縁と依頼という出目がでました
祝ペルソナ5発表!
ニコ生でカウントダウンしてた。
3DSのペルソナRPGは買うし、P4U2も買う。
だが、音ゲー。
貴様は駄目だ。
俺達がいた部屋は王城の一室だったらしく、長い廊下を歩いて外に出ると出てきた建物の大きさにまず驚いた。
しかし、王城の華やかな庭を通り、城門を潜り抜けるとそれも吹き飛んだ。
古めかしい石造りの建物に張り巡らされたロープに旗や洗濯物、下は祭りのように多くの出店が並ぶ大きな通り。
そして、見渡せば多くの人、エルフ、獣人などが視界を覆う。
「ベンケイ、何なんだいこれは!?」
俺の袖を引っ張り、目を輝かせる葵。
俺はため息しつつも葵の手を引き剥がし、ダグラスの後を追う。
何か後ろで膨れている気がするが無視した。
ダグラスを先頭に俺達は人々の隙間を縫うように進む。
ドワーフの露天商で値切る鎧を着たリザードマン。
ねこ耳の女性と人間の男性の夫婦。
道端で酒盛りをする鬼と狼男。
実にさまざまな異様で活気のある光景だ。
前方で男の怒声が聞こえた。
ダグラスが俺達を道の端に誘導する。
しばらくすると荷車を引く鬼達、荷台には子供の象ぐらいの大きさはある魚が乗っており、俺たちの前を通り過ぎていった。
荷台が通り過ぎると人々は何事も無かったかのように活気のある場所に戻った。
「あれって食用か?」
「ボスの好物だ。めったに食えない高級魚なんだぞ」
緑色の魚なんて俺は食いたいとは思わないのだが。
というか城に運ばれたがどうやって食うんだ。
城にはねこたまの端末がいるだけで本体はいないみたいなことを言ってたが。
まぁ、本体の元に転送とかするのかもしれないが。
ともかく、俺達はダグラスの案内でとある建物に入った。
大きさは市役所ぐらいであろうか。
中もカウンターや休憩所など、市役所まんまなのだがお客が皆、武装している。
完全にコスプレ大会というか、普通であれば近寄りたいとは思わない場所だ。
「ハンス、ちょっといいか」
「ダグラス、カウンターがちげぇよ。あんたをひよっこと同扱いしたらピーチクパーチク大騒ぎになるだろうが」
ダグラスが近づいたのはリザードマンのいるカウンターだ。
眼鏡をかけた赤い鱗の名前からして男は書類から目を上げ、ダグラスに苦笑をもらす。
「それはそれでゴミ掃除に貢献できるじゃねぇか。いい加減に燻っている糞の役にも立たん奴らが起こす問題も処理しなきゃいけねえじゃねえか。死ぬのが人に迷惑かけて魔物の餌になるのかその前に人間に殺されるかだ」
「奴らでも薬草採取とか警備補助とか仕事があるしな」
「餓鬼のお使いじゃねえか。ここは託児所じゃねぇんだぞ」
「おいおい」
なんか周りの視線がきつくなってきたので止めないと不味い気がする。
ダグラスに近づくとダグラスは呻き、頭を掻いて懐から封筒を出す。
「しまった。子守中の俺が言えた義理じゃあねぇな。2人、新規登録を頼む。これは推薦状だ」
ハンスさんはダグラスの後ろ、俺達を見ると目を見開き、ダグラスを睨む。
「本気かい、こんな子供を」
ため息であろうか、彼の口元からまるで蒸気機関車のように煙が音を立てて、漏れた。
「ちょいと訳有りでな。だが、強いぞ」
「最近はギルドで冒険者の低年齢化も問題視されてるんだぞ。他に安全でいい仕事なんて幾らでもあるだろうに。だいたい、強いたってゴブリン数匹程度…」
「雷甲虫と互角。証拠の王城からの推薦だ」
顔を引きつらせ、慌てて封筒の中を確認する。
何度も読み返し、眼鏡を拭いて確認するも最後には頭を抱えだしたハンスさん。
「こいつら人族って本当か?」
「すまん、それは俺も自信ない」
だから、人間だって言ってるだろうが。
とにかく、ごたごたがあったが登録はされた。
必要書類に記載するように言われたがねこたまの言うように文字も読め、字も無意識に書けた。
それから別室で水晶に触り、血を採取され、カメラの様なフラッシュは焚かれるなどされた結果、カードが渡された。
