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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-8-1

3-8-1 全国勇者武道大会から数日後 

 共和国警察庁特捜本部長室にて

「彼女はもう来ているか?」と本部長が職員に尋ねると

「はい、既に廊下で待たせております。それじゃ君、入りたまえ」と廊下に待たせた酷く真剣な顔をした女性職員が本部長室に導かれると

「失礼します」と言って女性職員が本部長室に入った。


「すまないな、朝早くから、首都テロ事件で忙しいのに・・」

「いいえ、とんでもありません。それで、どのようなご用件でしょか?」

「それだが、君も良く知っているように国宝盗難事件で監視の対象だった参考人が今度の武道大会で準優勝しただろう、それで気になったんだろうか長官から盗難事件の進捗状況はと昨日直々に連絡があったんだ。

それで思い出したんだが、その参考人だったかな。凄く腕が立つとかで、

確か、以前君は私に預けて頂ければ、2年もしくは3年でこの国一番に・・とか言っていなかったかね」

「はい、確かにあの時はそのように申しましたが、まさかここまで凄いとは思ってもいませんでした」と嬉しい表情をした。


「そうか、それでだが、再三こちらからは参考人は盗難事件とは関係が薄いとは報告しておいたんだが、それでも長官からその参考人を引き続き監視するようにとの指示が出ていたので、君が休暇を取得した後に長期で特務派遣をしてもらう手筈だったかと思うんだが」

「はい、そのようになっております。それで、事前に現地に行ってまいりました。準備が整いましたので長期派遣の命令を待っておりましたが、先日の首都テロ事件の対応でその派遣命令が少し遅れておりました」


「そうだったのか、それでだな、今度は長官から準優勝者を監視するのは如何なものかと急に話しが変わってな。どうせ、その彼も若くて精悍で巷では人気が出ているらしいし既に多くのマスコミにも取り上げられている。

それに警察関係者を破っての準優勝だろう、後でマスコミに大会後に彼を監視していると知れたら警察の腹いせだとか嫌がらせだとか書かれて警察の威厳に傷が付くと長官が心配されての事だと思うがな」

「はい、長官のそのようなご心配は至極当然だと思いますが・・」


「それでだな、長官と相談して彼を一時監視対象から外す事になった。

それですまないが君の長期派遣は一時中止と言うか無くなった。

今までご苦労だったが、これからはテロ事件の解決に全力を尽くしてくれ。

以上だ。君から特に聞きたい事はないか」

「はい、特にございません」と顔色一つ変えずに答えると本部長室から用事が片付いたので廊下にさっさと出ていった。


 しかし、廊下に出ると一気に血の気が下がり顔の色が青くなった。

そして、体が震えだし歯がガタガタ鳴り出しどうしようもなくなった。

遂に我慢できなくなり廊下の壁を思い切り叩いた。

「最悪、なんて最悪なの。天国から地獄だわ。午後にでも一身上の都合で退職しようかしら。あぁ、それに平助になんて言おうかしら、もう最悪だ」と叫んだが、いつもの笑顔には戻らず落胆の色を隠せずに

「最悪、最悪・・」とブツブツ言いながら歩き出した。

「彼女、どうかしたのかしら? 今日は顔が真っ青よ。もしかして縁談が破談になったのかしら。あんなに嬉しそうだったのに、可哀想ね」と廊下ですれ違った職員らは心配していた。



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