3-10-4
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変な誤解も解けてお腹が減ったので仲良くレストランに行くと、どこの席もカップルでいっぱいだった。周りを気にせずに楽しく豪華な夕食を済ませると手を繋いで浜辺に散歩に出かけた。
人気のサンセットビーチにはいたる所に若いカップルがいてイチャついていた。
「あれも皆ハネムーンだな」
「だからいいのよ。イチャイチャしても誰も気にもしないわよ」
「それにしても、よく予約が取れたな。このホテルって人気があるんだろう?」
「そうなの凄いのよ。だから半年前の予約開始日に直ぐに電話して取ったのよ」
「半年前って今が10月だから4月には予約を入れていたのか、それは凄いな。
ちょっと待てよ、半年前だと俺達は未だ出会ってないぞ、相手はどうしたんだよ」
「そんな小さな事は気にしないの。私達もチュしましょう」
「今日は、チュが多いな。もう麻痺してきたぞ」
「いいのよ、だって新婚だから」
浜辺を一回りして部屋に戻ると汗をかいていたので、一緒にお風呂に入ろうとヒカリが部屋で服を脱ぎ出した。
「おいおい、ヒカリちゃん、俺の前で恥ずかしくないのかよ」
「バカね、2人はもう他人じゃないのよ。ほら一緒に入るわよ、早く服を脱いで裸になって」
「一緒に入るって、俺はまだ恥ずかしいよ。後で入るから先にどうぞ」
「なに子供みたいな事を言っているのよ。早くブラ外してよ一人じゃ面倒だから」
「外してって・・ごめん、俺は未だ直視できないんだ」
「直視できないって、私の胸を触っているこの手は何よ」
「この手は、その・・勝手に・・。でもやっぱり裸を見せ合うのは恥ずかしい」
「あぁ、意気地なし、根性なし、このままだとせっかくの夜はどうするのよ」
「どうしよう、でも・・」
「何のために苦労してこの部屋を予約したと思っているのよ!」
どうにか一緒に風呂に入るのは勘弁してもらったが、あれからヒカリは機嫌が悪かった。寝る時も一緒には寝てくれたが、大きなベッドの端っこに寝て俺が呼んでも返事もしてくれなかった。そのくせ夜中に俺の背中を何度か蹴りやがった。
そして朝が来たがまだブツブツ不満を言っていた。
「もう、こんなに根性無しとは知らなかった。もう離婚よ」
「ごめん、だって、急に裸のお付き合いは無理だよ」
「じゃ、私を愛していないのね?」
「いや、愛しているけど、それとこれとは話しは別で・・」
「あら、好きじゃなくて、初めて愛していると言ったわね」
「そうかな、初めてかな、前にも言ったような記憶はあるけど」
「初めてよ。もしかして違う女に言ったのね」
「他の女性にそんな事を言う訳がないじゃないか、愛しているのはヒカリちゃんだけだよ」
「じゃ、もう1回、愛していますヒカリさんと言ってくれたら許してあげるわ」
「本当に、じゃ、愛していますヒカリさん。貴方と結婚できて僕は幸せです」
「まぁ50点ね」
「じゃ、満点は?」
「最後に一生幸せにしますを付けないと駄目ね」
「ヒカリちゃん、一生幸せにします。今夜は頑張ります」
「はい、よくでしました。じゃ、ご褒美のチュ、そしておまけのチュ」
「何か、俺は餌付けされている犬だな」
「じゃ、今度はこれに名前を書いてね」
「これって、何?」
「正式な結婚許可申請書よ。今度の王族会議にかけてもらうの」
「正式って、昨日の婚姻届は何だったの?」
「何って婚姻届じゃない」
「どこが違うのさ」
「そんな小さな事は気にしないの。今、貴方と結婚できて僕は幸せですって言ったわよね。あれは嘘だったの? 私を一生幸せにするんじゃないの」
「本当です。幸せにします。確かにそう言いました」
「じゃ、黙ってここに名前は書けるわよね。それとももう離婚したいの? チュはもういいのね」
「勿論書けますとも、いや書かせて下さい」
「平ちゃん、男らしくて素敵よ。はーいチュ」
「チュは嬉しいけど、これを書くとどうなるんだい?」
「王族会議の議題になって、会議で許可してもらえるとめでたく結婚ができます。そして結婚すると系譜に書かれて2人は正式な夫婦となります。ただし18歳になったらね」
「そうか俺は未だ17歳だったんだ」
「勿論私もよ」
「嘘つけ! お昼ゴロゴロの専業主婦だろうが」