書類にこのカードの色を指定できる旨が記載さてていたため、俺は白、葵は青のカードである。
そして、そこには俺達のステータスが記載されていた。
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【名前】ベンケイ
【性別】男
【称号】冒険者
体力:B+
物攻:A+
物防:B-
魔攻:G-
魔防:G
敏捷:E
賢さ:C+
【スキル】
・波瀾万丈人生(極)
・偉人の生き様(偽)
・■が■の■、■を■に
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【名前】アオイ
【性別】女
【称号】冒険者
体力:C+
物攻:C-
物防:C+
魔攻:A+
魔防:A
敏捷:B+
賢さ:A-
【スキル】
・依存(極)
・狂愛 1
・天に愛されし者
・闇討ち 2
・徒手空拳 3
・剣術 3
…(略)…
――――――――
称号が【冒険者見習い】から【冒険者】に変わっていた。
たぶん、正式に手続きを行った事により変わったのであろう。
「さて、ハンス。ここからが本題だ」
「おい、これ以上の厄介ごとを持ち込む気か?」
冷や汗を掻くハンスさんとカウンターに乗りかかるようにダグラスは小声で話す。
「何、実に簡単だ。Eクラスが泊まれる料金で、口の堅くて、多少の厄介ごとに動じない宿に心当たりはないか?」
「あん、そんなもんなら何とか…」
「雷甲虫を倒すEクラスでこの国の王様の大事なお客様を2人、ボスの事だから圧力とか下手したら直接宿に来る。この事態を動じずに情報屋や他の同業者にばらさない宿でギルド提携の場所が最低条件だ」
「ねぇよ、なんだその魔境ッ!?」
「だよな。そんな宿あったら俺が住みてぇよ」
2人で頭を抱えているが俺達は2人で眺めている事しかできない。
「ベンケイ、どういう事だい?」
葵が問うので自分なりの解釈で伝えた。
「アメリカ大統領が来てもマスコミをシャットダウンできて、総理大臣も遊びに来るけど他のお客にばれないセキュリティがあるビジネスホテルってことじゃないか?」
「高級ホテルに泊まるべきじゃないかな」
きっぱり言われた。
俺もそう思うが重要な問題があるのだ。
「俺達無一文だぞ」
日本円もありません。
着の身のままできたので金どころかティッシュすら無し。
完全な住所不定無職の貧乏人である。
一応、冒険者という職にはついたからギリギリか?
「…ああ、僕達って思っていたよりVP待遇なんだね」
とりあえず、俺達は話が決まるまで大人しくしていた。
「なぁ、頼むぜ。曰く付きとか無いか?俺だっていつまでも子守できるわけじゃねぇんだ。後の事を考えると本当にこれが最低条件なんだ」
「知るかよ。そんなん初めから宿を始めるほうが早い…いや、待て」
そういうとハンスさんはカウンターを他の人に任せ、俺達を個室へと案内した。
がらんとした一室はまるで会議室のようである。
「それは国からの要請と受け取っていいんだな」
「ああ。俺はこの件に関してある程度の権限も貰っている」
ハンスさんは懐から煙草を取り出し、火をつけた。
正直、俺も吸いたいが空気を読み、黙って眺めた。
「…グスターの旦那は覚えてるかい?」
「恩人の名を忘れるほど耄碌したつもりはねえぜ。あの人がどうしたんだ」
ダグラスも煙草に火を付け、煙を吸い込んだ。
「宿を始めた」
「グフォッ」
むせた。
よく知らないがグスターさんという人が宿を営業している事に驚いたようだ。
「ハッ、あの人がか?いつも獣人より獣の目をしたじゃじゃ馬がか?」
ハンスさんは煙草を手の甲の鱗に押し付けて火を消した。
そして、こちらに背を向け、というよりも顔を背けて口を開いた。
「息子夫婦が無くなった」
ハンスさんがそういうと2人はしばらく無言が続いた。
先にハンスさんが重々しく、口を開いた。
