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遅くなった昼食をゆっくりと済ませて俺には珍しくコーヒーを飲みながら
「それにしてもこの世界でのコーヒーは美味しいな、俺はコーヒーなんて家では飲まないのにな」
「コーヒーって、平ちゃんが今飲んでいるの?」
「そうだけど、もしかしてこれコーヒーじゃないの?」
「これは隣の国の飲み物なの、この国じゃ体力回復や健康維持に良く飲んでいるけど、結構高価のよ」
「隣の国って、共和国じゃないのか」
「違うわよ。フラン公国と言って小さな国なんだけど、変わった植物が繁殖しているのよ。だから薬草の国かな、いつか行くこともあるわよ」
「そんな国にも有るのか、異世界って意外と広いんだな」
「じゃ、お昼が遅くなったのでこのまま宿にでも戻る? それとも街でも仲良く散策してみる?」
「そうだな、君と仲良く散策もいいけどお腹も膨れた事だし運動でもどうだい? どこか剣道場みたな所は無いかな?」
「剣道場って・・、武道場なら宮殿に大きなものが有るけど、そこで何をするの?」
「君には悪いけど、せっかく君もいる事だし・・」
「2人でできる食後の軽い運動ならいいけど」
「軽くじゃないよ。少し新しい技を試してみたいんだよ」
「えっ、新妻を相手に技の練習ですって、もうケガでもしたらどうするの、本当に酷い人なんだから」
「ごめん、でもアラタの道場じゃできないでしょ、どうかお願いします」
「それで聖剣は持って来ているの?」
「あぁ勿論だよ。君も良く知っているおもちゃを」
「もう、最初からその気だったのね」
「ばれたか」
「じゃその後は、お父様から結婚の許しが貰えたのでお部屋に戻って2人の将来についてお話しするのよね?」
「2人の将来の話して・・」
「私に言っておかなければいけない事とか何も無いの?」
「ある、あるんだよ、それが。2人にとって大切な話が」
「そうでしょう、あるでしょ。それで何なの?、その大切な話って、ここでは教えてくれないの?」
「こんな所じゃ無理だよ。もちろんそれは静かな夜の方がいいな、先ずはお風呂に入って体を綺麗にして、それから2人で仲良く抱き合って心を通じ合わせてから・・」と思わず少し意味深な事を言ったので
「分ったは裸のお付き合いがしたいのね。もう、お昼からスケベね、そんな大胆な事を言って、私恥ずかしいわ、それに心の準備をしないと」
「そうそう、勿論心の準備も必要だからね」
「やっと平ちゃんがその気になってくれたのね。結婚してから3ヶ月も経つのに少しも手を出さないなんて、もしかして病気かとも思ったわ」
「こんな所で変な事を言うなよ、それに3ヶ月君に会っていないんだから病気も何も仕方がないだろう。俺はずっと辛抱して待っていたんだから」
「そうだったわね。それで平ちゃん、あっちの病気は治ったの?」
「病気って・・、俺はこの通り元気だよ」
「違うわよ、体の方じゃなくて、あっちの方よ、心の方よ」
「はぁ? 心の病気って・・」
「幼女趣味よ、所謂ロリコンよ」
「こら! 俺は元々そんな趣味はないぞ、どこでどう勘違いしてるんだ」
「えっ、違うの? てっきりそうだと思っていたわ」
「どうしてそう思うんだよ? 俺の部屋にそういう本とかあったのかよ?」
「そう言えばそんな本やDVDは無かったわね、それに壁のポスターもビキニのアイドルだし」
「そうだろう、俺は普通の生育した女性が好きだし、胸も大きい方が好きなんだよ。もう昼間からこんな所で言わせるなよ! 恥ずかしいだろう」
「あらっ? どこでどう間違ったのかしら? じゃ、ずっと奥手だったのね」
「病人扱いとか酷いな。少し恥ずかしがり屋さんと言ってくれないか」
「はいはい、少し恥ずかしがり屋さんですね」
どうにか変な誤解は解けたようだが本当に彼女は信じたのだろうか。それにしても他の人からそういう風に見られていたとはこれからは注意しよう。
そして、2人はまた春の宮殿へと戻った。