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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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 仕事から帰って来た母と一緒に3人で夕飯を食べながら

「隣の南に変な事は言ってないよな」と母に訊くと

「変なこ事って、なに」と聞き返してくる。

いつもならば夕飯の会話はこれで終了し、あとは母と2人で静かに夕飯を済ませるのだが、今日はいつもとは違い、ヒカリが隣の南と公園で会ったこと、2人して駅前の商店街などを散歩し、アイスを食べながら帰ってきたことなどを話しだすと、その後も3人での会話が弾み本当の3人家族のように楽しく夕飯を済ますことができた。


 3人での久しぶりの楽しい夕飯後、ヒカリと2人でまたジョギングして公園に行くと既に人影はなく、

「さぁ、時間が短いので急ぎましょう。平ちゃんは剣と盾が使えるように準備して下さい」と言うと、辺りに誰もいないのを確認し何やら呪文を唱え始めた。

すると、俺よりも少し身長が高く長い黒髪の高校生の男子が憧れる素敵な20代前半のナイスバディーのお姉さんへと彼女が変身した。

俺も急いで聖剣と盾の名を呼ぶと大きくなり実戦用の剣と盾になった。


「さぁ、剣と盾を構えて、第一の型、上限の構えから・・」と彼女は参加説明会で習った簡単な型から次々と俺に復習させていった。

「凄いですね、よく覚えていますね。さすが勇者様」と褒めちぎられ、

「いくら俺でも、数日前に教えてもたことぐらい忘れないよ」と笑って見せたが、召喚前まで毎日部屋でゴロゴロしていた俺にはジョギング直後の練習は辛く、記憶とは裏腹にものの10分で腕が上がらなくなった。

「やはり、まずは体力からですね。5分休憩しましょう」彼女の言葉で休憩を取った。


 2人仲良くベンチに座り、大人の姿に変身した隣に座るヒカリを何度も俺が目を皿のようにして見ていると

「どうしたんですか、じろじろそんな目で見て、私、何か変ですか」

「いやいや、そうじゃなくて、かわいいヒカリちゃんもいいけど、こっちもいいなと思って」俺の顔が緩むと

「このスケベ勇者様。じろじろ見られると恥ずかしいので、そんな目で見ないで下さい。でも、たぶん、この姿が5年後の私ですよ」

「5年後かぁ、ちょうど2人が大学を卒業する頃かな」

その時俺は、5年後の俺は、いや2人はどうなっているのだろうか、俺は彼女に釣り合うだけの男になっているのだろうかと思った。


「さぁ、5分立ちましたよ。今度は実戦」と俺に第一の型を構えさせて、彼女は横から棒で突いてくる。

体制が崩れた俺に「ほらほら、脇が甘い。もう一度構えて」と

俺が構えたらまた横から棒で突いてくる。そして俺の体制がまた崩れる。

これを第二の型、第三の型と次々に構えさせて、何度も横から棒で突いてくる。

その都度、俺は体制が崩れて、無防備になる。今日はこの練習ばかりだ。


 その後、どうにか残りの15分をこなし、俺はヘロヘロになったけど昨夜と違って気を失わずに終了した。

今日は昨日のような打撃戦ではなく防御の練習が多かったので

「どうして俺にこんな練習をさせるの」

「昨日気づいたのですよ。平ちゃんが、強い勇者になるのはまだまだ先だってね。

それで、平ちゃん、勇者にとって一番大切なことは何か知っていますか」と訊いてくる。

「強くなって、多くの敵を倒して、武勇を挙げることかな」

「確かにそうですけど、それは二番目ですよ」彼女は笑って答えた。

どうやら俺の答えは間違っていたようだが、その後も最後まで彼女は本当の答えは教えてくれなかった。

「今日は、ここまでにしましょう」と2日目の練習は終了し、

時間通りに剣と盾は小さく、そして彼女は俺の好きなかわいい女子高生のヒカリに戻った。


 家に帰り、それぞれ風呂に入って部屋に戻ったが、それほど遅い時間ではなかったので、少し下心があったのは間違いないが、まだまだ彼女に色んな疑問を訊きたくて隣のドアを叩くと何も返事がない。

「ヒカリちゃん、いないの」とドアを開けたが部屋に明かりはついていたが少し窓が開いているだけで部屋には誰もいなかった。

「いつ出て行ったのだろう。コンビニでも出かけたのかな」とドアを閉めて、今日は残念と諦め、よし明日また頑張ろうと自分を振り立たせて部屋に戻った。


 そうそう、いけない、着信暦を調べないと、着信が数件あったが大会本部事務局からは無く南から1件着ていたので開くと

「あの娘は、何者?」

なんだこの文書、南は気づいたのだろうか、ヒカリがこちらの世界の人ではないと

「どういうこと?」と返信すると

「遅いので、明日朝、図書館にて」と直ぐにメールが帰ってきた。

 この簡潔なメールのやり取りは、短気な南の性格が出て今の女子高生とは思えないので笑いがこみ上げた。

 寝るには少し早いので、ついでにスマホで剣と盾の使い方、バンパイアについて、お昼に日差しがなく遊べる場所などを検索していったが、一日の疲れで彼女が部屋に帰ってきたことにも気づかずにグッスリ寝てしまった。


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