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エラーという出目が出ました

今回はサイコロ判定なし。

ステータス公表回。

まぁ、今後はあまり表示の機会はないはず。

「それで起きたらなぜ、ベットの上なんだ?」


俺が起きるとそこは寝室だった。

いや、ホテルの一室というべきか。

自宅のリビングと大体同じ大きさの部屋であり、大きなテレビとなぜか丸い形の窓が特徴と言えばそうであろう。

部屋の中央にはなぜか見覚えのあるテーブルとソファー、というか俺の家の物である。

もしかしたら、俺たちと一緒に転送されてしまったのかもしれない。


「そして、隣に葵っと」


隣にはベットに寝てる葵。

我が幼馴染様がすやすやと平和そうに寝ていた。


なぜかイラついたのでちょうど手元にあった枕を葵の顔に投げつけてやった。

それは思ったより勢いよく、ぼすんっと大きな音を葵の顔面に激突した。


「あいたッ、…ってだから物を投げて起こすのやめてって言ってるじゃないか」


痛みで跳ね起きたが一瞬、ぽーっと辺りを見渡し、俺に目の焦点が合うとぐったりと脱力気味に不平文句を言ってきた。


「下手に接近するとトラバサミみたいに抱き着くだろうが」


小さい頃から睡眠時の抱き着き癖がこいつにはあり、何度もひどい目にあったのだ。


「とりあえず、事情は聞いたか?」


寝起きは良いので起き抜け早々に話題を振ってもこいつはきちんと会話してくれる。

葵は枕をこちらに投げ返し、ため息を吐いた。


「ある程度はね。けど、僕ってゲームあまりやらないから話半分しかわからなかったけど」


そう、こいつは漫画や小説は読むがアニメはほぼ皆無、TVゲームは対戦用のパーティーゲームぐらいしかやらないのである。

まぁ、こいつの成績や部活、委員会に人付き合いと多忙なので仕方ないのであるが。


「とりあえず、あいつのいう事が本当なら…【メニュー】」


そういうと目の前にねこたまが出したのと同じ透明の液晶画面が出現した。

そこにはステータス、アイテムといった俺には見慣れた言葉が記載されていた。


「へぇ、そんなことができるんだ」


葵はこちらのベットの縁に両手を立て、俺の肩の横から画面を覗き込む。


「たぶん、お前もできるぞ。ただ、その前にだ」

「うん、何だい」


さっきから気になっていたんだが見間違いではないよな。


「お前、その胸どうした」


俺がそういうと葵は訝しむように首を傾げる。


「これは君が破いたんじゃないか?」


そう、俺は葵のネックレスを取るために結果的には破く形になってしまった。

それは俺も覚えてる。

しかしだ。


「服じゃない、胸だ」


そう言って俺たちの視線は葵の胸にいった。

何度も言うが葵は男だ。

しかし、今のこいつにはそれなりの大きさの胸がついていた。

心なしか葵の体のラインというか体つきが変わった。

今までの男の娘の体がより、女の子のように丸みを帯びたというか。


「えっ、ちょっ、ちょっと待って!?」


葵は立ち上がり、俺に背を向けた。

そして、自身の胸を触り、体を見渡す。

お尻の少し、大きくなったかもしれない。

そして、葵はズボンの中をのぞいた。


「……ごめん、後ろ向いてて」

「ああ」


葵が真面目な表情で言うので俺は後ろを向いた。

葵は俺が背中を向けたのを確認すると自身も俺に背を向け、上着を恐る恐る脱いだ。


「…………」


しばらく動きが止まり、今度は自身のベルトに手をかけた。

そして、ズボンを下ろす…前にもう一度、チラッと俺の背中といか俺の視線を確認し、ズボンを下ろした。

次にトランクスをゆっくりと下ろした。

そこには以前よりも丸みを帯びたふくよかなお肌色の尻が見て取れた。

葵も唖然としているという事は前もそうなのであろう。


さて、白状しよう。

なぜ、こうも俺が後ろの葵の様子を実況出来るかというと…


なんてことはない。

俺の目の前の窓に後ろの光景が丸写しだからだ。


わざとではない。

途中で気づいてしまって、言えなかっただけである。

しかし、女の体になったとしてもあいつに…うん、異性としての興奮というか性欲というか、そういうのが浮かばない俺は正常なのかどうなのであろうか。


数分程すると葵がこちらを向くように言ってきた。

振り向いて葵の顔を見た。

なんというか形容しがたい表情だ。


「何だろうね、悲しむべきか、しっくりきた事を喜ぶべきか」

「喜ぶと色々終わるぞ、男として」

「でもね、自分で言うのもなんだけど僕って生まれる性別を間違えているとは思っていたんだ」

「大丈夫だ。それはお前の人生で出会った全ての人が思っている」


本当にそれでどれだけの人が困惑した事か。


「だよね。両親でさえ僕の性別を間違えて産んだ事に対して誕生日に毎年謝るんだ」


あははっと自虐ネタに走り出した。

おじさん、おばさん…。

とりあえず、ソファーに置いてある俺の制服のブレザーを葵に渡す。

これがソファーにあるという事はあの時に一緒に転送されたことは確定だ。


「とりあえず、これを羽織れ」

「……うん」


とりあえず、着たはいいがボタンを止めると明らかに胸元がきつそうだ。

これ、飛ぶんじゃないか、ボタン?

