4-2-7
4-2-7
「国王がお許しなされたのなら、私から何も申し上げる事はございません。私の家でよければどの部屋でも自分の部屋として使って頂いて結構ですが、私も楓も学校が始まりますと夕方まではいませんけど、それでもよろしいでしょうか?」
「貸して下さるのね、本当によかったわ、助かります」
「おいアラタ、勿論無料だろうな?」
「俺はお前ほどケチではない。勿論タダだ」
「タダだと、良かったなヒカリ、これから無職になるから高級マンション並みに賃料を取られたらどうしようかって悩んでいたけど、余計な悩みだったな」
「そうね、よかった。これで肩の荷が1つ下りたわ」
「1ってまだ他にもあるのかい? 俺にはもう無いけど」
「それがまだあるのよ。それとアラタさんにもう1つ訊くけど、事務局から交流会への参加の連絡が来たかしら?」
「えっ、とっくに来ましたよ。それが何か?」
「それで、参加の可否はなんて答えたの?」
「今回は、不参加で回答しましたが・・、ですから、それから事務局から何度か出場の依頼がありましたが、全部断りました。そう、平助も断ったんだよな?」
「あっ、俺も断ったよ。来年入試だから今は学業が忙しいって」
「2人は交流会の出場を断ったんですか、あの交流会ですよ。国際試合で出場選手は国家代表として国民から尊敬される、あの交流会ですよ」と楓が驚いていたが
「あぁ、俺もアラタも忙しいので断った」
「断ったのね、それはよかった、助かったわ」
「おいおい、助かったってそれはどういう事だい?」
「それは家に戻ってから詳しく説明するわ。もうこんな時間だ、そろそろおばさんも旅行から戻るころだから、平ちゃん帰りましょう。新年の挨拶をしておかないとね」と2人して家へと戻った
ヒカリが作ったお昼を食べて居間で雑談していると母が旅行から帰ってきた。
「ただいま、今帰ったわよ、平助いるんでしょ。お土産があるから玄関まで来て」
「はーい、今行くよ」と俺が返事をして、ヒカリが玄関に行くと
「おばさん、あけまして、おめでとうございます」と挨拶した。
「あら、ヒカリちゃん、来ていたの」と少し驚いたが
「はい、さっき私も着いたんですよ。荷物を持ちます」と、さっそく重いお土産を居間まで運んだ。
「2人はお昼は食べたの?」
「さっき食べたよ。それがねヒカリちゃんが作ってくれたんだけど、料理が美味くなってね、驚いたよ」
「あら本当、母さん帰ってきたばかりで少し疲れているから、じゃ、簡単なものでいいから夕飯もヒカリちゃんに頼もうかしら、それでいい?」
「いいですよ、じゃ平ちゃん、後で買い物にでも行くから一緒に行くわよ」
「お腹もいっぱいだし、少し散歩もするか」