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竜の娘  作者: 飛鳥弥生
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第五話~M82A1バレットライフルと呼ばれるそれは文字通り戦車の装甲を貫通するのが目的の携行火器で

 恐らく二十歳か二十一歳辺りであろう僕と同世代の、今は色気の塊たる紺の浴衣姿の椿波雲つばきなぐもの、その見た目とは裏腹に過ぎる支離滅裂な性格や驚くべき金銭感覚が、果たしてどういった経緯で誕生、形成されたものなのかは想像力を駆使しても微塵も見当が付かない不可思議なものだが、そんな彼女のこちらもおよそ一般らしくない人生において、コルトのリボルバーを両手に冥府だの天界だのの諸氏と絡むという意表を付き過ぎて逆に意味不明なそこに、僕以外の関係者が現れることは今更驚くでもないが、その相手が椿波雲となると話は全く変わって、というかこの書き方ではサッパリ意味不明だろうし正直僕にも目の前の光景はサッパリ意味不明なのだが、魅惑の浴衣姿で煙草を咥える波雲なぐも氏に大声を浴びせたのは、どこから見てもやはり波雲氏であって、まるで鏡のようなとは陳腐なそれを理解する一番簡単で妥当な見解は、その相手が波雲氏の姉妹、お姉さんだか妹さんだかなのではないかというもので、一見して天涯孤独自由を愛する流浪人風の波雲氏だが家族がいたとしてもそこは別段驚くでもなく、服装以外のディテールの全てが同じ量産フィギュアの如き麗しの波雲氏がもう一人というこの状況は、永らく音信不通だったお姉さん、もしくは妹よ久しぶりというシーンなのかもしれない、ということがなさそうなのは、登場第一声が挑発的放送禁止用語かアメリカンヤンキースラングに近いテイストだったからで、そこはある意味波雲氏っぽくもあるなと思わず納得しつつ、古今東西、波雲氏に対してそんな派手で危険な命懸けの言葉を発する人間がまさか実在するとはこちらは予想外で、地雷原でタップダンスを披露する若き大道芸人の如きそんな真似をするのもやはり、波雲氏くらいなものだと逆に納得してしまったりと若干混乱しつつ、浴衣ではない方の波雲氏、姉か妹か不明な一卵性でもありそうな、だが言動が本物の波雲氏を一部凌駕している裏波雲うらなぐもとでも呼ぶべきその相手に対し、先刻まで悩殺浴衣姿で静かながら普段とは違うしっとり感をかもしていた波雲氏が毎度の、しかし今の姿では若干想定外の舌打ちをしたので、この裏波雲はどうやら招かれざる客人らしいとだけは確信で、それは同時に浴衣な波雲氏に、似合ってますね、という渾身の科白を向けようと決意した直後だった僕の気分でもあって、見た目こそお馴染みのクールな美人たる裏波雲のその偉そうな、ってオリジナルの波雲氏も相当なのだが、そんな態度と科白に対して、主にこの一大イベントである花火大会見物を台無しにしている部分から良くない印象を抱きつつ、前回、最終章と書いておいてその続きという予定も構成もへったくれもない、今度こそ最終話なつもりの椿波雲烈風伝終章、真・ナグモーロボ最終回です。


 登場からあれやこれやと言葉を発しつつ結局正式な名前が不明なので裏波雲うらなぐもで通すが、今はうなじラブなポニテの普段は黒いロングヘアな艶っぽい限りの波雲氏に対して、裏波雲もまた黒いロングヘアで、しかし着衣は黒地に白のフリースをあしらったゴシックロリータ、通称ゴスロリで、パニエで膨らませたミニスカから覗く美脚は黒タイツでエロっぽいガーターベルトまであるという徹底振りで、もうどこから見てもメイドさんかメイドレイヤーで、一見すると少女趣味のそんな裏波雲もまたこれはこれで希少価値レベルにチャーミングなのだが、オリジナルと違って表情豊かにきつい限りの単語を駆使したその口調は、波雲氏とはこちらも違う系列のお嬢様風で何だか益々混乱しつつ、こんな裏波雲も捨てがたいとか思いつつも、現在、最強に色っぽい浴衣美人たる波雲氏に比べればゴスロリな裏波雲などサブキャラであり、という僕の主にビジュアル面の感想は置いておき、この二人に只ならぬ因縁があるのはまず間違いなく、ついでに関係が良好でないことも間違いなく、ならばこの裏波雲は一体何者なんだ、と最初に戻ってしまう。

 もうしばらく二人の会話というか裏波雲からの一方的な科白を聞いて、その端々から幾つかの単語を拾って解った事実は、離れ離れになってしまった姉妹だとかの定番をちょっとどころではなく越えたものだった。


 波雲氏がコルトのシングルアクションアーミー、二挺のアーティラリーによる銀の弾丸で冥府の住人たるタロンを人間界から追い出すという天使のナントカさんから依頼されたお仕事をしているというのは何度も説明したが、突然登場した裏波雲は何と、波雲氏の宿敵たるタロンが住む冥府からの使者なのだとか。つまり、タロン?

