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黒点の上に立つ  作者: ああああ
「ぼく」のはじまりと、周囲との関係のおわり
3/18

この世界についての手短な解説-1

――西暦199X年。


突如として男子のみが罹る致死性の伝染病が世界中で同時に発生し、男子の出生率が大幅に減少。この原因不明の非常事態に各国政府はあらゆる手を尽くして対抗を試みたが、それまで社会の中心を占めていた男性がばたばたと倒れていったこともあり、世界全体が混乱を極めた。


この原因不明の伝染病は正体をつかめないまま終息を迎えたが、出生数の偏りだけは依然として残る。結果として、地球は男女比1:50という圧倒的な女性中心世界へと姿を変えた。



それから20年の歳月が流れ、日本では新たに社会の中心となった女性たちが策定した「男女比維持法」により一夫多妻制が成立し、また自由恋愛的社会は姿を消した。


男子にとって高校とは女性との「婚姻契約」を結ぶ場であり、高校1年の終わりまでには平均して7〜8人、卒業までに30人近い「婚約者」=「家族」を作る。大学には進学せず、「夫」として「家族」の精神的支柱となり、「家族」から男子を輩出することで周囲から認められる。


女子にとっては、高校は教育を受けるだけでなく『どの男性の「家族」に属すか』を決めるための期間である。そして「夫」を持ち、職に就くことではじめて一人前とみなされる。


それが「普通」であり「大人」になること――そんな社会になっていた。



……では、人生を決めるといっても過言ではない高校で何が起こったか?


男子はめぼしい女子に目をつけて囲いこみ、肉欲にまみれたこの世の春を謳歌する。一方で女子はあの手この手を尽くして少しでも優秀な男子のハーレムに入ろうとする。



そんな狂騒に満ちた高校のなかで、他人と距離を置いて静けさとともに日々を過ごす少年がいた。


彼の名は、紫藤実秋。


実秋は学校が主催する全ての「イベント」をサボタージュし、幼馴染の侑理以外とは会話すらまともにしないほど「婚約」をひたすら避け続けているのだった。

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