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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-10-2

3-10-2

 召喚申請の理由が少しは気になったが、中央駅で地下鉄から長距離の特急電車に乗り換えると、途中のコンビニで買った朝食を食べながらヒカリは旅行の計画書を見ていた。彼女は今日からの旅行が楽しみでずっと計画を立てていたらしい。

それで、俺を驚かせようと連絡はなるべくしないでいたのだった。

そんな旅行の計画がどうなっているのか気になってそっと覗くと驚くほどびっしり記入がしてあった。


「ヒカリちゃんと2人で旅行できて嬉しいし、君に旅行の計画まで立ててもらって何だけど、その計画は過密じゃないかい。3日間移動しっぱなしは無理だと思うよ、中1日ぐらいゆっくりしないと疲れるよ」

「えっそうなの。平ちゃんは体力があるので、これでも楽な方だと思ったのに」

「だって、3日間でこの広いバンパイア国を電車で一周だぞ。下手したら疲れて旅先で動けなくなるよ」

「だって3日間乗り放題の切符がお得だったから買ちゃったわよ」

「さすが倹約家のヒカリちゃんだ。でもその計画は俺でも無理だと思うよ」

「それは拙いわね、平ちゃんには夜も頑張ってもらわないといけないに」

「夜も観光するのか、そりゃもっと無理だ」

「夜に観光なんてしないわよ。夜は私と・・」


「今回は北か南のどちらだけにしない、そしてゆっくりじっくり見て回ろうよ」

「それでもいいけど・・、平ちゃんが疲れたら仕方がないからそうしましょう。じゃ、北はもう寒いので暖かい南にしましょうか」

「今日はやけに俺に優しいな、何か目的でもあるのかな?」

「目的なんてないわよ。いつも優しいわよ。それに単なる観光よ」

「本当なの、それに計画書にある赤いハートのマークは何だい?」

「もう、見ないでよ。これは内緒だから」

「内緒だといわれると知りたくなるぞ」と脇をコソコソくすぐると

「分ったわよ、教えるから止めてよ。だって、お父様が孫の顔を早く見たいって、ずっと言うんですもの、それで・・」


「もしかして、この旅行の本当の目的は妊活なの?」

「あら、今頃気付いたのね。さすがに結婚もしてないので妊活は拙いと思って、召喚申請の理由も結婚と新婚旅行って書いたわよ。そうしたら直ぐに許可がおりたの、王族は子孫を残すのが仕事だし、大変なのよ」

「さっきは一事で許可が下りたってのは嘘かよ?」

「嘘じゃないわよ、ちゃんと許可が下りたんだから」


「それに俺はまだ高校生だし、一応お前得も高校生だろう。結婚とか少し早くないか、それに子育てとかまだ無理だよ」

「結婚は形式的にするだけよ、この国でも18歳未満は正式には結婚できないから安心して」

「分ったけど、他の奴には恥ずかしいので内緒だぞ」

「えぇ、写真とかいっぱい撮るから皆に見せないとつまんない」

「じゃ、アラタ達ぐらいには話してもいいけど」

「そうね、そこまでね。おばさんには内緒ね」

「当たり前だ」

と一応は納得したが、召喚させられた理由が子作りとは、バンパイアの王族は恐ろしいものだ。どうにかヒカリの夜のお誘いは丁寧に断ったが、彼女は納得していなかったし俺もいつまで可愛いヒカリのお誘いを断れるか自信がなかった。


 中央駅から1時間もすると田園風景が広がった。全てが始めて見る風景だったので俺が見とれていると

「素敵なお姫様と逃げるように旅に出る。まるで駆け落ちみたいで素敵でしょ」

「おいおい、それは親が結婚を認めてくれない話しだろう、孫を早く作れと急かす親から駆け落ちはないだろう」

「もう、気分が乗らないわね。障害があるほど愛は燃え上がるのよ」

「一応女子高生のくせにそんな事はよく知っているな」

「だって、仕事が無い日のお昼は暇で暇で、ついつい昼メロを見てしまうのよ」

「暇なら部屋の掃除とか洗濯とかしろよ」

「あれは月に1回でいいのよ。あとはちょちょいで済ますのよ」

 悲しい事にヒカリは結婚の前にもうぐうたらな専業主婦になってしまっていた。彼女とは滅多に会っていなかったので彼女の本当の性格をまだ良く知らなかった。本当にそれで結婚できるのだろうか。



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