 いやしかし、それはおかしい。

 確か冥府というのは命というものがない世界でそこの連中は器だけの生物とは違う何かであって、だから命だとかがある人間界にやってきてあれこれ悪さをしている、そう聞いた。そしてタロンがこちらにいるには誰か人間に憑く必要があり、命的エネルギーを奪うことで存命しているからこそ、その傍迷惑なタロンを波雲氏がリボルバーで吹っ飛ばしているという関係性だった筈だ。

 だが、目の前にいるゴスロリメイドのお手本の如き裏波雲は自分を冥府の使いといいつつ明らかに実体があって、しかし憑かれている風ではなく完全に自由意志で発言している、今まで見てきたタロンとは全く異なるパターンなのだ。

 いや待て待て。裏波雲は自分をタロンではなく冥府の使い、そう言っていた。冥府の住人、ではなくそこからの使い。これはつまり、波雲氏が天界というところからの天使のナントカさんの使いであるのと正反対だと、そういう意味だろうか。冥府にも死神みたいな天使さん的役回りの誰かがいて、波雲氏とは逆の使命を何だかんだの能力と一緒に渡されたのが他ならぬ裏波雲なのだとすれば、まごうことなき人間でありながらタロンに匹敵する能力を、主に天使さんをやっつける目的で宿しているのが裏波雲なのだとすれば、いちおう辻褄は合うし、天下無双の波雲氏に対する挑発的態度にも頷ける。

 しかし解らない点もまだある。

 仮にそういう役回りの人がいるとして、その誰かに波雲氏と瓜二つな、おそらくリアルに血縁者である波雲氏関係者を選ぶ必要があるのだろうか。見た限りほぼ同じな、唯一服装と口調のみが異なるだけの人選である必要があるとすれば、波雲氏に成りすまして悪さをするという安っぽい目的ともう一つ、波雲氏と同じ椿家の娘であることに何らかの意味がある、このどちらかだろうか。

 前者なら可愛いものだが後者ならシリアスに過ぎる設定で、ここで波雲氏が波雲氏である根幹を垣間見ることになるのだが、これは毎度のギャグでもボケでもジョークでもなく、僕は波雲氏の過去、華やかかその逆かは関係なくそれを知りたいとは全く思っておらず、もしも本人がどうしても語りたいというのなら聞くが率先して聞き出そうというつもりは微塵もなく、そういうバックボーンを無視して、現在の型破りながら慣れてしまえば微笑ましくもある波雲氏と接したいと本気で思っているのだ。

 女性の過去は聞くな的発想ではなく、昔はどうあれこれが今の、そしてこの先も変わらない波雲氏だろうという部分が波雲氏の一番の個性であって魅力であり、シリアスであれコミカルであれ過去はあくまで過ぎ去ったものにしておきたいのだ。そういう思いもあるので、裏波雲の登場は僕にはやや、いや、かなり意外であると同時に若干不愉快なのだった。


 天使どもの駒使いをやっている下世話なメス豚、とかとんでもないことを偉そうなお嬢様口調で発している黒いゴスロリな裏波雲に対して、いつも通りのポーカーフェイスで煙草を吹かす波雲氏だが、口数が多過ぎる裏波雲が見た目こそ萌え系美女だが、やかましい、うっとおしいと僕は感じていて、毎度のようにさっさとリボルバー、アーティラリーで吹っ飛ばしてくれとやや不謹慎を承知で思ったりしたし、相手が冥府関係者ならそれが妥当だとも思ったのだが、ここで致命的なミスに気付いた。

 今日の波雲氏は僕の選んだ浴衣姿なのだ。つまり、普段は腰にあるガンベルト、黒いダブルホルスターがないのだ。対して裏波雲の手には、目玉が飛び出そうなほどにとんでもないものがある。ある意味、徹底したゴスロリコスチュームよりインパクトのあるそれは、ひたすらにデカいライフルで、銃火器に詳しくない人が見てもビックリすること間違いなしの、なんと全長二メートル弱の対戦車ライフルなのである。


挿絵(By みてみん)


 対戦車、アンチ・タンク・ライフル、またはアンチ・マテリアルライフル、或いは商標であるM82A1バレットライフルと呼ばれるそれは文字通り戦車の装甲を貫通するのが目的の携行火器で、弾丸径は四十五口径でも弾丸長は広げた掌くらいある大砲のようなもので、軍隊以外でこれを所持運用する組織はまずなく、アメリカ警察の特殊部隊であるSWATにも、対テロ装備としてほんの一時期に採用されていただけでなのだ。分厚い戦車装甲を貫通するような火器は警察などに必要ないから当然だが、このバレットライフルの恐ろしさは、遮蔽物が一切通用しないその火力もだが、二キロもあるその有効射程で、一般車両などに向ければ吹っ飛ぶか貫通してしまい、当然、人に向けるものでもない。但し、強力な弾丸を使用するが故、発射時に煙が立ちこめ、狙撃地点が狙った相手にバレてしまうという致命的な欠点があり、このことから前述したSWATでの採用は見送られたという経緯なのだった。

