表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

ねこたまという出目がでました

地球と異世界への転送方法。

1、神の失敗 2、神の娯楽 等々の理由からダイスロール。

結果、【宇宙人関係】。

思いつかなかったので適当に入れた奴に当たった。

まぁ、これぐらいなら何とかなったのだがこの後の話でやばかった。

敵との勝率とか怪我具合とかもサイコロ判定なんだよね。

全ては采の赴くままに。

『やぁやぁ、気分はどうだい』

「…ホルマリン漬け」

『やぁやぁ、それは愉快愉快。そう、実に愉快』


さて、いきなりだが現状を説明しよう。

俺は今、ガラスのような透明の円柱状の壁に囲まれ、その中の薄い水色の液体に頭まで浸かった状態。

あれだ。外から見ればSF作品のクローンを作る機械みたいに見えるんだろうが実際に自分がその中の立場になるとホルマリン漬けにしか感じない。

ロマン台無しである。

さて、問題は外の景色である。

基本的には真っ暗というか完全なる漆黒。

その空間をたまに赤とか緑とか各色の細い雷のような物が縦横無尽に走る。

そして、俺の目の前には…ぬいぐるみの猫?

いや、猫は猫なんだが球体である。

茶色や黒の布でツギハギだらけ、しかも、銀色の太い糸で縫い合わせてるぬいぐるみ。

それに申し訳程度に耳と手足(前足、後ろ足?)がついている。


「んで、お前は何?」

『おっおっ、聞いちゃう聞いちゃう?最初の質問はそれかい?』

「聞きたい事は色々あるがまずはそれだな」


猫はゆらゆらと体を揺らしながらクスクスと口角を上げて笑う。

しかし、その口は人間一人ぐらいは軽く飲み込める程大きいものだった。


『そうそう、私はそうだなぁ。…【ねこたま】とでも呼んでくれよ、人間ちゃん。見た目からして実にわかりやすいよね』

「ああ、実にわかりやすいファンタジーキャラクターだ。もうちょっと、小さければ脳天にチェーンを通して学校のカバンにぶら下げてやりたいよ」

『おお、怖いよ怖いよ』


まぁ、少なくとも人間とかドッキリとかではなさそうだ。

さて、勘だが実に面倒な事態になりそうだ。

というか今がすでに面倒な事態である。

ため息は泡になって頭上に上っていった。


『そうそう、私は君にとっての神、いや、実際には違うんだがそれが近いのだよね。科学者でもいいよ。』

「実にくそったれな自己紹介をありがとう」

『いやいや、今さらだけど言葉は通じているよね。突貫で準備したんだよ』

「ああ、なんでアニメ声なんだ」

『それは君の故郷のサンプルの問題だよ』


聞き覚えがありすぎてなんか気が抜ける。

こいつの見た目といい、言動といい、悪ふざけにしか見えないのだ。


『さてさて、君がここにいる理由なんだけどこれは見覚えあるよね』


ねこたまの頭上には葵のネックレスが浮かんでいた。

ああ、そういえば不可思議現象のそもそもの原因だっけ。

葵がつけていた物と同じだがあの時とは違い、光は収まっている。


「それをつけていたやつは?」

『大丈夫大丈夫、いや、実はこれの元って私の落し物なんだよね。それを回収したら君たちもついてきちゃったという喜劇、事故、奇跡だよ』

「ダイナミックな回収だな、小銭拾うのにショベルカーで根こそぎか。呆れて怒れもしない」

『しょうがない、しょうがない。それしかなかったんだよ。君たちは例外だよ』


ネックレスが消え、今度は俺達の間に2つの球体が現れる。

いや、これは星だ。

地球が2つ、いや、片方は大陸の形が違う。

そして、なぜか何処からかドラムロールが聞こえ出した


『さぁさぁ、ここで運命の選択だよッ!』


A、地球に帰る(出現地点から半径50キロが消滅)


B、ガーデンに渡る(夢とロマンあふれる大冒険)


