エピローグ
短いです。
さあ。
これでこのお話はおしまいです。
え?
季節はちゃんと廻ったのかって?
ええ、大丈夫。
ちゃんと春が来ました。
その後もちゃんと、夏が来て、秋が来て、そして冬が来ています。
あなたも良く知っているでしょう?
え?
その後、王様たちはどうしたのかって?
王様は、城に戻って、国民みんなに謝りました。
祈りをささげた少女が誰かを調べて、直接彼女に謝ったそうです。
と同時に、お礼も言ったそうです。
おかげで過ちを犯さずに済んだって。
賢者は旅に出ました。
旅先で、パムのことを良く話しているそうです。
ほら、人の世界では、白ネズミは幸せを呼ぶ、とか、数字の7は幸運の印、とか言われているでしょう?
あれって、パムたちの話が原因じゃないかなって、思ってるんですけど………。違いますかね?
そうそう。
女王様の国にも、ちょっとした変化がありました。
塔の扉に穴が開いたことで、塔の力が、女王様の国にも少しだけ届くようになったんですって。
今までずっと春だった国には夏、秋、冬が。
今までずっと夏だった国には秋、冬、春が。
今までずっと秋だった国には冬、春、夏が。
今までずっと冬だった国には春、夏、秋が。
それぞれほんの少しだけですけど、やってくるようになったそうです。
そうして。
いつでも塔に来られるようになった女王たちは、仕事の手が空いたとき、そっと塔までやってきて、お茶をしていくようになったそうです。
ほら、たまに、春なのに寒くなったり、夏なのに涼しくなったり、秋なのに暑かったりする日があるでしょう?
それって、違う季節の女王様が、塔にいるせいなんだそうですよ。
……誰ですか? ちょっと迷惑、とか言っている人は?
世の中には、思っていても口にしちゃいけないことがあるんですよ?
それでね。
みんなが一番やってくるのは、冬なんだそうです。
冬になると仕事が少なくなるんですって。
でね、全員揃うと、とても綺麗な現象が起こるんです。
あ、ほら、窓の外を見て!
綺麗なオーロラが出てるでしょう?
あれがね、塔に、4人の女王全員が集まっている証拠なんですって。
七色に揺らめいて、本当に綺麗。
女王たちは今頃、塔で何の話をしているのでしょう。
もしかしたら、パムたちの話をしているのかもしれませんね――
<完>
最後までお読みいただき、ありがとうございました。