 そんなゲテモノな重火器、重量二十キロはありそうなバレットライフルをゴスロリメイドな裏波雲が腰溜めで抱えているのだ。美少女マニアでガンオタな僕には二度美味しいシチュエーションにも見えそうだが、正直リアルで見ると全く美味しくないのは言うまでもないだろうし、どうやら当人は洒落やファッションのつもりではなさそうだから、ただひたすらに唖然とするだけである。

 裏波雲による一方的な罵詈雑言の最中、ずっとその大きな銃口は波雲氏に向いたままになっているのだが、その弾丸が銀なのか金なのかは不明だが、冥府の何だかんだと言うのだから通常とは違うものだろうし、リアルスペックであればそれがバレットライフルなら立派に過ぎる武器なので、どちらにしても危険には違いない。

 対峙する波雲氏の手にあるのは煙草とライターのみで、この構図はそれこそ全く洒落になっていない。波雲氏的完璧主義から浴衣にガンベルトを装着していないことがまさか裏目に出るとは誰が想像出来るだろうか。というか仮にガンベルトがあったとしても裏波雲側がバレットライフなのでそもそも勝負にならないのだが。


 高飛車に過ぎる裏波雲の言いたい放題は続き、しかしどうしてか波雲氏の表情は澄ましたまま崩れる様子がなく、だが武器の類がないのは明白なので僕のほうが混乱してしまう。波雲氏に絶体絶命アクション活劇的ピンチなどないと書いたが、それはあくまでこれまでの出会ってから昨日までの話であって、その僅か翌日にまさかそれが発生するとは想定外であり、しかし現実でそんな場面はないほうがいいのだとも痛感した。

 酷く長く感じる、実際は登場してから五分といったところのその時間、言いたいだけ言い尽くした風の裏波雲は最後に決め科白的言葉を吐いてから、改めてデカい限りのバレットライフルを向けてきた。まるで大砲だ、という表現が誇張でないから恐ろしい。

 天界と冥府とそれぞれの使いの関係性は僕には詳しくは解らないが、タロンに対して無敵連勝だった波雲氏の天敵にして宿敵がこのゴスロリ裏波雲らしいことは解り、しかもこの勝負、何度目なのかは不明なこれを勝利で飾ろうと裏波雲が不気味な笑みでバレットライフルのトリガーを一気に引き、まだ始まっていない花火大会の一発目が土手の上で盛大に響いた。花火にしてはやや地味でしかし、それまでの言動からジョークでは済まないその発砲音というか爆発に、僕の思考は完全に停止した。


 バレットライフルの射撃音から一拍後、こちらもとても長く感じたのだが実際は一秒に満たない直後、思考停止ついでに目に映る光景を把握できないでいる僕がどうにかこうにか正常に戻って最初に見えたのは、バレットライフルを脇に倒れたゴスロリメイド姿の裏波雲と、どうしてかバレットライフルの銃弾を受けていない浴衣姿の波雲氏だった。

 二人の距離は五メートルから七メートルといったところで、相手、裏波雲の武器が対戦車なバレットライフルならその距離で外すことは余程腕が悪くてもまずない筈なのだが、一発だけ聞こえた強烈な発砲音でどうしてだか裏波雲のほうが倒れているので、これには唖然とした。いや全く、何がどうなっているのかサッパリ解らない。

 カキリと音がしたので振り向くと波雲氏がライターで煙草に火を点けており、一方の裏波雲は先刻までの言いたい放題から一転、沈黙のままでピクリともしない。

 まずは冷静になれと自分に言い聞かせて深呼吸をして、改めて波雲氏を見るが銃創も怪我もない、先ほどと変わらずのポニテの浴衣美人である。ならばと恐る恐る裏波雲、黒いゴスロリメイド風フリル付きスカート姿で土手の上に倒れるこちらに近付くと、その胸辺りに何やら光るものがあった。登場からずっとはなかったそれは、からからと回る風車だった。

 それを見た瞬間、僕は全てを詳細に理解して、そして思わず唸ってしまった。


 説明しよう。


 携行火器では最強に属するバレットライフルを握る裏波雲に対して波雲氏が丸腰であったことは書いた通りである。銃火器を持った相手に素手であることはとても危険だが、対抗するといってこちらも拳銃を握ればいい、というのは短絡である。

