さ迷い猫
一匹の青目猫、ご主人が好き。
しかしご主人、猫嫌い。青目猫は捨て猫だった、だから拾ったのだろう、猫嫌いがなにしてるのか、ただの見栄なのか。
ご主人、拾ったはいいが猫が嫌いなものだから、やっぱりどこかへ置いていこうとする。
しかしご主人はどこかすっとんきょだし、青目猫、ご主人好き。帰ろうとする。
一度目は段ボール箱の中に入れて、遠くの場所においてきた。しかし帰ってみるとあら不思議、車の後部座席に青目猫がいる。
そういえば、あの段ボール、穴空いてたな…。
二度目は散歩と見せかけて隙みてご主人逃げ回る。しかし帰ってみるとあら不思議、足元に青目猫がいる。
そういえば、ご主人あなたは足が遅うござんした。
しかし、三度目、とうとうご主人、祈願叶い、猫は未踏の奥底へ。
やり方は単純ただ森の奥に捨てただけ。穴の空いてない段ボールに入れて。
なんともあっけない青目猫。
段ボールの中で寝てたものだから、気がついたら傍にはご主人おらず、周りにゃ見たこともない景色。
きょとーん、とほーんと暮れる青目猫。
歩き疲れて青目猫、遠くの方からパンの匂い、そっちの方行きゃ、まぁまぁ贅沢な赤い屋根のお家。青目の反対、赤の家。
その家には、なんとも大きな体をした大男と汚いババアの二人。
ずいぶんと青目猫を気に入った様子で、最大の持て成しをすること、すること。
魚は毎日出るし、布団は柔らかいし、捨てたりしない。けれど、所々なにか怪しい二人組。
実はこの家、猫食うのよ。二人組は猫が好物、しかしこんな森の中、猫なんて見つけられないものですから、猫なんてめったに食べられない。徐々に肥やして太ったところを食べようとしてた。
青目猫、それ分かったものだからと、咄嗟に逃げる準備、しかし相手は大男とババア、捕まってしまう。
だから青目猫、機転を利かす。しかしやること単純、寝てるあいつらから鍵盗んで外出た。
寝てるときって皆無防備ね、青目猫もそうだったしね。
二人は朝起きて大騒ぎ、あんだけ肥やした猫を逃がしてどうするんだい!!ババアの声は響くわね。
逃げたはいいが、またも、とほーんと暮れる青目猫。次はどこ行けばいいのやら……。
しかしご主人やっぱりあなたはすっとんきょね。
森は森でもあなたの家の近くではありませんか。
少し行けばご主人の家、それみて青目猫はまたもや帰還。
ご主人びっくり、猫見てしゃっくり。
猫はいつもの家来てのんびり。
黒猫とか最高