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ロボット

「ふぅ〜、やっと完成したよ…。」


今日は珍しくソマリが隠れ家の外に

出ているなと思っていたら、

人の形をした何かの横で

歓喜の汗を流していた。


「クレア、何だこれは。」


肌の色は蒼銀。素材は金属だろうが、

ここはろくに金属が手に入るような

場所ではないので、

おそらくソマリが様々な金属を

合成して作ったのだろう。

捕えた人間の装備から奪ったり、

マーシャが拾ってきた石から

僅かな金属を抽出したり。

これだけの量を集めるのは大変だっただろう。

そして、必死に集めた金属で錬金したのは、

見たこともない何かであった。

人の形をしてはいるが、

指は人間より一本多い6本。

顔には目と思われるパーツしかなく、

彼女たちに比べてふた回りも背が高いので

ものすごい威圧感がある。


「彼はね〜、自我搭載人型成長ロボットだよ。

ロボットって本来は製作段階で組み込まれる

決められた動きしかできないんだけど、

彼にはあたしら人間に限りなく近い思考力を

組み込んでるから、自分で考えて

行動することができるんだ〜。」


得意げに語るクレアだが、

マリアにはロボットという言葉に

聞き馴染みがなかったので、

首を傾げることしかできない。

今までクレアが錬金してきたのは

料理や日常生活で使うような

手頃な物や道具がほとんどだった。

人型の物どころか、

勝手に動く物を作ったこともない。

いや、前々から作ってはいたが、

それを他の3人に見せたことがないだけか。

マリアも自分の研究の内容を

話すことは少ないが、

ある程度の成果が出た時や

必要な物ができた時などには

相談を持ちかけたりしていた。

完成に至るまで隠し通すなんて、

クレアもなかなか食えない人間である。


「ちなみにロボットって言うのは、

古代に栄えた世界で

人間と一緒に生活してた存在でさ、

融通は効かないけど純粋で

人間より丈夫なのが特徴なんだ〜。」


医術関連以外にも様々な文献を

研究のために読んでいたマリアでさえ、

過去にそのような存在がいたとは知らなかった。

たまたま触れる機会がなかっただけか、

単にロボットに関する文献が少ないのか。

街から追い出された身では

その真実を確かめようがないが、

ろくに資料も材料もない環境で

完成させてしまうとは、

まさしくクレアは天才だ。

分野は違うが、彼女と肩を並べられていることは

マリアの人生にとって誇りの一つだ。

そして、色々と考えを巡らせる中で、

マリアはクレアの研究に

知らず知らずのうちに

手を貸していたのだと気づいた。


「君が私に人間の思考パターンの

複製を頼んできたのは、

これに使うためだったのか。」


「せいか〜い。」


長い森での生活の中で、

何人かの生きた帝国の人間を捕えた。

医術の研究に必要だからと

人間たちはマリアに届けられるのだが、

ある時クレアがやってきて

人間の脳や思考に関する情報を

教えて欲しいと頼んだ。

錬金術師であるクレアが

なぜそのようなことを

必要としているのか分からなかったが、

まさか人を模した物を作るとは思わなかった。


「あら?クレアにマリア。

そちらの方は……何様(なにさま)のつもりですの?」


そこへやってきたマーシャは、

ロボットを見て興味を示している。

だが、彼が人型であるが故に

どう質問するのが正確なのか

分からなくなったようだ。

言葉の途中で考えがまとまらなったせいで、

おかしな言い方になってしまった。


「彼はあたしが作ったロボットだよ。」


「ろぼっと……?とは何でしょうか…?」


どうやらロボットに関する知識が

なかったのはマリアだけではないらしい。

マーシャも首を傾げて

様々な角度から彼を観察している。

マリアにした説明と同じようなことを

マーシャに話すクレアであったが、

元より文献などに目を通すのが

苦手なマーシャには少しばかり

理解するのは難しかったようだ。


「だ、だ、何!?」


更にソマリも合流したはいいが、

そもそも人と話すのが苦手なソマリは

もはや言葉とも言えないような

ただの驚きが口から飛び出した。

咄嗟に魔術で吹き飛ばそうと思ったのか、

彼女の足元が凍っている。


「彼はね〜──。」


同じことを繰り返し話すことが嫌ではないのか、

またも同じ説明をソマリに話すクレア。

体の感覚より理論や途中式に

重きを置いているソマリは

ある程度のことまでは理解できたようだが、

やはりロボットという存在は

知らなかったようだ。


「爆破しても平気なのかな…。」


などという物騒なことを口走っていた。

だが、マリアもマーシャもロボットには

少なくない興味を向けている。

どれだけの耐久性があるのか、

どれだけ知識を吸収できるのか。

彼を錬金したクレアでさえ

その詳細を把握できていないらしいので、

この日から4人の天才による

ロボットの実験兼修行兼研究が始まった。

……そしてこの日は、魔族が人間に戦争を

仕掛けるために進軍を始めた日でもあった。

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