 我らが早撃ちの達人ヴィンが活躍する荒野の七人を思い出してもらいたい。

 あの傑作映画で主人公クリスやヴィンよりも熱狂的ファンがいるのが、ジェームズ・コバーン演じるナイフ投げの達人、寡黙だが少ない科白はことごとく含蓄のある細身のガンマン、ブリットであることは有名に過ぎる話で、日本代表アニメーションの一つであるモンキー・パンチのルパン三世に登場する凄腕ガンマン、コンバットマグナムを愛用する次元大介は実はブリットをモデルにしているというのも有名な話でつまり、マックイーンやブリンナーに続き、ある部分では越えているのが他ならぬコバーン扮するブリットなのである。

 そのブリットが得意とするのはクイックドロウを始めとするガンさばきともう一つ、ナイフ投げ。

 これは西部劇時代の早撃ち、クイックドロウを上回る達人的な腕前で、劇中、拳銃を握った相手とクイックドロウ対決をしたブリットが相手よりも早く折り畳み式ナイフを投げて倒したシーンは彼の最初の見せ場でもありつつ、弾丸の速度ではなくその手前のドロウのモーションより早いのであればナイフでも対等以上に戦えるということを実証してみせたのが、他ならぬブリットなのであった。

 さて、いきなりのブリット談議に困惑する方もいるだろうが、裏波雲の胸にあった風車、銀で出来た丁寧な細工のそれは、そう、僕が浴衣と一緒に選んだあのかんざしなのである。つまり波雲氏は、裏波雲がバレットライフルを構え直した瞬間に簪を抜いて、ブリットさながらにそれを投げつけて見事命中させたと、そういう顛末なのであった。拳銃やライフルの腕前が人並みであっても胸に簪を突き刺されては手元が狂うのは当然というもの。

 しかも、これは偶然なのだがあの細工の凝った風車をあしらった高価な簪は銀で出来ていて、タロンだったり冥府関連の相手には効果的なマテリアルなのだ。裏波雲がどういう素性の者なのかは定かではないが、銀の一撃を喰らえば冥府関係者ならタダでは済まないと、こういう次第である。


 全く、波雲氏には驚かされてばかりである。

 リボルバー、アーティラリー二挺のクイックドロウの腕前に加えて、ナイフ投げの達人ブリットに匹敵するスキルまで持っているとは。しかもそのアイテムが簪とはどこぞの仕事人の如くである。限りなく丸腰に近いのにやっぱり無敵な波雲氏にかかれば、見た目は同じだがオリジナルではないゴスロリメイドな裏波雲など朝飯前といったところなのだろう。その力量の差、ポテンシャルの違いに裏波雲に同情してしまうくらいだ、とか思っていたら裏波雲がかすかに唸っていて驚いた。どうやら一命は取り止めたらしくしかし反撃に転ずるほどの元気はないようで、もうしばらく唸ってからよろよろと立ち上がり、覚えておけ的お決まりの科白を残して、バレットライフルを杖代わりに夕闇に消えていった。

 何だかんだで見た目は波雲氏なので死んだりしたら後味が悪いし、口は本家さながらに悪いが黒いゴスロリメイドは素直に可愛いし、何となく良かったな、とほっとしてしまった。

 ゴシックなロリメイド姿に大袈裟なバレットライフルという組み合わせもそれはそれで渋いし、冬コミの椿波雲ぷにぷに限定フィギュアのバリエーションにパーツ付け替えの裏波雲があったら盛り上がるだろうし、あれはあれでアリでしょう。本名を聞けなかったのが心残りだが多分そのうちまた出てくるだろうから、その時に改めて聞くことにしよう。

 なんてことを裏波雲が置いていった例の風車な簪を回収してぼんやりと考えて、簪をハンカチで丁寧に拭いて、これ、随分と長いのだけどその根元まで血らしきがあって、ちょっと洒落にならないくらいの刺さり方をしたらしいけど、裏波雲はよろよろながら自力で歩いていたのでまあそれもいいとして綺麗に磨いて、幸い変形などはなかったので波雲氏に渡しました。

 先ほどまで誰かさんの胸元に突き刺さっていた物騒なものはどうだろうとも思ったけど、さも当然という具合で波雲氏は受け取り、そのままポニテの根元に刺して、吸い込んだ煙草の煙をふうと吹いてました。


 いきなり登場した裏波雲との決闘はこれにて一件落着で、いよいよ本筋の花火大会見物に戻れるのだろうかと思いつつ、決戦は見事な勝利で終わったものの、もしかすると姉妹かもしれない相手との顔合わせだったので普段通りの澄まし顔ながら内心は実は複雑だったりで花火どころではないのでは、と想像してしまった。

