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「それで、俺に話ってなんだい、いい事かな」と訊くと
「それはあんた次第かな。私の友達になぜか異世界や魔導に詳しい人かいてね。その人が是非平助を紹介しくれって急に頼んできたの。たぶん武道大会であんたを知ったんじゃない」
「それで、俺に何がいいんだよ」
「その人が言うには、自分は異世界に居る人に連絡が取れるんだって。でも、少しお金がかかる時もあるけど、それで一応あんたに教えておこうと思って。もしヒカリさんに急な連絡がしたい時に助かるかなと思って」と教えてくれた。
「そっか、連絡が取れるのか。教えてくれてありがとう。俺も今は賞金が手に入ったので多少のお金はあるし、もしかするとその人に頼むかもしれない」
「じゃ、後で連絡先をメールするから。でも、彼女には気をつけてね」と注意をされたが、
「なんだ友達って女性か、それなら心配することはないな」と軽く見ていた。
こっちの人でも異世界に連絡が取れるのか。楓が友人を介してやっているとは知っていたけど、同じ方法かな。それとも別にもっと早く連絡が取れる方法でもあれば頼もうかなと思った。
「それで、楓さんって、夏休みBBQで一緒だった彼女なの。アラタさんの従妹で彼の家に一緒に住んでいて、9月から学園に転向してきたあの男子生徒に凄く人気がある楓さんかな」と南が意外にも彼女を良く知っているたので
「へぇ、彼女男子生徒に人気があるのか。俺は全然知らなかったな。そういえば、BBQの時も男子部員が彼女の周りに集まっていたな。俺も最初会った時は可愛いなとは思ったけどね。
南はまだ彼女とは余り話した事がないと思うけど、彼女は本当はアラタの弟子入りの為に異世界から来たんだ。もちろんこれは内緒だけどね」
「じゃアラタさんの従妹でもなんでもないのね。もう設定で従妹が多すぎよ。誰か素敵な男性で私の従兄弟って設定で来ないのよ」と愚痴を言っていた。
「俺で、今度はその楓さんと一緒に遊びに行くわけか、色々話せて面白くなりそうね」と喜んでいた。
「おいおい、仲良くなるのはいいけど。余り変な事を言ったり、尋ねたりするなよ」
「何故、平助が困るのよ。もしかして彼女あんたの事も相当知っているのね」
「俺だけじゃなくて、ヒカリとも昔からの知り合いなので、俺の事は全部彼女に筒抜けさ。おまけにサクラとも友達だし、ヒカリにどこまでサクラの事を話をしているのか俺が心配でさ」
「それじゃ、二重スパイみたいなものね」と笑っていたが、さすがにヒカリがアラタの彼女にでもと、こっちの世界に連れてきた事は南には黙っていた。
南とのバカ話も終わって自分の部屋に戻ると結構いい時間になっていた。明日の学校の用意でもするかと机の方に近づくと急に机の一番下の引き出しがガタガアと動き出した。
「どうしたんだ、ここには真実の剣しか入っていないのに」と急いで引き出しを開けてみても異常なかったが、気になったので剣を袋から取り出し掌に乗せてみると「ドクッン」と心臓の動くような振動が掌に伝わってきたかと思うと、聖剣の名を呼んでもいないのに勝手にだんだんと大きくなり始めたので、こんな事は初めだと驚いたが、
「やった、遂にその時が着たのか」と手に力を入れ確り剣を持とうとしたが、どうしたことか途中で大きさは止まり、また小さく元に戻ってしまった。「どうしたんだ、早く大きくなってくれ」と口に出して頼んでも、心の中で叫んでもその願いは届かなかった。
「どうして急に大きくなり始めたのだろうか」直ぐに疑問が浮かんだが、その答えは今の俺には出なかった。しかしどう考えても、今日異世界に召喚されて、試合で偶然に呪文を読むことができた事と何らかの関係があるとしか思えなかった。「元々聖剣は異世界の物だ。こっちの世界では魔導も存在しない。今日はたまたま俺に魔導が少し残っていたのかも。もしかしたら、こっちの世界では起動しずらいのか。この聖剣は異世界に返すべきではないか」と思い始めたが、少しそのままにしておいても何も変化がないので、また剣を福袋に入れると引き出しの中に入れてしまった。
そのままベッドの横になると俺は直ぐに眠ってしまったが、今日一日感傷的になっていた俺は思った通りにサクラが話してくれた昔話の夢を見たようだ。そのお陰でサクラの涙が少し分ったような気がしたが、俺は未だに二股王子のままだった
次回から第8部が始まります。
その後から第9部、その後から第4章(バンパイア国編)第1部が始まります。