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Chapter 3 - 没落 (1)

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失敗した。

終わった。


アジュールが緊張してベースのリズムを崩してしまったと思ったらドラムもそれに引っ張れてペースもサブギターもペースを崩してしまって曲はだめになってしまった。


格好もつかない最悪の舞台だった。


全てだめになって公演は失敗し、観客席のみんなは私たちを罵倒していた。


舞台裏でバンド部[カタリスト]のメンバー4人はそれぞれ絶望していた。



もっと上手くできなくて悔しい気持ちで椅子に座ってため息ばかりついている私、サブギター、ウィットニー·ブリナータ。


全部自分が悪いからと’ごめんなさい’と謝りながら片隅でしゃがんで泣いているベース、アジュール·バレヒー。


壁にもたれて’しょうがなかったかな?’とこの状況を無理やりでも明るくしようとするドラム、キム·ストロング。


”クソが…”

ウィットニーは舞台上を数回グルグルと回ると怒りが抑えられなかったのか責任を推しるける人を探すため周りを見回した。


そのままウィットニーは私の胸元を掴んで怒りを込めて勢い強くブンブンと揺らした。


”バカ野郎が…!私は信じてたんだよ、いつだって真実を話してくれるって!’リーダーだから嘘はつかないでしょう’って!”


”お、おい、落ち着いっ…”とキムは二人を止めようとしたけどウィットニーの怒りで言葉は遮られてしまった。


”どうやら私が間違ってたみたいね、少なくとも最低限の責任は取ってくれると思った。私が特訓の計画を立てるためにもすべての事情とかそういう説明でもしてくれると思ったのに…!!”


私は胸元を掴まれたまま、何も言えなかった。


これは怒りか?後悔か?わからなかった。

多分ネガティブな感情が混ざり合って言葉では説明できない感情になってしまったのかもしれない。


”話して、話なさいよ!このクソがー!!!”


”あー、チックショー…!”


パーッ、ドカーン!


私もできるだけ我慢した。

私の拳はウィットニーの顎を正確に当てウィットニーはそのまま後ろに転んでしまった。

それから私は彼女の上に乗っかって彼女の顔を両手で何度も殴り続けた。


アジュールの涙混じるの’こめんなさい’という言葉は私たちが喧嘩するほど大きくなっていた。

すると彼女の言葉は意味を持たない泣き声に変わっていった。


”お前ら、落ち着けって言ったでしょう!”


”離せよ!クソが!”


キムは私たちの喧嘩を止めようと飛び込んできて素早く私の腰を抱えて後ろに引っ張ってウィットニーから私を離した。


私は溢れ出す悲しみを抑えきれないまま、周りに拳を振っていた。


ウィットニーはゆっくりと立ち上がってあざだらけの顔でキヨを睨んでは外に出る扉に向かった。


顧問先生のサリバン先生が来てみんなの様子を確認しようとした時、顔があざだらけのウィットニーが興奮しているキヨから逃げ出す姿を見て目を見開いてウィットニーを見つめた。


ウィットニーも先生の前で少し立止まったけど、頭を下に向けて走り出して行った。


私はしばらく怒りに身を任せていたけど、どんどん声が曇ってきては拳を止めて舌を向いたまま泣き続けた。


自分の夢が崩れていくのを目の前で見てしまったから…?


そして、舞台裏にはただ悲しい鳴き声だけが鳴り響いていた。


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それから数か月が過ぎた。

そして6月になった。


春特有の新鮮な風は消え、夏の始まるを知らせるような暑さと強い日差しに変わっていった。


それから数か月が過ぎた。

そして6月になった。


私はまだ自分の道を探していた。

私’一人’歩むロックスターの道を。


しかし、予想通りこの道はつらくて、苦しくて、痛みに満ちている道だった。

それでこの数ヶ月何してたって?


どれも成功的ではなかった。

とりあえず、バスキングするためにルティーナ島のバスかロードに向かって生まれて初めて演奏してみた。


しかし私の前の前に置いたギターバックの中には通りすがりおじさんが’可哀そうに…’と置いていった10ドルの紙切れだけだった。

それ以外は予想通りだった。一人、二人くらいは演奏を聴いてくれけど、投げたゴミに当たって演奏の邪魔をされたり通りすがりの人たちの間からも鮮明に’う~’と嫌がらせの声が聞こえてきた。


ある時は私を見ていた異邦人が抑えきれない嫌悪感に潰されたのか、私に襲い掛かってきてほっぺたを叩かれた。

もちろん、私は手加減する気はなかったのでギターを振ってお腹を強く殴った…


そして彼はその場で転んでは’この女がギターで殴ってきた!’と騒ぎ立ててる間、私はギターバックを持ってその場から逃げた。


バスキングはもう終わってしまった。

誰かがネットに書いたアンチ(と略す)書き込みのおかげで私はバスかロードに立ち入ることもできない存在になってしまった。


私はまた悩んでライブハウスに行こうと思ったけど。最近の噂によるとロックバンドが出演すると一部を除けば観客は何も反応しないか、嫌味を口にするらしい。


’あ、クソ…それじゃどうしよう?だからって音楽をやめたくはないのに’と思いブレインストーミングをしてたら思い出した。


’あ、そうだ。ネット配信でもしたら誰か来てくれないかな?’

