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呪われた魔王と剣舞の姫君 ~陽光版~  作者: Taka多可
4章、誕生月祭と呪魔襲撃編。
26/28

25、孤独と誤解、愛と悲恋。  (イラストURLつき)

おそくなって、大変申し訳ありませんでした!



激高をあらわにする目の前の男に違和感はあるものの…

怒鳴ったと同時に四方から取り囲む呪魔達に、蹴りをかませ薙ぎ倒す。


「モロゴハノンキィはわしにまかせろ!」

「おうっ!後で合流するぜ親父!!」

「はんっ生意気な…」

「うるせー!」



「……仲の良いことだ…」

「どこがだ!……と言いてぇが…貴殿にそれは当て付けに聞こえるんだろうな。」

「…ダイオード、貴様……」

「貴殿を襲った不幸は大魔王なら誰もが伝え聞いて知っている。だからこそ、止める。わしは二度と、『家族』を手放さない!悪いがわしのわがまま、押し通すぞっ!」

「……温い男だ…あの時とまるで別だな。牙を折られたか?あの人間に…」

「牙は折れても拳は解いてはおらん。さ、やろうか。話し合いで解決できるほど冷静になんかなれないだろ…?」

「……ふん。」


  ひゅん…すたっ!


「モロゴハノンキィ様、こちらを!」

「あぁ…」

「……………おいおい、反則じゃないかそれ!」

「黙れ、筋肉馬鹿に体力で挑むほど愚かではない。」

「ちっ…」


太さがやつの腕ほどはある長い魔杖。

たしか、あの形は……魔法の発動中、物理攻撃を軽減するおまけつきだ。

状況悪いな…


  …ポッ… …ポポポ……


「……下がれ。」

「はっ!」


  ギュドドドドドドドッ!!!


「脚力・強ーーー化!!」


  ズガガガッッ!!


「どらぁぁぁぁ!!!」


杖をふるたび増えていくオレンジ色の球を全部蹴り返す。


「……清々しいほどに馬鹿だな。」


   …ブゥゥンッ…

  どぷんっ



黒い……水面のような盾…!?球が飲み込まれていく……

あれって…まさか??!!


「な………っ!?」

       ドゴォォォッ!!!


「がはっ……!!」

「…解せない…なぜ、全て受け切れないとわかっていながら身を盾に庇うんだ…?」




…………………………………………………………




「グラス、離れるなよ!」

「(こくこくっ)」

「打てーーーー!!!」

「「セイザーッ!!」」


   ズダダダダダダダダッ!


「ぬおおおおおっ!!……ずりーだろ、魔導銃は!!!」

「黙りなさい!!モロ様には近づけさせないわ、全力で追いやりなさい!!」

「「「セイザーーー!!」」」


「さっきからモロ様モロ様って!…そなた、モロゴハノンキィの愛魔かっ?!」



「 ち、    ち、違うわよ!!ふざけたこと言うなーーーーーーー!!!!!!」


  ギギンッ!!


「あ、あなた……いつのまに剣を!」


キレた牛女…もといルージュがグラスにむかって突き出した爪を、短剣でさばく。

左腕はまだうまく動かないらしいが、冷静さを失っている今、動きを止めるだけなら出来る。


「よっしゃ、いいぞグラス!押さえ付けてろ、このままぶっとばして………っ!?」

「……!」

「あっ……!」




なんだあれ…?


    …どぷんっ…

ギュギュンッ…!


「うぐぁっ!?」

「きゃぁぁぁ!!」

「……っ!」


突然現れた宙に浮く水溜まりのような円盤から、オレンジ色に光る球が弾き出された。


「ぐっ…」


脇腹が…いや、大丈夫だ、これくらいならすぐ塞がる…俺のことより…!