 というかそういうリアクションがまっとうな人間というもので、姉だか妹だかを瀕死にしておいて、わあ花火綺麗、とかやれる人はまずいないか。いくら波雲氏が鉄の女なアイアンメインデンでも血縁らしきが相手ではその感情も揺れて当然というもので、やっぱり花火大会に興じるという場面ではないと僕のほうで気を利かせて、ここは、まあ次の機会にでもとかで車に戻って静かなマンションに帰って、ちょっと美味しいコーヒーでも用意するのが助手たる僕の適切な役回りなのだろう。

 実際、花火大会はまだ何度もあるし、魅惑の浴衣姿も後々見れるだろうし、それをあえて裏波雲との決闘の流れで期待するのはさすがに無神経だろう、くらいの気配りをやれなければ助手、いや男ではないだろう。

 といった覚悟にも似た気分で帰還を提案しようとした僕に対して波雲氏から、どっちだ、と一言。

 車ならご存知の通り土手のあちら側の駐車場に、ってそうではなく、そろそろ開始の花火は夜空のどちらに見えるのかと、そういう意味らしい。つまり波雲氏は、これから始まる花火大会を予定通りに堪能しようと、そういうつもりらしいのだ。

 僕の僕なりの配慮などは一切不要で、初志貫徹が座右の銘とでも言わんばかりのこの波雲氏のスタンスには、もう天晴れです。途中の裏波雲とのあれこれなどまるでなかったかのような当たり前だ的態度は正に波雲氏で、成る程、裏波雲如きで勝負にならない訳である。

 花火大会ガイドの詳細は頭に入れてあるのでその方角を伝えると、咥え煙草でベンチに腰掛けて毎度の澄ました、何を考えているのか解らない風ポーカーフェイス。しかし浴衣だからか普段より随分と姿勢が良くどこぞの令嬢にも見える波雲氏の隣に座ってもいいものか躊躇しつつ、ややぎこちなくおずおずと腰掛け、途中のコンビニで購入したコーヒーとジュースを用意し、生唾を飲み込み明らかに挙動不審で夜空を見上げる僕は、その木製ベンチで距離を縮めようかどうしようかとやはり挙動不審であった。


 現在は丁度、車で並ぶのと同じくらいの距離で、こちらも車と同じく波雲氏に対して右側に腰掛けている。

 屋根のある小さな木製ベンチは土手の上にあって周囲に人影はなく、やや見下ろす角度の河川敷にはこちらはなかかなに大勢がいるようで、屋台や露天の灯りも見えて、肝心の花火までは残すところ三分といったところ。梅雨はすっかり明けて夜ながら快晴で月灯りが綺麗な星空で、河川敷方向からの風は意外にひんやりとして心地良く、といった状況。

 ここで行かなければどこで行くという絶好絶妙なシチュエーションだとわざわざ言われなくったって解ります。


 これがゲームやアニメではないリアルな現実だといっても、やはりこの状況で行かないなら明日から出家して木魚叩いて数珠でも握ってろって具合であり、聞こえないように深呼吸をした僕は自然を装って座る位置を波雲氏寄りに変えて、ジュースを一口、そろそろかな、とか何とか言いつつ心臓の音を加速させていった。

 後は、腕を波雲氏の肩に回してそっと抱き寄せ、という展開だが、普段ならそんなことをしようとした瞬間に撃たれてしまうが、どうしてか今の波雲氏にはそういう気配、雰囲気がないのだ。

 いつも通りの表情、とは微妙に、かすかに違ってしかし具体的にどうとははっきりとは言えないのだが、普段纏っているあの闘神インドラの如きオーラが全くなく、代わりにこれぞ浴衣美人という何かがあって、ツンと澄ましたその表情も退屈だ何だの類ではなく、もう、いくじなしなんだから、的ツンデレ要素に限りなく近く、この辺りに対する嗅覚はその世界の玄人たる僕のほぼ確信で、ここで腕を肩に、或いは腰に回さなければバッドエンドだろうという状況だと瞬間的に判断し、仮にそれがOKで拒絶されなかった場合の後の展開はもう考えないことにして、いざ、と左腕をゆるゆると挙げて、態度は図太いが体は意外に細い波雲氏の、ポニテうなじの向こうにある紺の浴衣な肩に腕を、とても自然な風に回そうとした直前、河川敷方向から一筋の光がひるひるひるという音と共に昇り、その後の花火と同時に肩を抱こうと決意したその時、強烈な爆発音と衝撃波が僕を揺さぶったのだった。


 その、花火ではない文字通りの爆発は同時に眩い閃光を伴って僕の眼前で炸裂し、完全に視界が焼き付き耳が麻痺してしまい、なので爆発の直後からの妙な音に気付くのにしばらくかかった。

 あえて書くとパカラカラン、といった具合のそれは荒野を走る馬の足音のようでいて何だかリズムが奇妙でもあって、しかもそれが閃光方向である花火が見える角度から聞こえてきたので、目と耳が正常に戻ったところで理解不能であった。

