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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-8-5

3-8-5

 今度はアラタと昴さんの立会いをじっくり見ていると、俺の足の運びや竹刀の振りとは全然レベルが違う。本気を出したアラタが昨年の全国大会で優勝するのは当然だったと感じた。

 それでも昴さんとはやり辛そうに見えた。昨年の武道大会ではあっさり負けたあいつも得意の剣道ではそう簡単には一本を取られはしなかったが、さすがに体格の差があるので上段からの振りは重い様で受けるのがきつそうだ。


 俺にはアラタが接近戦での力の勝負は不利だと距離を置いて飛び込み面を狙っているようにみえていたが、さすがに昴さんもそれぐらいは充分に分っているのだろう、なかなか飛び込めなかったようだ。

 そして、時間が経つに連れ接近戦では力の差がはっきり出ていた。昴さんはこっちで言うと全日本クラスなのだろうか、高校生の俺達とは竹刀の捌き、足の動きや早さ、そして攻守の判断力が違いすぎる。それ以上に振りに力がこもっている。明日の試合前にこんな人と立会いが出来で運が良かった。


 次に彼は楓と立ち会っていたが、まるで剣道の先生のように楓に色んな事を教えていたので楓は凄く嬉しそうに「はい、はい」と従っていた。

彼女にとっては憧れの優勝者から直接指導を受けるとは夢のようなのだろう。緊張した態度が俺の時とは全然違っていたので面白かった。


 何度か立会いを繰返し、夕方になったので練習を終わると昴さんは

「それじゃ、今日はこれで、明日も時間があればまたお願いします。

じゃお2人さん、明日の試合見に行きますので頑張って下さい」と今夜の宿泊先かそれとも事件の捜査の為か外へと出て行った。


「おいおい、以前からの知り合いだったのかよ。前もって話してくれよ」と着替えながらアラタに突っ込むと

「悪い、悪い、今まで黙っていて。ただ彼がこっちに来た時に、練習相手として何度か立ち会った事があるだけさ、そんなに親しい間柄はないよ」

「そっか、あっちにも剣術バカがいたのか。それで明日も彼と練習をするのか?」

「決まっているだろう。あの人と練習ができるんだ、明日の大会よりも為になるぞ」と嬉しそうにしていたが、よく考えると明日の試合の後にまた練習だったので

「本気かよ。これじゃ剣術バカ家族じゃないか」と俺も自然に笑ったが、

「本当だな」と本当に強い相手と連日立会いができるのでニコニコしていた。


「そうと決まれば、今日は早く寝て試合にに備えろ。そして明日決勝戦で会おう」と俺を励ましたが、楓はまだ夢の中なのか

「あの人とまた練習ができるなんて信じられない、夢のようだ。明日は一緒に写真を撮ってもらおうと」と目が虚ろに呟いたので

「目の前にいる今年の準優勝者との練習は信じられるのか、俺との一緒の写真はいいのか」と冗談で突っ込むと

「昴さんは特別ですよ、じゃ明日の写真はお願いしますね」と笑って俺の突込みをごまかしていた。

それから俺は明日の準備もあるしお腹も減ったので自転車で家に戻った。


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