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天色の王子  作者: 櫻塚森
4/5

動天

ダンジョンに向かうメンバーが決まった。

王太子ショーン、従者カイ、護衛騎士ランドウ。

第三王子ルキリオ、従者リュウキ、護衛騎士ミズホ。

第四王子ジュンリル、従者なし。護衛騎士ゴトー、サイファ。

第五王子ケイリル、従者マイケル、護衛騎士リク。

総勢十二名。ジュンリルは従者が居ないため騎士は二名となった。王子の従者となる者は基本王子と同じ因子を持つ者となる。妖精族の血や因子が濃いショーンの従者はショーンが何処からか拾って来た猫獣人族と妖精族のハーフで因子的には妖精族の方が強い珍しいパターンの少年だ。

「じゃあ、ジュンリルとケイリルは、一緒にいるんだよ、ボクらの空間箱マジックボックスとケイリルのを繋げてあるから、下の階層でドロップしたアイテムは片っ端から放り込むからケイリルは、必要だと思ったものだけを残して。」

「うん!」

五歳にして、魔道具製作が趣味のケイリルは、魔道具や道具の部品しかドロップしないこのダンジョンに行きたくて仕方なく行く時期がもう少し遅かったら単独か、もしくは止めようとする弟(おそらくタクリオか、ショーセ)巻き添えにしていた可能性が高かった。言うことを聞かなければ城に強制転送される母親作成の腕輪をされているのを理解したケイリルは、兄達の言うことは聞くと決めていた。

「ごめんなぁ、ほんまやったら、ケイリルも兄上達と行きたかったんとちゃうん?」

ボソリと呟いた実兄にケイリルは笑う。

「なんでやねん。危ない目になんか合いたくないし、ショーくんやルキからのお土産とかワクワクするし、まだまだ先だと思ってたダンジョンに第一階層だけど来れてるって、凄くない?レンくんより、先に来れたんだよ!」

満面の笑顔だった。

「うん、……そやな、ありがとう、ドロップしたやつの手伝いする。」

先へと進む兄達の無事を祈りながらジュンリルは心の高揚を感じていた。


「さて、楽しみの時間がやってきたね。」

新しく現れたと言う階層への階段の前でショーンがニヤリと笑う。

その横に並び立つのは弟のルキリオ。

「ボクは噂に聞いた人型魔物を捕獲するから、ルキは、ルルと遊んでケイリルに送るドロップ品を量産しておいで。もし、新たな階層への階段を見付けたら、先に進むんじゃなくて報告してから一緒に行くかどうかを決めよう。」

兄の言葉にニッコリ笑ったルキリオは襟元に巻き付いた白い蛇と共に駆け降りていく。

その後を従者と護衛が慌てて追いかけていった。

「防寒ちゃんとねー!」

ショーンの言葉が届いたかは不明である。

「いつもルキリオ殿下の発散に毎回付き合ってる彼らですから、その辺は抜かりないでしょ。さ、我らも行きましょう。下手したら獲物の生け捕りも叶いませんよ。」

従者の言葉に頷き、一歩を踏み出した時、新たな階層に挑戦し一時撤退した王立ギルドのリーダーが声を掛けてきた。彼は部下に支えられている。

「ハヤテ、大丈夫なのか?ダンジョンから出て治療中だったんじゃあ?」

顔馴染みであるショーンの護衛騎士ランドウが声を掛ける。

「殿下が潜ると聞いて慌ててやってきたんだ。」

ハヤテは、昨日目が覚めたため王族がこのダンジョン攻略に参戦していることは知らなかった。

「第一陣営の中で五体満足だったのは、俺を含め数名だった。奴らのボスらしき魔物が持つ錫杖からの光はスゲェ魔素、魔力を持っていて、倒しても倒しても味方の魔物を復活させてしまう。キリがねぇ、ポーションや聖魔法で幾ら回復しても追い付かねぇ。何の準備もなく飛び込むのは危険だ。」

当時を思い報告しているハヤテを労うショーン。

「んー、でも、大丈夫な気がするなぁ。」

のんびりした口調のショーン。従者のカイ、護衛騎士のランドウが顔を見合わせた。

「先鋒として向かったのはルキリオなんだ。」

ショーンの言葉にハヤテは力を抜いた。それほどまでに力を解放したルキリオは凄まじい。

「もう少ししたら、ボク達も降りるつもり。」

恐らく下の階層の環境は極寒に変わってしまっているだろう。

「氷漬けにされたら、動けないんじゃないかな。」


新たな階層に潜ったショーン一行は、目の前に広がる氷の世界に苦笑した。

中央奥に聳え立つ四角い巨大な建造物に巻き付くように鎮座している銀色の龍が吐き出す白い息は周囲の気温をなおも下げている。

「ルル、やり過ぎ。」

鼻を赤くしたショーンが苦笑する。

「殿下、氷漬けにされた人型を発見しました。辛うじて生きてはいます。」

「わぁ、手間が省けたね。」

魔封縄で縛られた状態で運ばれて来た人型はジュンリルのように顔や体が金属に覆われていた。

「ルキリオ!何処だぁ!一端帰るよ!」

ショーンの声に気付いたルルが急速に小さくなって姿を消す。

「ショーくん、遅いよ。」

遠くから何かを抱えて走ってきたルキリオ。

「ごめん、ごめん。ハヤテが来たから話を聞いてたんだ。」

ルキリオは、呆れた顔で笑っているハヤテを見て笑う。

「大怪我したって聞いたから心配したよ、ハヤテ。」

「殿下は、相変わらずですね、で、何を抱えてるんです?」

大人の頭ほどのものを抱えているルキリオ。

「ん?これ?卵。階層のボスっぽいのが持ってた杖についてた。ルルが持ってけって言うから持ってきた。」

金属に縁取られた美しい卵。

「ルルが言うには、これ、使い魔の卵らしいんだ。」

皆が驚く。

「これをダンジョンの外に持って行けるかは分かんないけど、何か予感がする。」

沈黙が降りる。その沈黙を破ったのはショーンだった。

「ジュンリルの卵の可能性が高いって?」

頷くルキリオ。

「と、とにかく戻りましょう。寒いし。」

従者カイの言葉に皆は素直に頷いたのだった。


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