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思っていた通り真実の剣が発動した。やっぱりヒカリにも旧王国の王族の血が流れていたんだ。
ここで試して正解だった。たぶんこんなに上手くできたのは異世界では俺の魔導の力が上り、それに指輪の力のお陰だろうか。
今の不思議な光景に驚いた彼女はポカンとしていたが、俺が彼女の肩を軽く揺さぶると正気に戻り俺の方に振り向くと
「ねぇねぇ教えて、あの光景は何だったの・・、魔導の力で私に催眠術でもかけたの?」
「催眠術じゃないよ、あれは真実の剣が発動したんだ」
「真実の剣が発動したって・・、それにあの2人は誰なの?」
「あの2人はきっと古の俺と君じゃないかな」
「私達2人って・・」と俺を不思議そうに見つめていた。
すると、どこからか頭の中に声が聞こえてきた。
「久しぶりに2人の楽しい姿が見られるなんて、何百年ぶりだろうか。あぁ、あの頃は毎日が楽しかった。私はいつも君達と一緒だった」
「その声は真実の剣か!」と驚いて叫ぶと
「平ちゃん私にも聞こえるわ。あの声は誰なの? これはどう言う事なの? この部屋には2人しかいないのに・・、もしかして心霊現象?」と驚いて少しパニック状態になり騒ぎ出した。
「落ちついてくれ、詳しくは後で話すから・・。お願いだから少し黙ってくれないか」と確りと彼女を抱きしめると
「ごめんなさい、分ったから。そんなに抱きしめると痛いわよ」
「聖剣よ教えてくれ。毎日が楽しかっただと、するとお前は俺達と一緒にいたのか?」
「お前はすっかり忘れているようだな。しかしそれは、あれから長い長い時が流れたのだから仕方のない。私の名前を思い出せないのは仕方のない。何百年も何世代も時が流れたのだから、誰もお前を責めたりはできない」
「聖剣よどうか許してくれ。いくら思いだそとしても、どうしてもお前の名前を思い出せないんだ」
「気にするな、わが友よ。それが人なのだから、それが時の流れなのだから」
「我が友だと・・」その時俺はハッとした。
やっと思い出した。真実の剣が言うように俺は聖剣の名前を知っている。いや、忘れてはいけない名前だった。愛する妻と我が子の命を助けた恩義ある聖剣の名前だから。それに真の友の名前だから。
「思い出した。やっと思い出したんだよ」と喜びが溢れ出すと
「どうしたの急にそんなに喜んで、それに何を思い出したのよ?」
「一番大事な事を思い出したんだよ」
「大事な事って何? 私より大事な事?」
「君より大事な事なんか無いよ。お願いだから、少し黙って見ていてくれ、そうしないとまた忘れてしまいそうだから、やっと数百年ぶりに思い出したんだから」
「アッハハ、いつの時代でも相変わらず2人は仲はいいな」
「いつの時代でもって・・、あなたは誰? 私達を知っているの?」
「知っているとも、お姫様も勇者も・・、そしてその子供も」
「ヒカリ、お願いだから聖剣と話をするのは後にしてくれないか、俺には大事な用があるんだ」
「ごめん、分ったから早く済ませてね」
「友よ、すまなかった。長く待たせてしまった。どうか俺を許してくれ」
「話している内容が私にはまだよく分からないけど・・」ヒカリは困惑していたが
「ごめん、君には後で詳しく説明するよ」と握り締めていた小さな剣を掌に乗せると俺はすっくと立ち上がると、俺は心のそこから友の名を力強く叫んだ。
「目覚めよ、わが友、聖剣ライトニングソード!」
すると、小さかった聖剣が震え出し段々と大きく重くなり俺は両手で確り握って身構えた。