でも、確かに今までよりは逆にしっくりくる。


「お前もメニューを出せるか」

「えっと、さっきの画面かい?」

「ああ、メニューと言えばいい」


試したところ葵も同じものを出せたようだ。

そして、俺も出し、確認する。

項目は普通のRPGと同じだ。

気になるのは『CALL』という項目だ。

というか見ていたら赤く光りだした。

俺は何となくそれの項目に触れる。


『まさかまさか、説明する前にメニュー画面を開いてるとは思わなかったよ』


メニュー画面の横に別の画面が出現し、そこにねこたまが映っている。


「定番だろ」

『うんうん、定番、鉄板、王道はいいものだよ』


隣で首を傾げている葵には理解できないだろうがこれはそういうものだしな。

友人から借りた小説にもゲームの中に入るとか異世界に召喚されるとかといった題材の物があったし。

あっ、返し忘れた。

あいつの家も近所だし、命の危機を救ったお礼として勘弁してもらうしかないな。


「ああ、そういえばエラーって言ってたか。あれについてなんだが」

『そうそう、それを調べるためにもステータスを開いてほしいんだけど』

「わかった、【ステータス】」


そう言うとメニュー画面の横に新たな画面が現れ、そこに俺のと思わしきステータスが表示された。


――――――――

【名前】ベンケイ

【性別】男

【称号】冒険者見習い

体力:B+

物攻:A+

物防:B-

魔攻:G-

魔防:G

敏捷:E

賢さ:C+


【スキル】

・波瀾万丈人生(極)

・偉人の生き様(偽)

・■が■の■、■を■に

――――――――


「『…………』」


………………えっ?


『…あれあれ?』

「どういう事だこれッ!?」


なんだこの所々のつっこみ要素満載ステータス。

一度消して、もう一度出したがやはり表示は変わらない。


『えとえと、名前から称号あたりまでは君には説明いらないよね』

「その下だ。まずはなんだ、この脳筋ステータスッ」

『いやいや、誤解だよ。この世界で一般の大人の平均がF~E、兵士でE~D、君の賢さ:C+はこの世界じゃあ学者レベルだからそれなりだよ』


まぁ、それならむしろ好評価だろう。

すると隣で俺のステータスを見ていた葵がふっと…


「ねこたま君、この世界の文明のレベルはどうなんだい」

『だいぶだいぶ、君たちの世界よりは落ちるよ』


そう言ってねこたまが映る画面とは別に画面が表示された。

そこには農村や城砦といった場所の上空からの映像であり、古い文化というか地球よりは劣った文明である事は見て取れた。


「そういう世界の学者と小学校から高校までの知識が同程度かい」

『まぁまぁ、知識量=賢さっていうわけでもないこともないけどだいたいそんな目安だよ』

「頭の回転とかひらめきみたいな事も含めてでこの世界の学者で弁慶と同レベルか」


なんか言い回しがむかついたので軽く葵の頭を小突いた。

軽くのはずがゴキッと嫌に痛そうな音が聞こえた。

そういえば、脳筋ステータスだったな。


「…っぅぅうううう、こ…殺す気かい?」

「いや、何か遠まわしにバカにされてる気がする」


とりあえず、葵にもステータスを開くように言い、葵の目の前に出る液晶画面をのぞいた。

――――――――

【名前】アオイ

【性別】女

【称号】冒険者見習い

体力:C+

物攻:C-

物防:C+

魔攻:A+

魔防:A

敏捷:B+

賢さ:A-


【スキル】

・依存(極)

・狂愛 1

・天に愛されし者

・闇討ち 2

・徒手空拳 3

・剣術 3

…(略)…

――――――――


「お前ぇ…」

「弁慶、待ってくれ。話し合おうじゃないか。これは何かの間違いだ」


性別がどうこうよりもスキルでドン引きである。

いや、こいつのスペック的にステータスが高いのは予想していたが


【依存(極)】

【狂愛】


これってまずいだろう。

いや、普段の行いを考えれば間違ってはないかもしれないがこれは無い。


「ねこたま君、これは…そう、きっとエラーだよ。調べてくれないかい」

『うんうん、ちょっと待ってってね』

「…………」

「…………」


無言。

ただ、先ほどよりも俺は葵と距離が離れ、あいつは冷や汗をかいている。


『うんうん、確かにエラーが原因だね』


葵はほっと安堵のため息を吐き、いささか晴れやかに笑みを浮かべた。


「ほら、見た事か。速やかに修正してくれないかい、ねこたま君」


葵は笑みを浮かべて、ねこたまに言った。


『無理無理、諦めて』


ねこたまはそれをズバッと拒否。

というか、ねこたまの表情が怪しい。

なんか、含み笑いを浮かべていると言えばいいのだろうか。


「いや、それは困る。君も…なんでさっきより距離が離れているんだい?」


いや、文字にされると改めてこいつの奇行が思い出される。

確かにたまに身の危険を感じる事があるが。

というか


【闇討ち】


ってお前誰にしたんだよ?


