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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-5-7

3-5-7

「もう、笑い事じゃありません。困りますよ。関係者以外入室禁止って言ったのに、この人と私は関係者だと言って聞かないんですよ。静止しても泣いたり喚いたりで無理やり入ってきて、もう大変でした」とレイさんがプンプン怒っていた。

「それは本当ですか。こら、ヒカリ、レイさんに謝りなさい。すみません、この子俺の婚約者なんです。どうか許して下さい」と2人で謝ると

「えっ、その年で婚約、まぁ、羨ましい。それじゃ仕方ないですね」と許してくれたが

「平助さんは試合終了後30分近く眠っていましたので、次の試合は後10分しかありませんけど、その体で大丈夫ですか、どうします。棄権しますか」と尋ねた。

ヒカリは無言で首を横に振って「もう無理、止めて下さい」の合図をしていたが、俺はもう一勝すれば2人の間に変な邪魔は入らないだろうと左手を動かしてみて「じゃ出ます」と答えると、レイさんは事務局にその旨の報告をしに部屋を出て行った。


 「どうして、平ちゃん、私の言う事を聞かないの」と彼女は少し怒っていたが

「だって、もっと大きい指輪がいいでしょ」と言うと

「バカね。指輪なんてどうでもいいでしょ」と俺の顔を撫でていたが

「優勝でもして、2人を皆に認めさせたいのね。でも危なくなったら棄権するのよ」と忠告してくれた。

「それより、こんな相手の所に来て、お前の方はいいのか」と心配して訊くと

「ちょっとトイレって逃げてきたの。あんなお通夜のような所は嫌よ」と半分自分のせいで負けた同僚を気にもしていなかった。


「それであの薬は利きましたか」と心配そうに尋ねるので、

「あれは凄い薬だな、聖剣の回りに妖精が見えるし、相手の振りが遅く感じられるし・・でも利き過ぎだ。2年前じゃなくて数百年前の記憶が蘇って呪文が読めたぞ、まぁそのお陰で勝てたがな」と笑いながら答えると

「聖剣の回りに妖精が見えるって、平ちゃん、頭を強く打ったせいよ。試合の後にちゃんと精密検査を受けないと危ないわよ」と真剣に答えた。

するとドアの外から「それでは会場へお願いします」とのレイさんの声が聞こえたので、彼女の膝枕からゆっくりと立ち上がりサポータを彼女に付けてもらい、顔を2,3回叩いて気合を入れて武道大会会場へ向かおうとすると

「じゃ、私からのお守りです」とヒカリは俺に抱き付いて頬に軽くキスをすると、気合を入れた顔がでれっとなったので、もう一回顔を2,3回叩いて気合を入れ直し彼女に寄りかかり控え室を出て行った。


通路を抜けるまで彼女に寄りかかっていたが、1人で会場西の隅に立つと電光掲示板には対戦者の2人の顔がアップになり、今度の対戦相手は獲得賞金2位で第3シードで優勝オッズは2.0だった。

「おいおい、俺の30倍ってむちゃくちゃ番狂わせの万馬券だな。でも、ここで勝てば準優勝で賞金7万ポイントか、絶対勝つぞ」と思ったが、左手を動かしてみてもまだ力が入らず、それに薬の効果が完全に切れたのか聖剣の回りには妖精は見えないし、魔導の呪文も読めなくなっていたが、30分眠ったおかげで体力はかなり回復していたし、前の試合でケガはしていないようだった。


「さぁ、これからが俺のいつもの力での戦いか。後は頑張しかないぞ」と士気を高めると

司会者が両者の名を呼び上げると歓声は更に高まり、俺は会場西の方から中央に進み相手と初めて対面するとさすがに獲得賞金2位だけの事はある。あのじいさんの護衛の様にやはり体格は俺より一回り以上大きく力が溢れんばかりにありそうだし、顔つきがもはや勇者ではなく半獣だった。このタイプだと力で無理やり押すタイプだなと思った。

俺は審判から注意事項が説明されているにもかかわらず、頭の中で戦略を練っていたが合図がなされると歓声が最高潮になった。

すると「頑張れ、平助」「負けるな、平助」と楓の友人以外の観覧席からも声援が出始めていた。今度は俺に対する声援が増えていたので少し勇気が湧いてきたような気がした。


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