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ある日
土と葉を踏み 共に生きよう
風を肌に受け 共に歩こう
恐怖も憎悪も認め 美しき君を愛す
歌の終わりの余韻が染み渡る森。
風の中に溶け消えていく詩にまで、耳を立てて聞いていた周りの動物達が、夢うつつの気分で巣穴へ帰っていく。
残っていた最後の子リスが、掌から地面へと飛び降りて走り去る姿を見送ると、ボコついた感触の幹から彼女は立ち上った。
ドレスの裾を上げ、湿る土の上に一直線に歩き出す。
目の前の大木、この森1番の巨木の後ろに、ローブに隠れ、服に包まれた細く引き締まった肩が見えている。
彼が隠れているのは、歌う前からすでに気づいていた。
おもむろに早くなる足、つられて弾む息、
近くなる愛おしい人の背中