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第一章 星に願いを
どうして僕たちの道は分かれてしまったのだろう?
ずいぶん遠くまで来ちゃったよ。生まれる前は一つだったのに。
「もう帰るよ、ひろむくん」
「お父さん、あゆむが泊まりたいって!ね!あゆむくん」
「うん、ひろむくんと一緒にいたい」
僕たちは一卵双生児として生まれた。だが祖母の「双子かね。犬の仔じゃあるまいし。それに片方は出来損ないだね」この一言で引き離された。
田舎で双子は畜生腹と忌み嫌われ、祖母の手によって未熟児のひろむ、大夢は子供のない父方の伯母へと養子に出されてた。
軽トラックの荷台に二人で乗り、大夢の家へ向かう。
あの頃、町は暗くて夜空には満天の星が望めた。
「あ!流れ星だ!」
「早く願いごとを言わなくっちゃ」
二人の幼い子供は手を合わせて祈った。
「なに願ったの?」
「うん、ずっといっしょにあゆむといられますようにって。あゆむは?」
「へへ、ないしょ」
「あー、ずるいっ」
今ではあの降るような星は見えなくなってしまった。