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とても長い間放置してしまいました。話は出来てるけど書けない症候群(そんなもの無い)です。
「はぁ…はぁ……。」
あの後、なるべく人のいないルートを選び足音を殺しながら走り抜け現場をはなれた。
「はぁ、ここなら大丈夫だよね?」
自分たち以外に人気が無いことを確認しカナが呟く。
「相変わらずここは誰もいないね。」
アキラが近くの本を手に取りすこしめくってもとの場所に返した。ここは、二階のすみにある洋書コーナーで、英字本とともに複数の言語のものがある。アキラが持ったのはフランス語だった。
「にしてもさぁ~。高校の図書館に英語以外のが大量にあるっていうのも変な話だよね?進学校でもないのに。」
「これだけあっても読まないと意味ないのにね。」
「ん、みんな。時間が後半分もないぞ。」
ハジメが自分の腕時計を指差していった。
「もうそんな時間か。」
「まぁ、読む予定だった本は借りるから良いとして、これはどうする?」
自分の持っている真っ青な本を胸のところまであげてカズヒサが聞く。さっきの騒ぎのせいであまり一階はうろうろ出来ない。そもそも読むために持っている本を返しに行くよりも、そのまま借りておく方が普通だとも言える。となると、読むわけでもないこの重くてかさばる本の処遇に困るのだ。
ちなみに6人はそれぞれアキラが赤、カズヒサが青、ハジメが紫、ハルが黄、カナが緑、クウトが白の本を持っている。
「クゥちゃん。こんな本どこから持ってきたの?」
「ん?えっとね、二階の奥の廊下にある階段の上の部屋だよ?」
「……ちょっと待って愛千さん。今、二階の上の階って言った?」
「うん、つまり三階だね。」
「いや、三階だねじゃなくって!この図書館は二階までしか無いはずじゃん!!」
「そうなんだよねぇ。高三にして大発見だよ~。」
「だからそうじゃなくて!!」
ヘラヘラとあり得ない事を口走るクウトにアキラはつい語調が強くなる。演劇以外では全くと言っていいほど嘘がつけないクウトが、こんなときに平然と嘘つけるとはアキラも思っていない。だが、館内の案内板は今までに飽きるほど見てきたため混乱しているのだ。
「まあまあ、実際に行ってみよう。二階なら一階に行くよりマシだし、この本も返さなきゃ。」
百聞は一見にしかずだ、とカズヒサが促すと仕方がないとアキラは頭を切り替える事にした。
***
「で、これがその階段か。」
「……本当にあったね。」
唖然とでも言うかの様にカナが呟く。そこには一人が通るには広いが二人は並べない位の幅の階段があった。
「じゃあ早速…」
言うなりカズヒサは階段を上がろうとするとカナが慌てて止めにはいった。
「待って!ここに入るの?」
「そうだよ?この本も返さなきゃいけないし。」
「でも、怒られたりしない?」
「大丈夫だったよ?この先の部屋、さっきは開けてっていったら開いたし。」
それは大丈夫なのかとカナは心配になる。
「誰かいたの?」
「ううん?誰もいなかったよ?何かのセンサーでもあったんじゃない?」
「何のためにそんなのが…。あっ、待ってよ!」
カナがいい終える前に興味深げにしていたカズヒサが階段を上り始め、後からクウト、ワンテンポ遅れてカナが着いく。
「ウチらはどうする?」
「本を返しに行くだけならいいんじゃない?」
「そうだね。あっ!ニー、スカートの中見ないでよ?」
「阿呆な事言ってないでさっさと行け。…下向いててやるから。」
「もぉ~、ニーは素直じゃないなぁ。」
「…アキラ、先行くぞ。」
「あぁ。」
「わぁぁぁ!置いてかないでー!」
呆れて面倒くさそうにしたハジメを追いかける形でアキラとハルも階段を上って行った。扉の閉まる音の後に静寂だけが残された。
プロローグ終わりです。次から異世界に行きます。ご都合主義バンザイ!