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アラタは俺と楓の半分冗談を真剣に悩んでいたが、国王の為と
「姫様のお頼みなら仕方がない、こうなったら平助も覆面だな」と決心した。
しかし、横で楓が何を想像しているのか、お腹を叩いてゲラゲラ笑っていた。
「おい楓、そんなに何が可笑しいんだよ?」
「だって、国際試合の交流会に覆面をした体の細いお2人さんが出るんですよ」
「そうだけど、何かあるのか?」
「交流会は全国放送、それに海外にも流れるんです。そこでコメディアンのようにお間抜けの覆面で出たら観衆は大笑いですよ。それで最後に試合に負けて勝者から覆面を剥がされて正体をばれたらお2人は一生異世界では外を歩けませんよ」
「負けるとそんな事になるのか、覆面は少し考えようか・・」
「大丈夫よ、もしもの時には2人の目元に黒い傍線を入れるわよ」
「おいおい、そっちの方が拙いだろう。俺達は犯罪者か」
「じゃ、顔全体にモザイクでもかけるから安心して」
「それはもっと嫌だ」
「これで出場は決まりね。それで2人には厳しいけど聖剣は使えないわよ。
だって使うと勇者って直ぐにばれちゃいますから、それでも出場は大丈夫なの?」
「うっ、聖剣無しで共和国の勇者と戦うのか。確か昴さんは出場しない筈だけど、それでもちょっと厳しいな」と少し俺が弱音を吐くと
「でも平助、これは面白そうだぞ。本当の俺達の実力が分るかもしれない。
あれから3ヶ月でお前がどれだけ強くなったかもな」
「そうか、そう考えると面白そうだな。じゃ、俺はカンフゥーボーイとして出場するかな」
「じゃ、俺はバンブーボーイで出てみるか」と2人が冗談を言うと
「2人合わせてお間抜け兄弟1号2号がいいですね」と楓が本気で言うと
「国の代表にお間抜けはちょっと拙いので、出場選手名は剣術お宅1号2号にしましょか」とヒカリが決めてしまった。
「名前は後でよく考えるとして、それでヒカリ、出場するのは俺達2人だけでいいのか?」
「大丈夫よ、私を入れて3人だから」
「えっ、お前も出るのか、それじゃお前は剣術お宅V3だな」
「だれがV3よ。私は女性だしお宅でもないわ、私はれっきとしたお姫様なのよ」
「お姫様は分るけど、二十歳を越えているしな」
「じゃ、光の妖精の剣術プリンセスぐらいで勘弁してあげるわ」
「光と名前のヒカリをかけたのか?」
「当たり前でしょう、それにお姫様とプリンセスもかけているのよ」
「そこは誰でも分ると思うけどな。それに夫持ちのアラサーが妖精とは少し痛くないか?」
「誰がアラサーよ。でも夫持ちはまだ公になっていないので見逃してくれる筈よ」
「それで、勿論お前も覆面はするんだろうな?」
「誰がそんなものするものですか。ちゃんと私にはメイクさんや衣装のコーディネイターが付くから心配しないでいいわよ」
「おいおい、俺達と随分扱いが違うぞ」
「ゴチャゴチャ言わないの。こうしちゃいられない、期日はもう直ぐよ、そうと決まればお2人さん早速練習を始めましょうか?」
それから楓を入れた4人で立合いを何度か繰り返して少し休憩を取った。
「姫様、相手が聖剣で来るならこちらは木刀では太刀打ちできませんよ」
「それは、まかしておいて。アラタさんには既に特注の剣を急いで作らせているわ」
「それは凄いな、俺のトンファーのようにそれも特注、さすがに交流戦だなお金をかけている」
「レア金属で作らせているので、聖剣でもそう簡単には傷を付けられないわ」
「じゃ、俺とお前の剣はどうするんだ、それも同じく特注か?」
「そんなにお金は無いわ。でも王族伝統の剣があるのよ。それも国宝級よ」
「それも聖剣なみに凄そうだな」
「えぇ凄いわよ、何百人と人を切った剣ですもの、切られた人の怨みがたっぷりと染み付いているわよ」
「おいおい、俺はそんな剣は嫌だな、後で祟られそうだ」