3-10-8
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「今までの話しは冗談として、姫様はどうして結婚を急がれたんだろうな? 未だお若いのに・・」
「お若いって、お前はヒカリの年齢を知っているのか?」
「正確ではないが知っている。夫のお前が知らないのか? それが信じられんな」
「それが、何度尋ねても17歳としか言わないんだ」
「17歳はおかしいだろう、警察庁に勤めていたんだぞ」
「そうだよな、永遠の17歳と言っている井上さんを知っているが、それは営業トークだし、彼女の娘が17歳だとは噂で聞いたけど・・」
「井上さんはどうでもいいが、本当に姫様の年齢を知らないのか?」
「本当に知らない、謎なんだ」
「よくそれで結婚したな。そうだ、婚姻届に生年月日が書いてあっただろう」
「それが西暦じゃなくバンパイア歴だった」
「今更訊いても、どうしようもないので諦めろ。まして年齢を知って結婚は嫌だと言ったら殺されるぞ、それも八つ裂きだ」
「知るのも地獄、知らないのも地獄だな」
「また、変な事ばっかり言って、男性って女性の年齢を気にし過ぎですよ。
姫様は素敵な女性ですから、それだけでいいじゃないですか」
「楓の言う通りかもしれないな、俺が間違っていた」
「そうだな年齢は関係ない。でも、安心しろ平助、姫様はおばさんより年下だ」
「楓、何を考え込んでいるんだ?」
「確か、姫様は私より年上だったかと・・」
「なに、楓も知っているのか?」
「正確には私も知りませんけど、以前はよく女性トークしていましたから」
「女性トークとは何だ?」
「基本はどんな男性がタイプとかですよ。確か姫様は、体のがっちりした人がタイプでした。そうそう例えると飛び猿ですね。それが実際には助さんですから、黄門様もびっくりですね」
「お前は時代劇から離れろ」
「あとはファッションかな・・」
「そんな事はどうでもいいんだ。それで、ヒカリは今何歳なんだ?」
「それを私の口からから言えとでも」
「そうだ、頼むから教えてくれ、今度お昼おごるから・・」
「お昼は捨てがたいけど、それを言ったら私が消されます。いたる所に姫様の密偵が・・」
「密偵って、お前は相変わらず時代劇が好きだな」
「伊賀とか甲賀とかも好きですよ。特に少年忍者風のフジ丸は面白かったですね、小さい頃テレビで見ていましたよ。アニメの後の忍術千一夜は最高でした」
「ヒカルよりお前の年齢が分らんわ」
「にんにん」
「それで、アラタはどうするつもりだ?」
「大学か? 勿論行く気だが、そろそろ受験勉強を始めないといけないか。年明から日曜日には模試が始まるので、ここでの練習もできなくなるな」
「俺もヒカリに確り受験勉強するように釘を刺された。楓はどうするんだ?」
「アラタさんが模擬の日は、ここで一人で練習しても同じなので、私も受験勉強ですね」
「そういえば楓は、大学は異世界に戻るのか?」
「戻るとは思いますが・・」
「そうだよな、何年も異世界にいる訳もいかないし、娘だから親御さんも心配だろうな」
「でも助さんと格さん・・、平助さんとアラタさんがよくしてくれますと親には話してますよ」
「おいおい、いつから俺が格さんになったんだ」
「それで平助、お前はどうするんだ?」
「一応大学進学を考えているが、俺は成績があれだし、今から受験勉強してもな。だからスポーツ推薦も考えているが、それはこれからの成績次第だしな」
「そうだ平助さん、異世界の大学を受けてみませんか?」
「ヒカリにもそう言われたので、バンパイア国の文字を勉強しようかとは思っているが」
「大丈夫ですよ、平助さんは経歴が凄いので受かるかもしれませんよ」
「そうか、こちらでは書けない経歴も書けるし・・」
「でも、こちらに戻ると異世界の大学卒業は意味がないですよ」
「そうだった、それじゃ今度は就職に困るのか。そのまま異世界で就職する訳にもいかないし・・。俺には剣道しかないのかな」
「いざとなったら、子供の世話でもして姫様に食わしてもらえ」
「それじゃ、勇者じゃなく扶養者になるだろう」
そのまま2人に写真を見せてお土産を渡し練習もしないでバカな話をして、結婚の事は南には内緒だと念を押して部屋に戻った。