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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-9-1

3-9-1 10月3日日曜日

「平ちゃん、起きて下さい。朝ですよ、起きて下さい」ヒカリの声が今日も目覚し時計から聞こえてくる。もう7時かといつもより遅く目が覚めるとベルを止めた。

今日は待ちに待った個人戦だった。開会式は10時からで8時半頃にアラタが車で迎えに来る手筈になっていた。

武道大会が終了してからこの1週間はこの日のために練習してきた。

「初めての大会だ。小さい大会だけど今の俺の実力が分る。確り頑張ろう」と気合を入れて起きると、さっさと着替えてカバンを持って1階に下りると母が朝食を準備していた。


「あら平助、起こされる前から下りて来て、貴方でも昨夜は眠れなかったの?」

「初めての試合なので少し緊張しているだけだよ」と正直に話した。

「さぁ、ごはんをいっぱい食べて、頑張ってきなさい」と、ごはんをよそいだが、お腹いっぱいに食べて胃がもたれたら大変なので、いつもより少なく食べると

「あら、今日はそれだけでいいの。それじゃ力が出ないわよ」

「いいんだよ、食べ過ぎると逆に動けなくなるから」と、いつもより早く食べてしまったので迎えの時間にはまだ1時間もあった。


「あぁ、まだ1時間もある。退屈だ。でも、テレビも観る気も起きないし」

何もする事がないので俺はまた自分の部屋に戻ってしまった。本当は駐車場で竹刀でも振りたかったが、せっかく学生服に着替えたし汗を掻きたくなかったので、引出しから福袋を取り出し、聖剣を掌に乗せて精神を集中してみたが何も起こらなかった。

「そう言えば、先週は急に大きくなったよな。どうしてだ」と心の中で問いかけても、変化はなかった。

「やっぱり、俺一人じゃまだ無理か。でもサクラが戻ってくるまで後1年もあるのに、このまま何もできないのか、勿体無いな」と呟いてしまった。


 そうこうしていると1階から珍しく母の明るい声がした。

「平助、南ちゃんよ。今日はとっても可愛いわよ、早く下りてきなさい」

俺が下りていくと南も家で何もする事とがないのか早めに来たみたいだったが、いつもの制服姿ではなく少し短めのスカートに薄手のブラウスを着て少し長めの髪と相まって、どこかのお嬢様のように見えた。


「どうしたんだよその格好は、今日はえらく清楚じゃないか。俺かそれともアラタへのアピールか」と冗談を言ってみたが、それは、いつもは制服姿しか見ていなかったし、トレーナーやジャージ以外の私服を着た南を見るのは久しぶりだったせいで俺の方が恥ずかしかったに違いない。


「平助の3番目の彼女はごめんよ」

「朝から冗談がきついな、でも今日は可愛いな。今のお前なら1番さ」

「1番ね、じゃ少し考えてもいいけど。この服はね、試合後にお買い物に行くのよ。だから制服じゃちょっとね」と恥ずかしそうにしていたが、これで応援されるとアラタはMAX頑張るな。ますます俺の優勝は遠のいたかと思った。


「南ちゃん、その服とってもかわいいわよ。平助、早くスマホを持ってきなさい」と母の一声で玄関先での南の写真撮影会が始まった。

嫌がる南にアイドル風のポーズを取らせると、その恥ずかしいそうな表情が意外と可愛いので、ついつい俺と腕を組んでの2ショットを撮ったりしたが、俺はお金に困った時はこの写真でアラタからポイントをまた借りられるかなと愚かな考えが芽生え始めていたのが顔に出てしまい

「いやらしい顔して、何に考えてるのよ。またスケベなことでしょう」と南に注意されてしまった。



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