だから私はコンビニバイトで稼いだお金で高性能マイクとウェブカメラ、オーディオインターフェースを購入して有名サイトで配信を始めた。


”どうもこんにちは、我輩はイエーロブラー!よろしく頼むぞ!”

配信を始めるときは最大限笑顔で私のハンドルネームを叫んで演奏を始める。


そしてスーパーチャットと共に曲のリクエストも貰えて少しお金は稼げたけど…


リスナーはいつも3人、3人だけだった。

固定リスナーがいるという事実にうれしかったけど、私は配信を終えてはいつも自分に質問する。



’もし、この配信が有名になったらどこまでいけるのかな?’

’もし、ずっとこのまま失敗したら私はどこに行けばいいのかな…?’


そしてそれぞれの答えは’もう競争者が多すぎて成功は難しいし、失敗すると別の計画を立てないといけないけど思いつかない…’ということだった。


もうこれ以上進む道が見えなくて私は折れてしまった。


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そして6月になった。

一人立ち上がってロックスターになろうと色々試したけど、路上キャスティングどころか誰一人興味を示してはくれなかった。


神も無心なことに、こんな哀れな少女の姿を、こんな夢を失った少女の姿を見ても何も助けてもくれないとは…


窓の外から一筋の光が雨雲を抜けてどこかを指していた。

’どこかの神の告げ’だと思いたかったけど神なんか死んでいると思い無視することにした。


授業が始まる前私は耳にイヤホンを指して私が好きなロックバラードの’Dream On’を聴きながら考えることをやめて頭の中を空にすることにした。


その時…

”キヨ~!”


”…?”

キム·ストロングの力強い声が私のイヤホンをブチ破って入ってきて鼓膜を叩いた。


”なんだよ…また何か自慢しに来たのか?”


”ピンポン~!大正解!もうすぐNBAスカウターがこの学校に来るんだって!”

キムは私の横の席に座り脇をつんつんと突いてきた。

興奮しているからか、キムの力が強くて脇腹が痛くなってきた。


”あ、そうか。バンド部解散してから女子バスケ部に入ったっけ”


”うん、うん!”


”確かに、運動とか適正だったもんね”


”うん、私は何というか…動かないともどかしいからね!”

そう言いながら両手を上にあげて”う~ん”とする声と一緒に背伸びをした。


”…”

NBAスカウトか。

あなたはちゃんと夢見る場所にいけるチャンスを得たんだね。


’それに比べて私の夢は…’

私の夢はロックスタになってバンド部のみんなと一緒にルティーナ島中央ステージで演奏して有名になることだった。


しかし、それはバンド部の解散で叶えられない夢になった。

私は後悔するしかなかった。


’バンド部活動、もっと真面目にすればよかったのに’


’アジュールにちゃんとみんなの前に立てるようにイメージトレーニングしてあげればよかったのに’


’廃部とことみんなに嘘つかなきゃよかったのに’


しかし、もう終わったことだ。

もうどうすることもできないから。


”…ヨ…キ…ヨ…?”


”…”


”キヨ…?”


”キヨ!”


”ひっ…?!あ、な、なに?”

私は一人有痛な考えをしていたけどキムの声に我に返った。


”何かあった…?”


’色々あったよ、多すぎて死にたくなるくらいに’


”いやいや、何もなかったよ。どこまで話してたっけ…?”


”NBA進出まで話したよ!女性NBA選手としてスカウトされて活躍すると思うとテンション高くなってきたかも?”


彼女は立ち上がり’左手は添えるだけ’と言いながら決めポーズでショットの真似をしながら話した。


’この子、本当に楽しみなんだね’

もうすぐ先生が来るとキムに話したらキムはそのまま’あ!’って表情を見せながら自分の席に座った。


私は再び悩みの森の落ちて何も聞こえなくなった。

いつも聞こえてきた先生の声とみんなのひそひそとした声も…全然聞こえなくなった。


ただ聞こえてくるのは私の心拍音と頭の中で響いてる後悔で溢れた私の声だけだった…

一体…どうすればいいんだろう?


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-To Be Continued-

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