「グラス!!」




声に気がついたグラスが、しゃがんだままぶんぶんと顔を横にふる…一体何が…


「!!お、おい、大丈夫か!?」


肉のえぐられた右腕はぴくりとも動かない。

グラスはルージュを抱き起こそうとしたものの重傷さに躊躇していたらしい…


「な、なんで仲間のそなたが狙撃されて…?!今のはモロゴハノンキィの術なんだろ、なんで…!!」

「……目標地点ターゲット…」

「?」



「あんた、たち剛魔は…必ず接近戦に持ち込もうとする…だから…私達がターゲットになれば、巻き添えに出来る…」

「「!!?」」

「ふふ……私達は、モロ様のお役に立つためなら、何だってする…あなた達とは、覚悟が違うの…死ぬことだって、お役に立てるなら喜んで望むわ。」


  バチンッ!


「いったぁ!?」

「グラス…っ」


いきなりのビンタ。

声のでないグラスの唇は、必死に怒鳴ろうとしている。


「……、……っ………!!」

「………ルージュの手当てをしろってことか?」

「(こくこくっ)」

「………わかった。」

「い、いらないわよ…!何を…!」


「…以前会ったときに言ったはずだ、殺さないと。この…グラスとの約束は、敵も味方も関係ない。」

「(こくんっ)」




「なにを……何を考えてるのよ…!私は敵なのに、なんで…なんでそんなに優しいのよあんたたちは…!殺せなくなっちゃうじゃないの!!どうしたらいいのよ、私たちは………!!」

「な、なんでったって…」


    ドガァンッ…!!

 ドドドドド……!!

   バギャッ…!!


「…………!!」

「おわっとと……やべぇな…早く親父を…」


あちこちで爆音が響く。

震動で治癒は中断されちまった。

同じように騎士達が狙われているっぽい。

今にも泣き出しそうなグラスを一度抱きしめて、ルージュに向きなおる…


「………あの黒い円盤は、打ち込んだ魔法をターゲット目掛けて分散させる。私達全員がランダムにターゲットになってるわ。」

「はぁ!?」


   ……がしっ

「!」

「うわっ…!」

「もう、引き返せない。逆らえない…殺さなきゃいけないの、あなたたち全員……モロ様のために………!」


「……………!!」


腹目掛けて特大の黒い円盤が迫る。

よけられない。

突き飛ばすわけにもいかない。

……今、動いたら…


後ろのグラスが…死んじまう…………!







「……っ…ゾディローーーーーー!!!!」




           ……ドクン……ッ……

  ガコン!!





……気がつけば、足の下には踏み付けられて固まり沈黙した黒い円盤。

今……何が起きた…?


いや、それどころじゃない……!


「ぐ……グラスーーーー!!」

「…かはっ…はぁ、はー、はぁっ………!!」


血を吐いて倒れている…?!


「グラス、グラス……!馬鹿、なんで…!!」


「どきなさい、ロー!」

「んがっ!」

       げしっ!!!



   チュパッ

「リップ・シールド!!」


 ……ギュゥゥ…ン……


「母さん!!」

「……お、かぁさま…」


「ふー……間に合ったわ…ごめんなさい。旦那にほとんどの魔力を預けちゃって、疲れて走れなかったの。まだ術式が完成してないから不安定で…なるべく動かないでね。」

「…お母様ぁ……」

「泣かなくても大丈夫よ、私のそばにいる間は苦しくならないから。この結界は音に関わる魔法を遮断するの。ローも、心配いらないわよ。ほら口元拭きなさいな、血まみれじゃないの。女の子がだめよ、顔に怪我なんか作っちゃ。」

「助かったよ、母さん…」

「さあ、せっかく名前呼ばれたのに…もったいないわよ。力が漲ってる間に早く行きなさい!」


「……て、ことは…これが『言魂騙ことだまし』の力が…!?」


「知ってるなら早いわ……こっちには優秀な執事と戦士とメイド達がいるから、大丈夫よ。」

「…お、おう!」



「まちなさい!!逃がさないわよ……!!」


   ドガガガッ!


