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呪われた魔王と剣舞の姫君 ~陽光版~  作者: Taka多可
3章、呪魔界の影 編。
16/28

15、大呪魔王 モロゴハノンキィ・ノロー

……魔王たちが会議中のころ……




「姫様、白茶をお持ちいたしました。」

「ありがとう、リリナさん。」

「あと、頼まれておりましたお菓子作りの本、入荷いたしましたよ。料理長推薦書です。」

「ありがとう!!」

「魔王様は甘いものが大好きですから。まして姫様の手作りとなれば、絶対喜びます。がんばってくださいね!」

「う、うん…でも、一度もお料理なんてしたことないよ…」

「大丈夫です!魔王様なら黒こげでも食べてくださいますよ! なんせ姫様にべた惚れですからね!」

「や、やだ、リリナさんったら…」

「使用人室横のキッチンスペースはいつでも使用できるよう、女中頭ハウスキーパーさんにも許可をいただいてきました。ご自由にお入りくださいね。いつでもお手伝いします。」

「何から何まで…ありがとう…」



「魔王様も、これで八つ当たりが減ります、ありがたいことです…」

「そ、そんなにひどかったんだ…」

「そりゃぁもう! 騎士たちがぼろぼろにされることはよくありましたよ。剣士に拳で勝っちゃうんですから!何方なんかたの魔男が凹まされたか……」


「が、がんばる…」

「よろしくおねがいします!」

「う、うん!」




「お勉強、がんばってくださいませ。あとで果汁のお飲み物をお持ちします。」

「ありがとう。」



まずは徹底的に基礎を覚える。


卵の黄身と白身の分け方。

メレンゲの作り方。

粉のふるい方。

果汁の絞り方。

バターとマーガリンの違い。



知らないことばかり…

頭が痛くなってくる…




「…ん?」


窓を開けて、外に人影…じゃなくて魔の方を見つけた。



「あ、ノローさんだ。」


隣にいるのは…  う、うわ!なんて美魔!!


お、お胸がすごい!

あんな女性、いたっけ…!!??

てか、服装がきわどい!!

なんであんなに露出が!!



「…… …? ………」

「……………、……!……!!」


なにか、話している…





「ふ…まぁ、あの男魔のことだ。こちらの都合どおりだ。」

「どういうことです!私は恥をかかされたのですよ!面目丸潰しです!最低!!」

「あやつに色仕掛けは通用しない。 あの女を壊すために必要な手順だ。 …性急に求めれば、不信感が募る。その状態で抑えられるような精神力はないはず。無理やり犯せば信用は総崩れだ。」

「…どこまでも、卑劣なお方…愛しい。」

「くくく、くはははははははは!!」






「見ておれ、ダイオード、ゾディロ! そなたらはわれがぶち壊してやる!!!!すべてを!!」






              どさっ







「はーっ、はーっ、はーっ……!?」





うまく息ができない







苦しい







「姫様ー。カシムアップルのジュースですよ!  …姫様!!?」






///////////////////////////////////////////////


   ばたばた… バン!!!





「「グラスーーーーー!!!!!」 姫様!!!!!」

「魔王様、ペレット殿、お静かに願います。」


「うっ… す、すまない…ミケ殿、グラス姫様はどうなったのです!?」

「今は落ち着いておられます…」

「原因は!!」




「呪いでございます…恐名呪きょうなのじゅです。」


「…………!!!!?????」

「ば、ばかな! まさかこの屋敷に裏切り者が出たとでも!?」

「落ち着けペレット、もうすでに呪魔の侵入を許してしまった、もしかしたらほかにもいたのかもしれない。」

「そんな、そんな… グラス様は何も…!!」

「そうだ、知らないから。 だから狙われた。 俺のせいだ…」





「まおー、さま」




「グラス!!」

「   ここ、は…」

「医務室だ。 部屋で倒れてたのをリリナが見つけたんだ。 …気がついてよかった…」



医務室…

そうか、息ができなくなって

気を失ったのか…




「…の……さんが」

「な、なんだ?」





「…のろーさんが、しらないおんなまと あってました、 それをみていたら、きゅうにきぶんが…」







「「ノローだって!!!!!???????」」

「ひゃう!!」


「魔王様、ペレットさん!」

「う、すまん…」

「申し訳ありません!」






「姫様、さぁ横になって…」

「…?」

「グラス、どこでノローを知った?」


「ま、魔王様が風邪をひかれて…寝込んでらっしゃった日に…中庭で…」





大声にびっくりして起き上がって

聞かれたことに答えただけなのに








「………………!!」



歯を食いしばる魔王様の唇のはしが、切れて血がにじんでいる。


「ま、魔王様!血が…」

「触るな!」


      ぱしん!


「あっ…」



「何を言われた?全部答えろ!! グラス!!」











怖い



怖い



こわい…!!!!




























「ま、魔王様の、名前…を…       わたくし、知りません…」


















「「「!!!!」」」










その場にいたすべての魔族が凍りついた。




ただ一方ひとかたを除いて。








「…面白れぇ、ノロー… 俺をぶっ壊したいんだったな… いいだろう、乗ってやる。」

「魔王さま…?」


「…グラス、 俺の名前は…呪われているんだ。 聞いたり、声に出したりしたら、死んじまう。」

「!?」

「ノロー…  モロゴハノンキィ・ノローは、呪いの魔族 大呪魔王だ。 呪いで親父の体の自由を奪った… 母さんは何とか無事だったけど…   そして俺は…  名前に呪いをかけられた。」

「な、名前に…?」


「ただ、母さんがぎりぎりで助けてくれた。 結果、効果は中途半端だ。 どんな条件かわからないが、いまのところ…魔族には効果がない。わかってたのはそこまでだ…」

「………」



「おそらく、人間相手ではフルネームでないと効果は薄いんだな…グラス、俺の名前を聞いたんだろう?」

「多分…    えっと…ぞ、ゾディ…」

「ま、待ったまったまった!!!死ぬ気か!!?自ら声に出しても効果あるんだぞ!恐名呪きょうなのじゅは!!」

「あぅ…」

「聞いちまったんだな…」

「は、はい…」






頭を抱えた魔王さまに、なんていったらいいのかわからない…






「くそ、なんでグラスなんだ…!」

「魔王様…」



「いいか、グラス! 俺は…そなたを愛している!」

「……」

「少しでも長生きしてほしくて、毎日書庫へ通ってる!」

「…?」

「人間の寿命がはるかに短いことなんて誰でも知っていることだ!だから… そなたが死んだら俺は気が狂うかもしれない!! そのぐらい怖いんだ!!」

「え…」

「人間を愛してしまった、どうにもできない!!だから、だから…!!」




「わた、くしが…私が死んだあと、悲しまないように、忘れられるように、だ、と…」

「そんなこと、いわれたのか!?」

「はい…」



「そんなの、しるか!!」

「!?」


「そなたが死んだら、俺は生きていけない!! そんな死んでしまったことのあとを考えるくらいなら、どれだけ長く一緒にいられるかを考える!!! そんなこと思うもんか!!!  あと、名前呼んでほしいよ!!!! ちくしょう………!!!」






あ、ああ…



本当に…






「馬鹿です、ごめんなさい。私は大馬鹿です…!!! ごめんなさい…!」

「許せ、グラス… こんな男魔、許されない…」

「ごめんなさい…」

「グラス…」






こんな、の…



どうしたら、いいの…

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