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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-8-6

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 今日の夕飯は母も勝負にこだわっているのか珍しくトンカツだったが、母には悪いが惣菜でも買って来たのか意外と美味しいかった。

「明日のお昼はアラタさんがお弁当を用意してくれるって。まぁ親切に、お金持ちの家は違うわね。それで、私の分はないの」と真剣に訊いていたが

「母さん、試合に出るのは俺だよ。それに母さんは応援にでも来るのかよ?」

「小学生じゃあるまいし、全国大会なら応援に行ってもいいけど。でも遠くであると面倒ね」と、ごはんを食べながら愚痴っていた。

部活を初めてから母との会話が少し増えたのかなと感じていたが、これが明日の試合に優勝でもしたら更に楽しくなるな。


「午後の練習での立会いは上手く攻め切れなかったので、このままじゃ夜は寝付けないな」と夕食後、駐車場で竹刀を振っていると勉強会から帰宅した南と会った。

「こんな所で今夜はバットじゃなくて竹刀を振っているなんて、遂に野球は諦めたのね。私を甲子園に連れて行くとか言っていなかったけ?」と冗談を言うので

「おいおい南、俺はタッちゃんじゃない平ちゃんだ。それに明日は試合なんだぞ。俺とアラタが個人戦に出るんだ。そうだ、暇なら応援に来ないか?」


「剣道の試合って久しぶり。あんたの中学校の都大会に応援に行ったきりかな。

明日は暇だから応援に行ってあげてもいいわよ。じゃ、今度は私を武道館に連れて行ってくれるのかしら?」

「それで武道館で俺は将来何をするんだ? あぁ、しまった・・」と直ぐに俺は彼女を誘っておきながら、その誘いは拙かった思った。

それは、南が応援に来るならアラタは絶対に張り切る筈だ、これで俺の優勝は完全に無くなったなけど、まぁ、最初からそれはなかったかなと笑ってしまった。


「それで、教えてあげた彼女には連絡してみたの? 勉強会でさっきまで一緒だったけど、あんたの事を何も言わなかったので気になっていたのよ」

「悪いけど今日は一日、練習と応援だったのでまだ連絡はしていない。今は明日の試合の事で頭がいっぱいだからな。試合が終わったら少し考えてみるよ」

「そうねそれがいいわ。よく考えてみてね」と家に帰ってしまったが、それからも俺はまだ時間があるので竹刀を振り続けていた。


 ある程度納得したので俺は部屋に戻ると、アラタが喜ぶだろうと南が応援に来てくれる事を連絡した。すると、案の定奴は声がうわずるぐらいに非常に喜んで、応援のお礼に南のお弁当も用意してくれると言うし、朝には車で自宅まで迎えに来てくれて楓も入れて4人で会場に行くようにもなった。

 直ぐにその事を今度は南に連絡すると、また美味しいものが食べられるし、駅から会場まで歩かなくて済むので喜んでいた。


 なんか2人の橋渡し役の自分が虚しくなってきたが、そんなことは考えずに後は寝るだけだが、ふと、昴さんは捜査でこっちに来たと言っていたけど、こっちに捜査で来る筈のヒカリはどうなったんだろうか?

 あれから連絡もないし、テロの事件の捜査が忙しくて彼と入れ替わって来られなくなったなら最悪だなと嫌な考えが起こり

「そうだ、南の友人に連絡でも頼もうか」と思ってしまった。


 それにしても、昴さんとの立会いでは俺は不甲斐なかった。年齢差が10歳あるとはいえ、まるで大人と子供の試合に情けなくなっていた。これがもし魔導を使った本当の試合ならばコテンパンに敗れていた事は見えていた。

「このままだと、雲泥の差がついてしまう。もう武道大会には出ないので二度と昴さんとは対戦する事はないだろうから少し格好が悪いが頭を下げて練習方法を教えてもらおう」そう決心すると気が楽になったのか、そのままベッドの横になると俺は直ぐに眠ってしまった。


次回から第9部(都大会)が始まります。

その後から第10部(秋の休日)、その後から第4章(バンパイア国編)第1部と続きます。

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