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誤字脱字あると思います。支離滅裂です。それでも読んでいただけたら幸いです。
「あっ。クル、アッキー。」
中二階から降りたところで、聞き慣れたアルトが響きその方向をみる。
「カナちゃんだ。」
カズヒサが声をあげる。
文庫本と何かの画集を胸にかかえて、小走りで近づいてくるのは本狩屋加奈。黒く長いストレートの髪をゆらし、ちょこちょこと駆け寄ってくる。
「本選ぶの終わった?」
「あぁ、今から行くとこ。」
そっか、と短く答えなにか考えはじめた。アキラが異変に気づいた。
「あれ、本狩屋さん。愛千さんは?」
「それが…また、フラッとどっかに行っちゃって。」
探してるんだけど…。困ったようにつぶやく様子は、やんちゃな子供を探す母親だ。普通ならそこまで心配する事ではないが、彼女の親友には過保護にならざるおえない問題がある。
カナの親友、愛千箜斗は目をつけられやすい質だった。栗色に天パのかかった髪が彼女の性格を表すように跳ねているのが印象的な少女だ。裏表がなくやんちゃだが真面目。そして、絵にかいたようなお人好しだ。
そんな彼女のことを嫌う者は少なかったが、その数少ない者の性格が悪かった。2,3人で呼び出し理不尽な誹謗中傷を浴びせることが多々あったが、それに対してクウトは、
『あの子たちがそう思ったんならしょうがないよ。』
だからみんなこわい顔しないで。そう言って困ったように笑っていた彼女をカナは思い出した。
「(あんなふざけた奴等にクゥちゃんが傷つけられてるなんて…。)」
他人と話すこともままならなかった自分を、相手をニックネームで呼べるまでにした親友を思い内心毒ずく。それを知ってか知らずかカズヒサはたずねる。
「いつもの場所にいるんじゃない?」
「あ、うん。そうかもしれない。」
あわてて答える。
「とりあえず行ってみよう。もしかしたら燈後さんかニーに会ってるかもよ。」
アキラの提案にうなずき再度歩き出す。
すると、パタパタと走る音。本棚の向こうでせわしなく何かが動いている。影が端まで行くと、ひょこっと長身の少女が茶色のポニーテールを揺らして顔を出す。3人の中である人物を捕捉すると、文字通り飛び付いた。
「カーナー!!」
「ていっ!!」
「ったい!」
飛び付かれそうになったカナは、持っていた画集を瞬時に丸めて相手の顔面を打つ。ノーガードで突っ込んで来たため、相手はもろにくらってのけぞった。
「カナぁ、ひどいよー。」
燈後春。演劇部の部長であり(性格も)可愛い女の子と美青少年が大好き。感情がすぐ行動に出るタイプで、嫌なものは嫌と言える。コミュ障?何それ、おいしいの?
強く打たれたのか痛いなぁ、と口をとがらせるハルにカナは何でもないように言う。
「正当防衛だよ。」
「うぅ、ニーが冷たいからカナに慰めてもらおうと思ったのに…。」
「お前がいけないんだろ。」
聞こえてきたのはハルの出てきたのと反対側。そちらの通路の入口から来たのだろう。カズヒサとアキラのすぐ後ろに無表情、というか仏頂面した男子が立っていた。
「い、いつからそこに?」
「燈後が本狩屋の名前を叫んだあたりから。」
「このやり取りの最初からじゃん。」
悪いかと言うような顔でいるのは、仁一。吹奏楽部所属のオールマイティープレイヤー。あまり感情を表には出さず口下手なため、いまだに距離感が掴めていないが周りも本人も気にしていない。ただ、いつの間にか近くにいるのは心臓に悪いのでやめて欲しいと思っている。(ちなみに、ニーというアダ名はクウトが仁一を読みまちがえてニーと読んだためついた。)
「ニーの意地悪、ちょっと髪の毛モフりたかっただけなのに。」
「意地悪で結構。とりあえず、その不快な手の動きをやめろ。」
終始ワキワキと動いているハルの手を指さして心底嫌そうに言う。
「二人とも本は決めた?」
持ってないみたいだけど。カズヒサが疑問を口にする。
「あぁ、燈後がおすすめのラノベがあるって言うから探しにいくところだ。」
「ついでにクゥちゃんにも教えてあげようと思ってたんだ。前に話してたから。」
「でも、いなかったな。」
「う~ん。『あいつら』に遭遇してなきゃいいけどなぁ。」
カズヒサがつぶやく。
「『あいつら』根性曲がってるからね。」
アキラも続く。他の三人も同意件だった。遭遇という表現がしっくりきてしまうほどに『あいつら』に会うと自分たちには害しかない。
だが、クウトが単体で『あいつら』と遭遇するという彼らにとって最悪の事態は、次に悪い事態により回避された。
全然危機は回避されてません。
ちなみに6人の部活は、
アキラ:書道部(部長)
カズヒサ:科学部
ハジメ:吹奏楽部
カナ:美術部
ハル:演劇部(部長)
クウト:演劇部
となっています。
お読みいただいてありがとうございます。