「宿を経営していた息子と仕入れで下界に出たときに魔物に襲われたそうだ。旦那は半死半生、息子は旦那の目の前で魔物の腹の中。奥さんはその心労でポックリ」
「…くそったれが」
「生き残った旦那が孫を三人を食わすのに形見の宿を経営するも今度はその宿をガラの悪い奴らに狙われるという止めまである」
ダグラスは煙草を手のひらの炎で灰にする。
だが、心なしか以前より大きく、長くその炎は燃えた。
「オーケー。なんとかするさ」
「詳しくは旦那に聞いてくれ、頼んだぞ」
ハンスさんから紙を受け取ったダグラスは部屋から出て行こうとする。
そして、出る途中で振り替えずに答えた。
「死神に伝えておくさ」
そして、ギルドから出た俺達はダグラスが渡された紙を見ながら進んだ。
「ダグラス、グスターさんってどんな人だ?」
「戦友さ、昔のな」
市場を通り、出店で買ったりんごときゅうりの中間のような果物を齧りながら進み、ダグラスに先ほどの件を聞くも多くは語らなかった。
そうこうしている内に少し街中から離れた場所に確かに宿はあった。
あったがまず、外観がぼろい。
木製の建物で3階建ての建物なのだが年代による劣化じゃなく、壁に穴が開いてるのだ。
店前にゴミも散らかっている。
しかし、ダグラスはそれに気にすることなく、中にズンズンと入っていった。
「誰かいるかい」
ダグラスの声と共に中を見渡すと中はそれなりに綺麗にはなっていた。
一階は受付と食堂も兼ねているようで椅子はテーブルの上にあがっている。
営業はしていないのであろうか?
「ああ、すまんね。少し待っとくれ」
部屋の奥からキコキコと木のしなる音が聞こえた。
そして、テーブルの影から見えたのは車椅子に乗った老人だった。
獣人であろう、突き出た耳は毛深く、左目を眼帯で隠した男性だ。
しかし、上半身は未だに力強い張りがある。
これで両足があればと視線を下げるも失礼に当たると考え、視線を上げると老人と目が合った。
どうも考えていた事がばれたのか微笑を返される。
「爺さん、よく生きてたな」
「まぁ、それなりの痛い代償はあったがな。久しぶりだな、ダグラス」
そう言ってダグラスと握手を交わし、今度はこちらにも車椅子を動かして近寄ってきた。
近くで見るとやはり大きい。
体格もそうだが車椅子に乗ってるにも関わらず、雄雄しい存在感というか老人の弱弱しさが感じられない。
「この宿を経営しておるグスターじゃ。よろしくの、若いの」
「初めまして、ベンケイといいます。よろしくお願いします」
そう言ってグスターさんと握手を交わした。
それはとても力強く、老人とは思えないものだった。
「えっと、アオイです。初めまして」
「おうおう、よろしく…おっと」
グスターさんは葵に手を伸ばすもバランスを崩し、前に倒れ掛かる。
「危ないッ!」
それを葵は両手で支えた。
うん、支えたんだが。
ダスターさんの手が葵の胸をガッシリと鷲掴みしている。
「ふぇふぇふぇっ」
というか、口元をだらしなく緩めて葵の胸を揉みしだいていた。
硬直していた葵は顔を真っ赤にし…
「きゃぁぁああああッ!?」
「ひでぶ」
と元男とは思えない悲鳴をあげ、立ち上がった。
その際、片足で立ち上がり、もう片方の足の膝を老人の顎にクリーンヒットさせた。
老人は口と鼻から血を流しながらも膝蹴りの勢いで車椅子に戻り、にこやかに親指を立てた。
「張りの良い絶品じゃ」
「ベンゲイ゛~」
葵が俺の胸に泣きついた。
なんだこのエロジジイ?
すると二階から地響きに近い足音が聞こえた。
それは徐々に接近し、部屋の端にある階段の手すりから影が飛び出る。
「お客さん泣かすんじゃないわよ。このエロジジィィイイイイッ!」
「ぷぎゃら」
その人のドロップキックはダスターさんの顔に突き刺さり、車椅子ごと吹き飛んだ。
「あっ、いらっしゃいませ。ようこそ、【猫の鍵爪亭】へ。お泊りですか、お食事ですか?」
ささっと衣服の乱れを直し、何事もなかったかのように振舞える金髪の少女に皆が唖然としていた。
サイコロ無し