 爆発の如き閃光の向こうからやってきたのは何となく予想通りの馬だったが、その方向は確実に夜空なので馬なら羽の生えたペガサスとかなんだろう、なんて冷静にツッコむのは無理というもので、中空を駆けるのにどうしてひずめの音がするんだ、ということもさて置き、登場したのはやっぱり馬だったから驚く以前に呆れてしまった。


 どうして足音がパカラカランなのかはその姿を見て一発で解った。

 その馬、実際は馬と呼んでいいのか微妙な何かには足が八本あり胴体もかなり長く、だから足音のリズムが妙だったのだ。とかって冷静に分析するより驚くのは、その馬風奇抜な何かに翼がなかったからではなく、それに誰だかが乗っていたからでもなく、乗っていた方が物凄い西洋風甲冑を纏った大柄に過ぎる怖そうなオッサンで、その腰に剣が、片手に盾が、もう一方にゴツい槍があって、馬っぽい八本足もあちこちに鎧みたいなものがあるやたらと筋肉質だったからでつまり、いきなり空から現れたのが見るからに妖しい限りの何だかだったからである。

 馬にしては大き過ぎるしオッサンにしては巨体に過ぎるイカつい何だか意味不明なそれの登場を歓迎する唯一の要素は、気付けば僕の左手が波雲氏の肩に乗っかっていたということで、紺の浴衣越しに初めて触った波雲氏の肩は思ったよりも細くてしかし柔らかく、馬っぽい八本足の登場に放心しつつ脳の残り半分はしっかりとそちらを堪能している辺りがいかにも僕といったところで、ただ微妙なのは、決意からではなく半ば勢いで肩を握った僕に対して波雲氏は、目の前のイカついオッサンが登場したあの爆発の瞬間、確か、タマヤ、と叫んでいたように聞こえたということ。

 花火大会でこんなのが登場するなんて凝ったイベントはまずないと思うんですけど、爆発すれば何でもいいのだろうか。


 そのオッサンは空からパカラカランと土手に降りてきて、僕と波雲氏の手前まで寄って来たのだが、その最中もずっと波雲氏の肩を抱いている僕からすれば、オッサン消えてくれというのが本音だが、まず非常事態なのだろうから様子を見ることにした。波雲氏の方は肩を抱かれていることに拒絶反応は示さず、ついでに目の前の明らかに妖しい方にも大して驚くでもなく、普段と変わらず煙草を吹かしてコーヒーを飲んだりしつつだった。

 ちなみにそのオッサンとオッサンが乗っていた馬っぽい奇天烈な生き物はどこかで見たような覚えがあるのだが、波雲氏と違って割と普通な人生を歩んできたつもりな僕が、こんな変な組み合わせを見たことなどあるはずもないから恐らく気のせいだろうと相手からの言葉を待っていたのだが、波雲氏は普段通りから若干態度を変えて、といっても僕の思わずの行動にではなくオッサンの方らしく、その理由はどうやら花火の続きの邪魔をするなといったものらしいが、肝心のオッサンは見た目こそ強烈に個性的でイカつい強面の甲冑巨人ながら、花火どころではない、といった様子で馬かもしれない八本足から降りて甲冑を鳴らしてずんずんと歩き、波雲氏の前で膝を突いて大きな体を縮め、短く自己紹介してから登場した理由を迫力のある声で語り始めた。

 隣で聞いていた僕でもかろうじて解るその内容は、今夜の花火大会が終わる手前くらいに冥府の連中が本格的に人間界に攻めて来るらしいので、各世界の均衡を守るべく天界側も戦の準備をしており、人間の代表は天使さんからの使いである波雲氏を筆頭なのでその準備をして欲しい、といったものだった。

 冥府の連中というのはタロンや、先ほどの裏波雲さんなのだろうが、それ以外にデモンとディーヴァなる名称も出てきて、これは確かMMO・RPGで見た事のある悪魔の親玉の男女の名前に似ているのでつまり、ザコっぽいタロンは当然としてその上クラスがやって来るということらしく、それが本当なら確かに花火大会どころではない事態だが、それよりも驚いたのはオッサン。

 この人、自分のことを、オーディン、そう名乗ってました。


 戦争と死の神、勝利を決める者、片眼の英雄などなど幾つもの呼び名を持つことで有名な戦いの神で、聖槍ロンギヌスを握るというあのオーディン? ということは八本足の奇抜なその馬っぽいのはスレイプニール? 何となく見覚えがあったのはその組み合わせがファンタジー系ゲームで定番だったからだと遅れて気付いた。

 だが、確か波雲氏は天使さん、守護天使の使途の一人から武器とか能力とかを授かったと聞いていたが、スレイプニールにまたがるオーディンって天使の更に上の文字通り神様の一人な筈で、どうしてそんな方が波雲氏相手に膝を付いて敬語で喋っているのか、波雲氏の立ち位置というか肩書きというかが一体どうなっているのかサッパリ意味不明ですけど、訊いてる波雲氏が当然みたいな態度なのでこれはもう納得するしかないです。