「きゃっ……な、なにこれ…ペーパーナイフ?!」


「失礼いたします、甚だ突然ではございますがここから先は通行止めとなります。」

「あ…あんた執事!?」


「竜魔執事・最重要三ヶ条。 ●第一条…紳士であれ。 ●第二条…冷静であれ。 ●第三条…仕える主、そのご家族、ならびに職場の職員一同、そして愛する者の危機には、全力をもって危険因子に抵抗せよ。

……以上三項目、ならびにグラス姫様より『食糧以外の殺生を禁じる』とのご嘆願にて…あなた様他呪魔の皆様を、足止めいたします。御了承くださいませ……」

「ひっ……!」


じろりと睨みあげる茶黒い瞳は、その視線だけで足元を奪うほどの恐怖を与える。





「「どぉらぁぁぁぁあああああ!!!!」」


「まだまだいくぜぇ!!」

「……ったく…屋敷に閉じ込められてお役に立てないとか…冗談じゃねぇぞ…くおらぁぁぁぁぁ!」



「すっ鋼切鋏スチールシザー使いだ……!!」

「ていうか剛魔王の血縁だぁぁっ!!」

「あの男魔、改造魔じゃないか!見ろ、あの腕……!!」


ペレットとソーケンとタスタだ!

鋼切鋏を持てば無敵の弟。

銀に光る硬質化する腕と異常な脚力を持つ、改造魔の筋肉事務員。

そして…静かにブチ切れている竜魔の執事。


絶対、負けるはずがない…!



「頼んだぞおまえら!」

「「「セイザーッ!!!」」」



「さぁグラスちゃん、私達も移動しましょう。この結界は物理攻撃は防げないの。」

「は、はいっ!」



「い、いかせるもんですか!絶対止めて!!」

「きゃぁぁ!」

「グラスちゃん!」


「「だぁぁぁりゃぁぁぁぁぁっ!!」」


  …どがんっっっ!!!   ずっぼぉぉぉ!!


「姫様に触るな!!そこに埋まってなさい!!!」

「グラス様ぁ!ああ、 御髪おぐしがこんなに乱れて…今すぐ直したいですぅ…!」

「やってる場合か!!早く大魔王様のところへ!」

「はぁい!失礼致しますぅ姫様。」

「きゃっ!!」

「すぐ運びます、少々ご辛抱くださいませぇ。」

「ハッカ様、失礼致します!」

「あら、ありがとう。」

「ポーラ、いくわよ!」

「はぁーい! タスター、がんばってねぇー!」

「おーう!」

「「バカップルか!!!!」」


見知った気配が四つ追い掛けて来てる。

親父、まってろ……!!





「……しぶといな。貴様が防いでさえいなければ、もう少し被弾威力があがるのに…」

「ふー、ふー……ふんっ…父親が体を張るのは、当然だ。わし独りの体を守るより、大勢を守れるなら、そっちを選ぶ。もちろん、死ぬ気はない。わしはわがままなんだよ。」

「………」

「魔王がわがままで何が悪い?わしは貴様のやり方が気に食わない。わがままを貫くなら、犠牲になるものを作ってはならないだろう。それがわからないなら、それは単なる傲慢でおごりだ。」

「……それが、なんだ。」

「貴殿も、助ける。」

「?!」

「何が貴殿をそこまで破壊衝動にかきたてるのかわからないが、それによって貴殿の部下達が傷ついているなら、止めなければならない。」

「……戦うことしか脳のない種族が、わたしを諭すつもりか。」

「そりゃぁ、そうさ。」


くっと肩を竦める。


「戦いは好きだ。だが、血を見たいわけじゃない。……なぁ、息子?」

「!!」

「……俺たちは拳と拳で喧嘩ばっかりしてきた。普通の魔族には確かにありえないだろうな、魔法があるんだから。でも…俺達は、それに引き寄せられる。魅せられちまった。だから、ルールがあるんだ。それを壊すなら、作ってきたものをすべてを破壊するなら…止める。そう考えるのが、剛魔だ。」


「ならば、とめてみせよ…私は、従える気もそばに誰かを置いておく気もない。最後にはすべてを壊して終わりなのだ。    誰にも、私を理解などさせない!!!私にわからないことを、誰が理解できる!!!」



          ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


「「んっだらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」


         ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!


「「んなもん、知るかぁぁ!!!!!」」


    ドパァン!!