『さぁさぁ、どっち?』


ジャカジャンッとドラムロールが鳴り止み、ねこたまが自作したのかドッキリで使うような看板を手に持ち、そこには選択肢が2つ書かれていた。

なんというか、心が痛い…。


「…C,これは俺の厨二病の夢」


というかそうであってくれ。


『ところがどっこい……夢じゃありません……!現実です……!これが現実…!』

「おい、なんで知ってる?」

『サンプルサンプルだよ。おもしろいよね、君の世界の娯楽』


さっきからサンプル対象がおかしい気がする。

これが夢だったら起きた瞬間に頭を壁に激しくぶつける。

痛々しい、なんだこれ。


『Aは帰れるよ。君たちの周囲の有機物、無機物問わずに消滅して、その中心に君たちが出現。やったね』

「ほう、人間爆弾か。放射能もでないクリーンエネルギー。素晴らしい兵器だな」


うん、却下。

問題がでかすぎる。


『Bは他の石と同じく、この世界【ガーデン】に組み込まれるよ。やったね』


地球に酷似した星、若干、こちらの方が小ぶりであると思う。


「どんな世界だ」

『これはこれは他の世界の切れ端を混ぜて、熟成させて出来上がり。魔物とかギルドとか職業とかステータスとかあるよ』


聞き覚えのある単語がチラホラとある。


「完全にゲームじゃねぇか。俺はゲームキャラクターで勇者様になって魔王退治か?」

『いやいや、好きに生きていいよ。なんだったら魔王も作ろうか』

「ベリーイージーモードで頼む。俺は平和主義者だ」


それなりにゲーム、漫画などを嗜むがあれは二次元だから楽しめるのであって、リアル体験は勘弁してほしい。

しかし、爆弾か異世界旅行だったらまぁこっちだろう。

納得するかは別として。


「葵はどうするんだ」

『愛だよ愛。あの子が先に目覚めたんだ。同じ説明をして、ガーデンに渡ると決めたんだよ。時間とか準備の関係で先に送ったよ。君ならこちらを選ぶと信じてね』

「まぁ、だろうな」


あいつがご近所さんを生贄にしてまで帰りたいと思うとは思えない。

ねこたまは口角を吊り上げ、にやにやした笑みを浮かべる。


『ところでところで、彼女から君に押し倒された所で転送されたって聞いたけど?』


ピシッと俺の耳に確かに音が聞こえた。


「何を…」

『シャツの胸元を君に引きちぎられたって』

「ごふぁあッ!?」


液体に浸かっているので口元から大量の泡が出た。

というか何言っとんじゃぁぁああああッ!


「いや、事故だ、事故。俺に男色趣味は無い」


むしろ、俺は押し倒されたほうではなかったか。

あの野郎、俺が小さい頃からどれだけその手の誤解を受けたかわかってるだろうに。

なまじあいつと幼馴染であいつも俺になついているからこれまでの人生で恋愛経験がないのだ。

友人から俺に行為を抱く女生徒は結構いるが葵に敵わないと考え、自分から諦めるらしい。

違うから、あいつは男で俺は女が好きだから。


『いやいや、照れなくても…あれ、翻訳のエラーかな。ごめん、もう1度言ってよ?』

「事故。男色趣味は無い」

『…ごめんごめん、一応聞くけど男色って男同士って意味で君は言ったよね?』

「それ以外何がある」

『あれあれ、彼女だよね。ネックレスをしていた綺麗な子だよ』

「だが男だ」


お前もか、ねこたま。

よかったなぁ、葵。

お前の男の娘は宇宙人やら神やらも騙せたぞ。

まぁ、初対面は皆間違えるので仕方ないといえばそうなのだが。

っておい、このぬいぐるみ野郎の顔が青ざめ始めたぞ。

ころたまは空中で青い透明のパソコンの液晶画面のようなものをいくつか出し、目を慌てて走らせている。


『やばいやばい、エラー起こしてるよッ』

「まずいのか?」


何か頭から煙が噴出してきた。

こいつ本当に生物か?


『エラーエラー、正しく情報をインプットしてから送らないと向こうで何が起きるかわからないよ』

「おいおい、修正はできないのか?」

『無理無理、今回の君たちの事がすでにエラー扱い。これ以上は危険だよ』


ねこたまの周りの画面が数倍に増え、周りも暗闇の空間もカラフルな光が無数に走る。

というか周りから異音がしてきた。

これは未知の技術とか関係なしにやばいというのがわかる。


『やばいやばい、タイムアップッ!えっと、君はエラー要因は無いよね?』

「俺は確実に男だぞ」

『うんうん、他にも確認したいけどグッドラック!』


ねこたまが手を振ると俺の周りも色とりどりの光に囲まれた。

どうやら、異世界に飛ばされるらしい。

まぁ、おかしなことになったが何とかなるだろう。

そして、俺の意識は途切れ…


























『エラーエラー、君もぉぉおおおおーーーーッ!?』

待ってくれッ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