3-9-7
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練習が終了して2人に大事な話があると昴さんに呼び止められていたので剣道場に残っていた。
「大会と練習で疲れているところ、君達に付き合ってもらってすまない。
早速だが、既に平助君は知っていると思うが首都は先日のテロ事件で大変な事になっている。
その捜査で警察は今多忙を極めて、こちらの世界での捜査等に手が回らなくなって来ている。それでだ重大事件以外はこちらでの捜査等を一時中断する事になったので、俺が昨日から来たのもその残務整理の為なんだ」
「昴さん、俺達にそんな事を話していいのですか?」
「それこでだ、君達2人は歴代の準優勝者として腕が立つのは周知の事実だ。しもちろん信頼もある。そこれでだ、こちらの世界で俺らの警察の仕事を少し手伝ってくれないだろうか?」
「手伝うって、高校生の俺達にですか?」
「勿論腕が立つと言ってもまだ高校生なので危険な事件の捜査は無理だとにしても、情報収集やこちらの世界の近況報告等をして欲しいんだ。いわば軽作業の臨時職員みたいなものかな」
「具体的はにどんな事をすればいいんですか」と面白そうなので俺が興味を示すと
「個々の具体的内容は事件毎に連絡があるとは思うんだが、さっきも言ったように犯人の逮捕等のような直接危険な仕事は含まれない筈だ」
「近況報告なんかはできそうかな」と俺がますます興味を示すと
「今すぐに返事をしてくれとは言わないが、任務に着く前に研修等を受けてもらわなければならないので、なるべく早く結論を出して欲しい。それに少ないけど報酬もあるが、研修や報告等での異世界への召喚も増えるだろうし、来年君達は受験だと思うので学業との両立も大切だろう。2人でよく相談して決めて欲しい」
「研修っ何があるんですかね?」
「俺にもその内容までは良く分からないが、報告の仕方や護身術等かな。確か希望すれば魔導の指導や聖剣を使った訓練もできるとは聞いているので君達には役に立つのではないのかな」
「魔導の指導かぁ、面白そうじゃないか」とアラタに声をかけたが奴は何か悩みでもあるのか終始無言だった。
昴さんが帰ってから2人は剣道場に残り彼の提案を少し検討をしてみた。
「こちらの世界では絶対できない魔道の指導をしてくれるって、凄いじゃないか。俺はやってみてもいいと思うけどお前はどうだ?」と俺は乗り気で話すと
「たぶんお前はそう答えるだろうとは思っていたが、本当にそれでいいのか?」と、やっと重い口を開いた。
「それはどう言う事だ? 異世界の役に立つんだぞ」
「以前にお前にも話したように俺はバンパイア国王に恩義がある。協力とは言っても共和国側の手先になるんだ。もし、それが後々国王の恩義に背く事になれば」
「お前は気にしすぎだ。バンパイア国と共和国は友好国だし、共和国の治安の安定はバンパイア国にとっても望むところだろう」
「確かに今はな。それよりもお前は大丈夫なのか?」
「大丈夫って、俺には何の問題はないが」
「何を言っている。お前と姫様の事だ。姫様も警察官だぞ。それに昴さんとは同じ特捜部の筈だ。2人が直接の知人かどうかは分らないが、後々警察にお前との関係がばれたらやばい事にならないか。もし姫様の仕事にでも支障が出たら大変だぞ」
「そう言えば武道大会でヒカリは昴さんの応援に来ていたな」
「お前は能天気だな。それなら知人って言う事じゃないか。もしこの提案を受ける気ならばこの事は姫様には絶対相談しろよ。相談もしないで後で様を怒らせたら誰もお前を救えないぞ」
「そうだな、彼女を怒らせて半獣で暴れたりでもしたら困るからな。必ず相談するよ」と俺はお腹が空いたので家路に着いた。