「腹のうち、さらけ出せないやつが、誰に理解してもらえるというんだ。 …本当に、このままでは大切な者を失うぞ!!」

「だまれぇぇぇぇえええええ!!!!」





「「魔王様ー!!」」

「あなたーっ、ロゥー!!」

「母さん、グラス!みんな!!」

「ハッカ!よかった、間に合ったのか…!」



「ちぃっ…」





「今だ、全員配置ーーーー!!!」

「「「!!??」」」


「……ルージュ…?」




   どさっ


「ぐはっ…」

「うぅ………」

「……も、申し訳、ありませ、ん……」


何があったんだ?!


「ソーケン、タスタ、ペレット!!」



ぐるりと周りを取り囲まれた。

この状態で魔法を放たれれば、防ぎきれない…!


「ふん、執事が魔法耐性が高いのが難点だったけど、視覚情報をいじられれば何てこと無いわね。」


そうは言っても…

呪魔達だって満身創痍、ふらふらだ…


「よくやった!だがなぜここへ来た…他の騎士や兵達を追い詰めろと言ったはずだが…?」




「モロ様… この剛魔界を壊滅させたあとに、次はどこへ……?」

「? 気の向いたところへ行く。すべてを破壊すると、伝えたはずだ。」


「わかりました……皆、首輪を…」

「「!!」」

「もう、大丈夫。モロ様は、お独りで大丈夫なの。……私達は必要ないわ…」

「……ルージュ…?」


「お仕え出来て、光栄でございました。……私どもは、もう…戦えません。……私たちを見ても、おわかりいただけない以上、これが、私たちにできる最後の攻撃です。お許しください…私達は、モロ様の何百分の一も、お力になれなかったようです…」

「ルージュさん…!?」





……まさ、か……!!


「だめ、ルージュさん、駄目ぇぇぇえええ!!!!」


悲鳴を上げたグラスが、制止しようとしているが…全く聞く耳がない。



「どうか、モロ様…結界の準備を。」

「ま、まて…!?」



あの首輪…………!!!

この感じ、あの中身は…



「全員、壊しなさい!!」

「「「せ、セイザーー…………!!!!」」」




    バキンッ バリッ

ぼきっ  がしゃんっ  バキバキッ









   ……ガカッ………








           「…ルージュ…!!!!」




……ボッ…………










「グラスーーーーーーーーーーーー!!」








こんな大変なことになってるシーンのときにUPするのもどうかと思ったんですが…

でも、やっぱり見てもらいたくて、UPしまーす!!

毎回毎回素敵イラストありがとうございます。鴉さま!!

本当に萌えております!!!

悶えております!!

しかも、今回大量にいただいちゃいました!!

やったーーーー!



http://3965.mitemin.net/i36391/

大呪魔王・モロゴハノンキィ様と(一応)メイドのルージュさん。

なにこの恐ろしさ!!

一人でカタカタ画面の前で震えておりました。

そのまんま、Taka多可の脳内のモロ様と一致しました!

恐ろしいぃぃぃぃ!!(うれしい悲鳴)

そして、鴉様はルージュさんがお気に召していただけたようです。

キャラを好きになってもらえるって、本当にうれしく思います!

ありがとうございます!


http://3965.mitemin.net/i36393/

事務員のタスタさんとメイドのポーラさんです。

この二人にはイメージソングつけちゃったりしてます。

すっごく大好きな二人です!!

曲は内緒でーす。(笑)

でも、メールとかならお教えしますよ?

いや、まぁ…たいしたことじゃないですが。

どうしても知りたい方は連絡してください。

(ほら、著作権とかうるさいじゃないですか?

 なるべくそういうのは大勢の目に触れないようにしたほうが

 いいかなぁとおもいまして…(チキンハートです…))



http://3965.mitemin.net/i36588/

グラス姫VSルージュさんです。

リクエストしちゃいました。(笑)

いやぁぁぁ、たまりませんな。ルージュさん!

そして、グラス姫、貧乳…

いや、美乳ですから!!(オヤジか!)

そして鷲掴みもいただきました!

http://3965.mitemin.net/i36589/

「牛ぃ!」の台詞に吐血します!(オヤジだ!!)


全部、みてみんさまです。

コピペでおねがいします!

いやぁぁ、大興奮でした。

本当にありがとうございます!


(月光版掲載時・2011年 12月09日)


修正・誤字発見しました。すいません。

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