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さすがに避寒所として多くの王族が訪れる宮殿の事はあった。
どの設備も広いし豪華だ。武道場の直ぐ横にはサウナもあるし風呂もある。
ちなみに庭には競馬場や温水プールもあるらしい。
その広い武道場に俺とヒカリしかいない。どれだけ戦っても迷惑はかけない。
2人は柔軟体操を終えて体が温まると、俺の手には聖剣とトンファーがヒカリの手には木刀とトンファーが握られていた。中央で2人対面して礼をすると、直ぐに戦闘モードに入った。
「じゃ、本気で行くから、ケガをするなよ」
「あら、平ちゃん、いつから私より強くなったのよ。貴方こそ全力を出さないと明日から学校に行けなくなるわよ」
俺は小手先の争いは不要と、行き成り聖剣を真上から振り下ろすと彼女はトンファーで受けた。この隙に俺がトンファーで付くと彼女は木刀で払った。
今度は彼女が木刀で来ると俺がトンファーで受ける。そして彼女がトンファーで攻撃すると俺が聖剣で払う。
こんな攻防が続いたが、さすがに彼女は俺のトンファーの師匠だ。俺の攻撃は意図も簡単に避けられた。その上俺のトンファーは自前の特注品だが彼女は市販用で使い慣れていないにもかかわらず、ここまでの攻防は一進一退だった。
「そろそろ新しい技を使ったら、その為に聖剣を持って来たのでしょ」
「じゃ、行くよ。先ずはお約束の・・、いでよ疾風よ、そして吼えろ」と叫び、
聖剣を力強く振ると轟音共に凄い風が起こり彼女に向かって襲い掛かると
「これは見た事があるわね。じゃ、断波っ!」と気合を入れて叫び、彼女が念を込めて木刀を振ると、その疾風を二つに断ち切った。
切られた疾風はそれぞれ壁や天上に当たると大きな衝撃が起こったが、頑丈に作られている武道場で助かった。
「おっ、疾風の威力は上がっている。これも指輪のおかけか、それとも俺の実力が上がったのか。じゃ、これならどうだ。アクアビート」と叫ぶと聖剣の先から尖った氷が彼女に向かって次々と飛ん行く。
「今度はこれね、これが少しやっかいなのよ」と念を入れた木刀で次々と叩き落し氷は床で解けていくが、以前より氷が硬く速度も早く、叩き落しても木刀に深く傷が入っていく。そのうえ氷の量も多く、飛んでくる時間も長くなっている。
「このままでは木刀がもたないわ、その前に今度は私から。秘儀 狼牙!」と気合を入れて叫ぶと、木刀の突きの動きが異常に早くなり先端がまるで数十本の槍のように襲ってくる。俺は後ろに下がり
「アクアウォ-ル」と叫ぶと床から氷の壁が出てきて彼女の攻撃を防いだが、突かれた壁の氷はボロボロと崩れ始め、床で解けていく。
「さぁ平ちゃん、これで貴方の技は全て出尽くしたわ。これでも私に勝てるの? 早く新しい技を出さないと、こちらから行くわよ」
「3ヶ月前なら君の勝ちだったかもしれないが・・、じゃ次は新しい技だから気をつけてよ」
「やっと、その気になったのね、早く出しなさいよ」
「そう、慌てない、神経を集中しないといけないから・・、アクアフローズン」と叫ぶと床に落ちた氷が水になっていたが、その水がまるで生き物みたいに彼女の足から這い上がると、次々に凍り出し遂には首の下まで凍り付くと彼女は身動きができずになってしまった。
「これが新しい技なのね、やるわね平ちゃん。でもこれで勝ったつもりなの?」と彼女が厳しい顔で念を入れると、彼女の回りの氷にピリピリとヒビが入ってきた。
「この厚さの氷じゃ、まだまだ甘いわよ。これくらいじゃ簡単に割れるわよ」
「いや、参ったな。君ならこの攻撃もたぶん破るとは思ったけど・・」
「あら負け惜しみを言っても駄目よ。他に新たしい技はもうないの?」
「あるけど・・、この技が破られると次の新しい技を出さないといけなくなるな、そりゃ困るんだよ」