「い、いやだなぁ。君はそんなに僕の事を信用して『そうそう、説明するよ、エラー内容』…何だい?」


葵の言い訳を遮り、ねこたまは口を開いた。

だが、その表情は何処か俺を同情するような視線といたずらの前の子供のような笑みを合わせたものだ。


『さてさて、ステータスは僕からのプレゼント。若干だけど、君たちの元々の能力に補正をしたものだよ』

「俺の物攻のAランクってどの程度の力なんだ」

『君のは裸一貫でドラゴンと1~2匹ぐらいなら殴り合いして勝てる。ちなみに、この世界の英雄は平均Bランク』

「強すぎないか?」


いや、今後の事を考えるとありがたいといえばありがたいんだが。


『ただしただし、君はマッチ程度の魔法の種火でも死ぬよ』


なんか意味の分からない事を言われた。


「…おい、なんだそれ?」

『つまりつまり、この世界の赤子で最低Fランク以上。君は枯れ木より燃えやすく、水より電気を通し、虫より寒さに弱い』


つまり、赤ん坊よりも俺は弱いと。

なんだ、そのピーキー過ぎる能力。


「それはつまり」


聞き間違いであってほしいがおそるおそる聞くとねこたまはにやりと笑みを浮かべた。


『エラーエラー』


脳筋に貧弱補正追加。

絶望のあまりにベットの上に崩れ落ちた。

いや、まだだ。

諦めてはいけない。

まだ、道はあるのだ。


「こ、こういう世界って魔法は貴族の一部しか使えないとかの定番は…」

『残念残念、平民の子供ですら使えるよ。魔法の得意な子供と戦ったら負けるかもよ』


俺、町に着いたら引きこもる。

畑でのんびり平和に過ごす。

平和が一番だよ。


『スキルはステータスのスキル欄をタッチしてよ』

「ああ」


気分は落ち気味だが仕方なく言うとおりに画面をタッチするとスキル欄の下に文章が出てきた。

――――――――

・波瀾万丈人生(極)

 常人よりも数倍の不幸と幸運な出来事が発生。どんなに不幸な出来事が起こってもそれと同程度の幸運な出来事が起きる。逆もまたしかり。不幸な出来事で死ななければの話だが…


・偉人の生き様(偽)

 名は体を表す。【弁慶の立往生】にちなんだ能力補正。しかし、所詮は別人のために死ににくいというだけ


・■が■の■、■を■に

 のうぉcのどwぼwんdのdwのdfのwdkのどぉwんskのsd

――――――――

『つまりつまり、1番下のはエラーでわからないとして……まぁ、うん』


ねこたまですら言葉につまる惨状。

葵は自身のメニュー画面をいじっているのでこちらを見ていない。

俺は頭を抱えながら搾り出すように呟く。


「ようはあれだ。俺のこれからの人生は絶望的な死線をゴキブリの生命力で何度も超える映画のヒーローか。…生き残れば」

『…やったね』


『きゃはっ』とハートマークでもつくような笑みを浮かべたねこたまの顔が映し出された画面にフルスイングのストレートを放ったが拳は通り抜けた。


『まぁまぁ、諦めなって。次は葵ちゃんだよ』

「次会ったらぶんなぐるッ…」


葵はそんな様子を見て、恐る恐る俺に話しかけた。


「まぁまぁ、実際に戦うと決まったわけじゃないんだし。その時は僕の後ろにいればいいさ」

「なさけねぇ…」


葵はそんな俺の姿に苦笑しつつもねこたまの指導の下にスキル欄を開いた。


――――――――

・依存(極)

 人生の大半をベンケイと共に歩んだ証。周辺にベンケイがいる場合に限り、能力値に上昇補正。周辺にベンケイがいない場合は下降補正。長時間離れるとさらに下降補正。


・狂愛 1

 性別の壁を越えた愛の証。歪んでいようとこれも愛。ベンケイが負傷するほどに物攻、魔攻に上昇補正と物防、魔防に下降補正。


・天に愛されし者

 天に愛された才。技術の習得速度に上昇補正。


・闇討ち 2

 長年の行いで磨かれた技術。対象が自信を認識してない場合、相手ダメージとクリティカル率に上昇補正

――――――――

『あれあれ、君のエラーは性別が変わっただけだからスキルは元々の才能だね』


少し、こいつとは距離を置いたほうがいいかもしれない。

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