場から降りて来ると監督やスタッフに祝福されていたが、直ぐに

「あぁ寒い、寒い。このままだと風邪を引いてしまうわ。悪いけど私は一足先にお風呂に入ってきます」と次の試合のアラタに頑張るように言うと急ぎ足で行ってしまった。


「まぁ相手には悪いが第1戦は戦う前から勝敗は見えていたかもな」

「どうしてお前にはそう言えるんだ。お前は姫様に気を抜くなと注意していただろう」

「確かに注意をしたが、それは念の為だ。俺達の為に試合を自分に有利な夜から不利な朝に変えた事で分るようにヒカリには勝つ自信が相当あったのだろう」

「そうなのか、姫様はそんなに強いのか」

「強いとも。だぶん勇者武道大会に出たら5連覇は簡単にするな。それにまだこの試合で本気を出していない。朝の試合でも俺の指輪の力を使えば半獣になれるし、そうすれば早く試合が終わっただろうに、たぶんそうすれば観客は喜んだに違いないが、半獣の姿を全国に見られるのが嫌だったのだろう、それとも対戦相手がケガではすまなくなるから辞めたのだろうな」

「たぶんお前に半獣の姿を見られたくなかったんだよ」

「そうなのかもしれんな。さぁ、次はお前の番だぞ頑張ってこい」


さぁ、今度はアラタの番だ前回の借りを返そうと剣道の試合とは比べようがないほど気合が入っている。考えると剣道の試合ではその戦い方を見ているが勇者としての試合を見るのはこれが初めてだ。それに本気で力を出さないと勝てない相手だ。

スピーカから第2試合目の両選手の名前が大きく流れると歓声が高まったが、相手側応戦席からも昴さんへ応援は凄かった。ただ残念な事に宮本アラタとはコールされないのであいつの応援の大きさはヒカリには負けていた。

会場中央に対戦者2人が並びスクリーンに各自の顔が映し出されると、やはりその下に経歴や実績が出ていたが、だがここからが違っていた。アラタの顔がスクリーンにアップになると多くの観客が本気で気が付いたのだろうか

「キャーキャー、アラタさまー」と凄い黄色の声援が巻き起こった。それに気を良くしてか奴の緊張が取れたようだ、観客席に手を振って愛想を振りまくっている。まるでアイドルのコンサート気取りだ。マイクを持って歌い始めそうな雰囲気だった。


審判から2人に注意事項の説明が終わると対面して何か話していたようだが、こんなに真面目なアラタの顔を見るのは初めてだったし、対する昴さんもいつもの練習の時とは段違いに真剣そのものだ。

副審が会場の隅に陣取ると2人が礼をして距離を縮めて互いに戦闘態勢が整うと

「始め」と審判の一声で歓声が割れんばかりになると俺は自分の事の様に試合に魅入ってしまった。

アラタはいつもとは違い特注の剣を両手で確り持って構えた。これに対して昴さんも聖剣を両手で持って構えた。2人とも盾は持たずに剣だけで戦う、まるで昔に侍の果し合いだった。


「さぁ、まずは私から」とアラタが剣を真上からサァッと振り下ろすと、昴さんは体を横にすーっと動かすだけであっさりと交わしてしまった。

今度は昴さんがアラタの真上から聖剣を振り下ろすと以前俺が練習した様に少し距離を置いて上手く交わせていた。

「上手くできている。これも南のお守りのお陰だ」と俺はみていたが、実際はアラタの練習の成果だろう。続けて昴さんが連続攻撃を仕掛けてきたので剣で受け止めたが、上手く力を逃がしているみたいだ。前の試合のように剣に異常が見られなかった。

これで秒殺が無くなったので気が晴れたのだろうか、アラタが連続攻撃を仕掛けていった。さすがに昴さんはこれらも無難に交わして両者は距離を置いた。最初の小競り合いは引分けのようだ。


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