3-10-7
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「大変って、何がだ?」
「それがな、ヒカリが色々夫婦のルールとかを決めだしたんだよ」
「なんだその夫婦のルールって?」
「先ずは、お金だな。俺には収入がないので関係がないと思っていたが、ポイントカードを調べられてな、大会の賞金の全てが彼女の手元へ行ってしまった。
これから小遣制だと。サラリーマンのおじさん達と一緒だ」
「じゃ、もう、お昼はおごってくれないんですか?」
「どうにかヘソクリがあるからそれぐらいは大丈夫だが、女性との外出は彼女の許可が要るらしい。もう恋愛はできないな」
「結婚したならそれは当然かも知れんな。これで南さんとは完全に縁が切れたな。
よしよし、姫様もいい事をなさる」
「何がいい事だ、お前は南に自分で直接連絡をしなくちゃいけなくなるぞ」
「それは少し恥ずかしいが・・、まぁ仕方がない。それに姫様はお前を操縦するのが上手だから、それがいいのかもしれん」
「お金のルールは仕方がないとは思っているし、まだ俺にはヘソクリがあるので我慢できるが、困ったのは夜のルールーだ。これはごまかしができないんだ」
「なんだ、その夜のルールってやつは?」
「未成年者のお前達には詳しく言えないが、想像したらだいたい分るだろう」
「えっ、そんな事まで決めたのか」
「アラタは反応が早いな。そしてこれが大変なんだ」
「結婚とは恐ろしいものだな。もしかして南さんもそうなるのか?」
「南に電話もかけられないのに、お前は気が早いんだ」
「俺は南さんさえいれば、きっとそのルールも乗り越えられるぞ」
「俺もそう思ったさ。でも現実は厳しいぞ」
「あの、お2人さん、お取り込み中のところすいませんが、その夜のルールってなんですか?」
「楓ちゃん、それはだな・・」
「止めとけ平助、楓にはまだ早いぞ。今そんな事を教えると練習に集中できなくなるぞ」
「そうだな、おにぎり姫には少し早いかな」
「えっ、私も同じ年じゃないですか、詳しく教えて下さいよ」
「じゃ、今晩にでもアラタに優しく教えてもらえ」
「はい、そうします。それじゃアラタさんお願いしますね」
「楓! それは勘弁してくれ」
「でも姫様はどうして急にそんなルールを決めたんだろうな?」
「詳しくは聞いていないが、旅行中ずっと子供が欲しいとは言っていたな」
「子供が欲しい・・平助、そういえば国王にはまだ孫がいないぞ」
「アラタ、それは本当か? それで早く子供を作れと煩いんだ。信じられるか、この俺に子供だぞ」
「高校生のお前に子供か、それもおかしいな話だな。何か裏がありそうで気を付けろよ、もしかして孫ができれば、お前は用無しだ。姫様に捨てられるぞ」
「おいおい、それは飛躍過ぎだ」
「そうだろうか、姫様に比べるとお前には地位や財産がない、それに頭もな。そんなお前がなぜ姫様に必要なのか、よく考えてみろよ。答えは一つだ」
「答えがあるのか、早く教えてくれ」
「それはお前の体力や若さだ。それに最強のスケベ力だ」
「確かに俺はスケベ力は半端じゃない。子供ができてヒカリに捨てられたら、俺はどうしればいいんだ?」
「もっと深く考えてみろよ、もしその子供が国王にでもなったら最悪だ」
「どうしてだ、俺は悠々自適じゃないのか?」
「そんなバカな事はない。有能な姫様は王太后で国を仕切り、そして無能なお前は邪魔な存在だ、ひょっとしてこの世から消されるかもな」
「そうかもしれませんね。バンパイア国の歴史にもよくありましたし・・」
「急に出てきて脅かすなよ楓。それは本当の話なのか? じゃ、俺は子作りの道具か、それまでの儚い命なのかよ」
「たぶん毒殺ですよ。でも、歴史には名前が残りますよ、役に立った勇者平助って。それに銅像もできるかかもしれませんね」
「歴史に詳しい楓に言われたら、冗談じゃなくなるな」
「あら、冗談だったんですか、私は本気かと・・」