 そんな最中に花火大会は続いていて、僕はというとオーディンさんから概要を聞いてから、細いながら柔らかい波雲氏の肩から泣く泣く手を離して急いで車に戻ってバックを担いでベンチに戻り、そこから黒いガンベルト、波雲氏のダブルホルスターを持ち出します。浴衣美人に目がくらんだ僕はこれでも助手なので、こういう準備はきちんとしています。先刻の裏波雲の際はそんな余裕がなかったものの、準備していたことを思い出せた今はばっちしです。

 デモンだかがどれだけ強力かは知らないものの、こちらにはかのオーディンさんが付いているのだから、厳しい戦いになるにしても頼もしい限りで、先ほどまで胡散臭いと思っていた馬っぽいものがスレプニールならこちらも同じく頼もしく、ひょっとしてタイタンとかフェニックスとかあれこれ頼れる援軍があるのかもと思えば益々だが、そんなオーディンさんがわざわざ事前に知らせにくるということはやっぱり相手はかなりのものなのだろうとも想像で、これは随分とシリアスな展開だな、と蚊帳の外な僕は思ったりしていた。

 波雲氏と違ってリボルバーだとかタロンを感知する能力だとかはなく、ブリットライクなナイフ投げだとかも出来ないので、逃げ回るエキストラAくらいが限界ですから、所詮は蚊帳の外なんですよ。


 オーディンさんからの説明が終わったくらいのタイミングで、またもや花火とは明らかに違う、雷鳴に似た音が晴天のはずの夜空の向こうで轟いて、遂に、早くもタロン軍団がやってきたとのこと。

 遠い空に光る亀裂が走るその光景は神秘的ながらも明らかに不気味で、中空に出来たヒビからタロンらしきがわらわらと出て、そのタロンは今まで見たものと違ってこうもりみたいな羽を持ったタイプで、それが次々とヒビから現れ、ゲームのオープニングなら凝ったものだと感心しそうな、しかしリアルで見せられると引いてしまいそうなその光景がオーディンさんの言っていた冥府の侵攻らしく、これはもうオーディンさんや天使さんを応援するしかないな、と人間代表な僕は思うくらいなのだが、同じく人間だったと思う波雲氏は少々、いや、相当に違っていた。

 オーディンさんに黄色い帯に突き刺したシングルアクションアーミーのアーティラリーの片方を向けて舌打ちし、あろうことか八本足の馬、スレイプニールを奪ってそれに浴衣姿のお姉さん座りで乗ってたずなを引き、あっという間に夜空に、あの雷鳴と中空に光るヒビに向かって駆けていったのだ。ある意味、波雲氏っぽくもあるがさすがに度肝を抜かれました。

 相手は遠目でも百はいる羽付きタロンと、おそらくその後に出てくるもっと強い連中と、トドメにデモンだかだが、波雲氏にあってはどうしてか単身で勝てるのが確定といった様子でスレイプニールで颯爽と飛んでいってしまったのだった。

 戦の神たるオーディンさんに銃を向けるのもどうかと思うし、まさかまさかでスレイプニールを強奪しちゃうのもかなり問題だと思うが、何となく取り残されたオーディンさん曰く、ああいう人だからこそ選んだのだし頼れる、とか何とか。戦争と死の神たるオーディンさんが一目置くというのは相当なものだろうが、少なからず波雲氏を知る僕なので何となく頷いちゃったりしつつ、すっかり出遅れた感たっぷりでイカついオッサンもといオーディンさんと並んで、スレイプニールに乗って飛んでいった波雲氏をぼんやりと静かに眺めているのだった。


 リボルバー二挺のみで百もの相手はさすがの波雲氏でも無理だろうという心配は、馬というより竜みたいなスレイプニールに乗っていると武器の類は強力になり、刃物なら刃こぼれをせず、拳銃なら弾丸が無限になるという能力がスレイプニールにはあるのだとか。なるほど、だから波雲氏はオーディンさんからスレイプニールを奪ったのか、とか思わず納得しちゃったりして。

 冥府の連中との大決戦らしきは、椿波雲の大暴走に姿を変えて花火大会と同時に現在進行形で目の前で展開中。

 八本足のスレイプニールに乗って夜空を駆ける浴衣姿の二挺拳銃ガンマン、ポニテの波雲氏は、普段は面倒だが仕方なくといった調子だが今回はどうやら少し違うテンションらしく、真っ最中な華麗な花火をバックにタロンの群れの中を馬身一体の三次元機動で飛び回りつつ、両手のリボルバー、コルトSAAアーティラリーを、何寸だか知らないがそんな程度の花火じゃあ物足りない、といった塩梅で、ひたすらにガンガンバリバリと炸裂させているのだが、そんな様子はいかにも波雲氏らしいな、とか思ったりしちゃうというのが正直なところ。

