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ヒカリは居候しているアラタの家で夕飯を済ませるので、俺は一度家に戻って夕飯を済ませて聖剣を身に付けてまた剣道場へと戻った。それから2人で指輪の世界へと向かい、そこで技の練習を数時間したのだがそう簡単には2つの力が合わさった技はできなかった。それどころかバンパイア族の剣で身に付けている聖剣の技を出すのさえ苦労する始末だった。
元の世界に戻ると時間は余り経っていなかった。でもこれ以上は練習はできないといわれているのでアラタは庭でどんな練習をしているかと見に行くと大きな岩を相手に黙々と練習をしていた。
「どうだ、聖剣の技は使えたか?」と声をかけると特注の剣を手にして
「技は発動するが、力が弱いな。これなら直ぐに撥ね返される」と納得が行かないようだった。
「そっか、どの聖剣を身に付けているんだ?」
「ハイドロソードとファイアーソードの2本だ」
「2本か、それも水の属性と火の属性だな。それにしてもその2本は相性が悪い、まるで正反対の属性だ」
「そうなのか、聖剣同士の相性とは考えてもいなかった」
「聖剣二本を同時に使う奴なんていないのでそれは当然だ。よし、分った俺が選んでやる」とアラタの肩に手をのせて
「真実の剣よ、教えてくれ、アラタの属性は何か?」と目を閉じ身に付けている聖剣に心の中で静に尋ねた。
「分った。お前はファイアーソードだけを身に付けろ、勿体無いがハイドロソードの技は諦めろ」と忠告すると
「どうして、お前にそんな事が分るのか?」と半信半疑のようだったが
「詳しい説明は後だ。今度はファイアーソードだけで試してみろ」と強く進めると、アラタはハイドロソードを外すと特注の剣を手にして
「ファイーヤーボーム!」と叫ぶと先よりも凄い勢いで炎が飛び出し庭石を砕いた。アラタはさっきよりも勢いのある炎に驚いていたので
「ほら、言っただろう。お前は火の属性だよ。聖なる盾も同じだぞ、自分の属性を考慮してみろよ」
「本当だ。お前はいつから魔導師にでもなったのか、一体そんな事をどこで覚えたんだ」と驚いていた。
それからアラタの練習を見ながら奴にこれまでの真実の剣の話しをした。
「お前がそんな聖剣を持っていたとは知らなかった。それで俺の属性を見抜いたんだな」
「ネタをばらすと簡単だろう。俺じゃなくて、真実の剣様様だ。それがな、本当は俺も真実の剣の凄さをつい先日までは知らなかったんだよ」と笑うと
「本当はね、平ちゃんは、先日まで真実の剣の名前さえも思い出せなかたんだから」とヒカリも笑った。
「名前を知らなかった。それでどうしたのですか?」
「それで見かねた聖剣が平ちゃんに名前のヒントをくれたのよ、それでやっとの事で思い出したの」
「おいおい、そこまでは話さなくていいんだよ、だって数百年前の事など思い出せないよ」
「数百年前の事って・・、お前は時々おかしな事を口にするな」
「異世界との往復が少し頭に影響しているんだよ、余り気にするな」
「そうかそれなら仕方がない。じゃ、交流会はお前は真実の剣で戦うのか?」
「いいや、俺はこの聖剣では戦わないつもりだ」
「どうして、凄い剣なのだろう、相手は昴さんか伝説の勇者だぞ。勝ちたくは無いのか?」
「そりゃ勝ちたいが、実はこの聖剣は共和国の国宝なんだ。それが去年に盗難事件に合ってしまってこれを持っているとその犯人にされかねないんだ。特に今度の対戦相手はその捜査をしている警察庁特捜本部の2人だ。もし真実の剣を持っているの見つかって、犯人と間違って逮捕されても困るし、下手をするとこの世界に戻れなくなるからな」
「やっかいな剣だな。まぁ、お前には姫様ご推薦の人殺しの剣もあるし、真実の剣は必要ないか」
「それを言うなよ、逮捕されるより祟られるの一番が恐ろしいんだから」