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「そりゃぁ確り頑張るけど、大学にも行たいし、大学生で2人の子持ちはさすがに無理だ」
「直ぐに2人は無理か・・。でも、大学ならこっちの大学に行けば」
「俺は未だ文字が・・」
「後1年もあるし、それはどうにかなるでしょ。それに平ちゃんならきっと面接だけで入られるわよ」
「それは本当なのか、筆記試験が無いのはありがたいな」
「それに王族なら授業料は要らないしね」
「授業料がタダなんてまるで夢のような話だな。それならバイトもしなくてすみそうだし、楽しい大学生活が待っているな」
「きっと楽しくなるわよ。私も一緒に大学に通うから」
「えっ、君もまた大学に通うのか?」
「私も色々勉強したいのよ。それに平ちゃんが浮気しないか監視しないと、だから女の子のいるサークルには入れないわよ」
「うっ! 俺の楽しい大学生活が・・、それじゃ、少し考え直そう。受験勉強は嫌だが元の世界の大学に行こう」
「それはどういう意味よ。私と一緒は嫌なの?」
「いくら好きでも一日中一緒はさすがに・・」
「それもそうね。私は子育てもあるし、一日中一緒は無理かな」
「子育てって・・。あっ、いけない。そんな話をしている場合じゃないんだ。
俺達には時間がないんだよ。さぁ、とっとと写真を撮って次に行くぞ」と衣装選びをしている彼女を急がせた。
ヒカリの言うままに衣装を変えていたら時間がかかってしまった。写真を撮り終えると素早く着替えて近くの図書館に向かったが田舎なので交通の便も悪く思った以上に時間がかかってしまった。
やっと着いても小さな図書館で蔵書が宮殿の書斎より少ないようなので彼女が疑問に思って
「どうしてここに着たのよ? 宮殿の書斎はここよりも蔵書は多いし、王族なら誰でも使えるけど」
「そうだけど、文字が読めないところを他の王族には見られたくなかったのさ」
「そうだったの、それに私と一緒だと色んな王族に話しかけられるのも嫌なのね」
「俺は人見知りだしな。それに書斎にはきっと童話なんて置いてないだろうし、いざとなれば深夜にでも訪ねるよ」
「確かにそうね。深夜だとゆっくり探せそう」
「それにしても小さな図書館だな」
「本当にそうね。田舎の図書館だから平ちゃんが見たい本があればいいけど」
「そうなんだが、文字が読めないので、君と一緒にいる今しか来れないんだよ」
「でも、ここは共和国じゃないので聖剣に関する本なんてきっと少ないわよ」
「それは仕方がない。でも、無いよりましさ」と答えたが、やはり探してみると彼女の言う通り聖剣に関する本は数冊しかなく、更にどれも的違いの内容だった。
その上に1冊1冊彼女が読んで、俺に説明するしか方法がないので時間がかなりかかてしまい、3冊読むとお昼の時間もかなり過ぎてしまっていた。
お腹も減ってきたし、これ以上ここで聖剣の本を探しても時間の無駄だろうと諦めた。
「じゃ、今度は童話のコーナーにでも行ってみよう」と児童書のある棚に向かうと、この種の本は田舎の図書館でも沢山あった。でも有り過ぎてどれを選んだらいいか分らなかった。
「そうだわ、司書さんに尋ねるといいかも」と探している本の内容を受付の女性に話すと何冊かリストアップしてくれたが、ここでも俺には文字が読めないのでまた彼女が1冊づつ読んでいくしかなかったので
「くっそ、じれったいな。時間が勿体無い」
「そうね童話なら街の本屋でも揃うわ。買って帰ってお部屋で読んであげるわよ」
「そっか、ここで読まなくてもいいのか。凄いよ君は」と彼女の手を握ると
「夜に童話を読んで聞かすなんて将来の練習にもなるし、それに未だに小さい子供がいるしね」
「はいはい、俺はまだまだ小さい子供ですよ」
「でもませた子供ですけど」