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そうこうすると時間が経ったのか8時半になったのでアラタの車が俺達を迎えに着たが、玄関先が騒がしかったのか車窓から俺と南の2ショットの写真撮影を見てアラタが血相変えて降りてくると
「俺にも参加させて下さい。是非、南さん俺と2ショットをお願いします」と力任せに南に頼みと、最初は少し嫌がっていたが、俺から横から指で腹を突いて耳元で
「南、今日のお昼のお弁当はアラタのおごりだ。それも豪華なお弁当だし機嫌を損なうと拙いぞ」
「そうだったわね。それじゃ仕方がないわね。どうぞ、今日の記念に」と笑顔で写真を取らせてくれた。
師匠の練習の時には絶対見せない恥ずかしそうな姿を楓は熊を下りてきてニコニコしながら見ていたが、アラタと南の写真撮影が終わると
「じゃ、今度は私の番ね。今度は私と平助の2ショットよ」と俺にしがみ付くと南に頼み、彼女が直ぐに撮ってあげると、嬉しそうにしていたので
「楓、これでやっとお前の夢が叶っただろう。大切にしろよ」と冗談を言うと、楓が俺と腕を組んだまま恥ずかしそうにモジモジしているので、母さんからは2人がとても仲良しに見えたのか
「この子が以前話していた新しい彼女なの、本当に可愛いわね、ほら早く紹介しなさい」と勘違いをして俺に即したのを楓が聞ってしまった。
「始めまして、楓です。よろしくお願いします」と新しい彼女のように答えた。
「まぁ、可愛い。お名前は楓ちゃんネ、平助をよろしくね。いつでも遊びに着てね。そうそう今度の土曜日に夕飯でも食べにいらっしゃい」
「はい、ぜひ伺います」と食べ物に弱い楓は直ぐに返事をした。
「おいおい、違う、違う。ただの友達だ」と母に答えると、食べ物の恨みは恐ろしいもので楓は怒って俺の足を蹴って
「平助のバカ。お昼貸しよ」
結局は母も入れての入れ替わり立ち代りの写真撮影会になったが、この写真もいい思い出になるだろう。
そうこうしていると約束の時間が過ぎてしまい、4人は車に乗り込むと大会会場へと急いでもらった。
大会会場に着くと少した遅れた俺とアラタは選手控室に早く行かなくては行けなかったが、奴は観覧席へ向かうとしている南とずーっ一緒にいたいのか愚だ愚だといつまでも話を止めなので、俺は少し頭にきて
「アラタ、早く行くぞ、時間が無いぞ」と声をかけると、いやいやながら道具一式を担いで掲示板に張り出された控え室を確認すると
「いつもの場所か」と慣れたものでさっさと歩き出した。俺は初めてだったので少し緊張して無言で奴に付いて行ったが楓は女子部員の控え室に行ったようだ。