 まあ、楽しんでいただけたのだったら何でもいいんだけどね。


 ……さて、主に波雲氏の浴衣を目的とした初夏の花火大会からのまさかの展開がどう決着したのかは、まあ、あえて書かなくても解ると思いますがいちおう書くと、本来はオーディンさんを乗せるスレイプニールで夜空を縦横無尽に駆けつつ、普段の倍くらいの勢いで二挺のリボルバー、コルトのアーティラリーをバンバン撃ちまくって、羽付きタロンをハエでも落とすように次々と始末していく波雲氏に対して、あの中空に光るヒビからタロンよりも手強そうな何かがチラリと見えつつ、しかしどうやら今回は諦めようといった具合でその相手は引っ込み、ものの数分でその冥府からの侵攻は終わってしまった。オーディンさんや他のあれこれの増援を待たずで。

 その様子を地上から見上げていた僕とオーディンさんの所に、なんだかとっても満足した風な波雲氏がスレイプニールで降りてきて、リボルバーを黄色い帯に刺して煙草を咥えつつ、たずなをオーディンさんに返して、さも当然といったご様子で木製ベンチに座り、終盤になった花火大会を例の澄まし顔で見物し始めた。

 切り替えが早いというのか何というのかもうサッパリだが、要するに自分のお仕事はきっちり過ぎるほどにこなす波雲氏の完璧主義というのは、相手が冥府のタロンだろうがその群れだろうが更に上の何かだろうが一片も揺らがないとか、そういう感じなのだろう。

 オーディンさん曰く一大事を殆どノリだけできちんと片付けるその手腕というのか度胸というのか何だかは、何故か単なる伝令役にしかなっていないオーディンさんもビックリで、僕なんかが淡く期待したオーディンさん側からの増援はもしかしたら予定されていたのかもしれないが、その前に全部を片付ける波雲氏なので登場する暇もなく、タロン側の手強そうなのが出てこなかったのも頷けるというもの。それが割と本気っぽい侵攻だったりでも、こんな物騒に過ぎる人を相手になんてしたくないと思うのが普通でしょうから。

 戦闘モードから鑑賞モードに完全に切り替わった波雲氏なので、僕やオーディンさん、スレイプニールも釣られて夜空に広がるスペクタクルたる花火を眺めていたが、この組み合わせは傍目からは相当に異様なんだろうな、とか思ったり思わなかったりしつつ、オーディンさんがまんざらでもないご様子だったので、きっと天界には花火大会はないのだろう、とか全くどうでもいいことを思いつつ、仕切り直しで紺の浴衣がエロっぽい波雲氏の肩を、とかチラリと思ったものの、戦の神たるオーディンさんがいるので止めとこうと、近くでみると案外と愛嬌のある、波雲氏を乗せて大活躍だった馬っぽいスレイプニールと一緒に花火大会を見物です。


 冥府の住人たるタロンの魔手から人々を救う、とかって大袈裟な大義名分ではなさそうな感じの、今は浴衣が似合う椿波雲はしかし、どうやら人々どころが人間界そのものをがっちしと守っている、それこそ守護天使とかって呼び名がぴったりな存在らしく、リボルバーを両手の天使なんてのは物騒だな、とか、オーディンさんが全く活躍しないくらいの闘いっぷりを披露する女性ってのはどうなんだろう、とかあれこれ思うところはありつつ、そんな波雲氏がいるから僕みたいな平凡で退屈な奴が文字通り平和に暮らせるのだったらその助手とかをやるのは少しくらい何かに貢献している、なかなかにやり甲斐のある役回りのようで、実際のところ何もしてないじゃん、とか自分で気付いたりしても、まあ波雲氏に煙草やコーヒーを提供するなんてのも地味ながら必要でしょうし、それらが切れたら守護天使ライクな波雲氏とオーディンさんのバトルでも始まるかもしれないので、やっぱり控え目ながら重要ポストかもね、とか密かに思ってみたりしつつで、波雲氏と彼女を取り巻くあれやこれやのご紹介の締めくくりとさせていただきます。


 波雲氏と出会って三ヶ月はなかなかに充実した、って僕は全く活躍しないんですが見ていて飽きない日々で、その節目っぽく花火大会からのあれこれで、これから後もまたそれなりに面白い出来事なんかが山盛りなんだろうな、とか想像すると助手なんていうポジションも悪くないな、とか思えますが、三ヶ月が経過したのでそろそろ給与のベースアップを、とかちょびっとだけ期待してますが、そもそも居てもいなくても同じくらいな扱いなのでその辺はまあ、なるようになれです。

 また機会があれば波雲氏の逸話でもご紹介しますので、その際はよろしくお願いします。



『竜の娘』――完

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