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プロローグ

 きらきらと輝く光が泡のなかに弾けて無数の粒になる。だけどやがて、目が霞んでそれも見えなくなってくる。苦しい、冷たい……あたしは水の中にいた。


(ばかなことしちゃったなぁ……)


 川で溺れそうな子どもを見かけて、泳げもしないのに真冬の川に飛び込んだ。子どもはすぐに周りの男性に助けられていたのに、あたしは……。川って、意外と深くて流れが速いんだな、というのが、どうやら、22歳の平凡なOLとしての人生の、最後に得る知識になりそうだ。


「…………さまっ?!」


 水の流れる音に混じって、微かに聞こえた、声、のような……。


「ユーリッカッッ!!」


 大きな手があたしの腕を掴んだ。焦った男性の声が近くなる。


「しっかり!!」


 力強い腕があたしを救い上げ、あたしの顔を水の上に引き上げる。


「ユーリッカさま!!」

「姫さまっ!!」

「ああ、ご無事で?!」


 岸辺から多くの人の声がする。いつの間にこんなに人が集まったのかな……。


「いかん、息をしてない!」


 周囲から悲鳴があがる。あたしは地面の上にそっと下ろされて寝かされる。されるがまま、あたしはぴくりとも動けない。息をしてない、って、あたしやっぱり死んでしまったの? でもそれにしては、まだ意識が残っているんですけど。


 あたしを助けた男性は、手慣れた様子であたしに水を吐かせる。そうして、唇が近づいてきて……。

 あなたはだれ? 顔を見たい。でも、瞼を持ち上げる事もできなくて。

 温かな唇があたしの唇を塞ぐ。甘やかな息が吹き込まれて胸を満たしてくるのと共に、あたしの意識は安堵の眠りに落ちていった。

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