3-7-7
3-7-7
それからどれくらい経ったのだろうか、楓がお昼寝から起きて顔を洗いに行くと、アラタも直ぐに剣道場に戻ってきた。奴が練習をしている俺に気付くと
「やっぱり来ていたか、お前もする事がないんだろう」と笑っていたので
「すまんが、教えてくれないか。賞金のポイントをこっちのお金にする事はできないのか、ちょとものいいでな」と尋ねると
「少し手続と時間がかかり手数料も差し引かれるが、驚くなよポイントを円に換金できるぞ」と教えてくれた。
それから、手続を教えてもらいスマホで済ませると、換金比率を確認して1万ポイントの換金を申請すると、1週間で俺の口座に数万円が振り込まれるようだ。
「変な話だが、これなら俺にもかなりのお金が稼げるな」と俺が笑っていたが、
ふと、いい事が思い浮かび、アラタに訊いてみた
「これならバイトをしなくて大学の入学金や授業料が貯められるかも知れない」と
「そうだ、だから来年の大会にも出場してはどうか。でも賞金に目が眩んだら駄目だぞ」と教えてくれた。
そう、アラタの言う通りかもしれないが、これなら来年の大会にも出てもいいかなと思い始めた。
「そうそう、再来週の休みの日に4人で遊びにでもどうだ。映画とか遊園地とか」と、さっき楓と話した事を尋ねると
「大会後だな。俺は勿論いいぞ。でぇ、その4人って、南さんは入っているのか」と案の定アタラは訊いて来た
「もちろんだ、俺とお前と、楓と南だ。後で南を誘うけど、たぶん大丈夫だろう」と答えると
「そうか、南さんもか、時には体を休めないとな」と奴も喜んでいた。
それから、午後の練習を始めたが、俺はいつもと違って左手が使えないので筋トレや右手だけで竹刀を振っていると
「それじゃ、つまらないだろう」とアラタが声をかけてきたので
「そうだな、素振りだけじゃ、飽きるな」と俺もその気になり、結局は今日も3人で剣道の練習になってしまった。
さすがに俺は昨日の疲れがまだ残っていたのか、途中で音を上げてしまうと
「さすがに、同じ日を2回すると体力がなくなるな」と俺が冗談を言うと
「でも、今日は夕飯も2回食べられるからアイコだ」とアラタが笑っていた。
俺だけ早めに練習を切り上げると、夕飯には未だ時間があったので以前サクラと行った小高い公園にあれから初めて行ってみたが、何も思い出す事がなかった。
ここで2年前までサクラと街を見ながら将来を語っていたのか、俺も彼女も不思議と言うか因果な身の上だな。2人に何も起こらずあの時のままなら、今頃2人はここで手を繋いで将来を誓い合っていたに違いないのにと思った。
それからヒカリと初めて会った図書館横の公園や駅前の商店街を通っていると彼女と散歩した事や一緒に食べたアイスクリームを思い出し家に帰ると、ちょうど夕飯の時間になっていた。
今日の俺はどうしたんだろ。異世界で2人と会って来たせいだろうか。それとも1日で召喚と送喚をしたので後遺症でも出たのだろうか、いつになく感傷に慕っていた。